『SPY×FAMILY』で英語を学ぶ~工夫された擬音の翻訳~
「SPY×FAMILYで英語を学ぶ」シリーズの今回は、擬音表現に着目してみます。
『SPY×FAMILY』は擬音表現が特徴的で面白いです。独特なワードで表現していて、擬音表現だけで笑わせてくれる時もあります。
私が好きな擬音はこちら。
ペンギンを持ち上げたときの擬音が「むんず」!
ペンギンの重量感が伝わってきますし、それでいてフフッと笑いたくなります。この独特な擬音表現が『SPY×FAMILY』特有の柔らかくて笑える世界観を生み出している気がします。
ただ、これを英訳する時ってどうしているんでしょうか?どんなプロフェッショナルな翻訳者でもきっと頭を抱えたと思います。
そこでこの記事では、『SPY×FAMILY』の英語版1巻~3巻までを読んできた中で、面白かった擬音表現を7つご紹介していきます。
翻訳者の苦悩と工夫を感じながら、マンガの擬音表現を楽しんでいけたらと思います!
むんず
早速「むんず」の英訳を見てみましょう。
【英訳】
YANK
そもそも「むんず」とは、「力をこめる」という意味の古い日本語です。それを英語版では「yank」と訳しています。
「yank」は「グイっと引っ張る」という意味です。この英訳、すごくピッタリな気がして感動しました。
「むんず」と「yank」は意味合いも似ているし、発音もちょっと似ていますよね。しかも「yank」の発音にはペンギンの鳴き声っぽさも感じます(私だけでしょうか?)。
原作のニュアンスになるべく近づけようと意識した翻訳者の工夫を感じます。
スバブーッ
ロイドが無表情でコーヒーを吹きだした時の擬音「スバブーッ」。
英訳はこちら。
PFFOO
吹きだした感じが伝わってきますね。
ちなみに、新聞紙が濡れる擬音「びた びた びた」は、
SPLAT SPLAT SPLAT
「SPLAT」 は「水がびちゃびちゃする音」を意味しています。スプラッター映画の "スプラッター(splatter)" はこの派生語です。
がーーーん
アーニャがショックを受けたときの擬音表現です。
英訳はこちら。
SHO-----CK
分かりやすくてなんか笑っちゃいました。
じゃん!じゃん!バァーーン!!
アーニャが洋服を試着した時のシーンです。
英訳はこちら。
SHING
SHING
TA-----DAH!
最後の「TA-DAH!」は「じゃじゃーん」という意味です。("tada"と表記することもあります。)
『ワンピース』の英語版では、「ドン!」が「TADA!」と訳されていました。
次に「shing」なのですが、こちらも擬音表現の一つです。このワードに意味はなくて「音をあらわす擬音」としか表現ができない単語だそうです。(参考)
カーペンターズの『Yesterday Once More』という歌の中にも、「♬Every shing-a-ling-a-ling」という歌詞が出てきます。
この歌詞にも意味はなくって「リンリンリン~♬」みたいなニュアンスです。
キリッ
自信満々で算数の回答をしたアーニャのシーンです。(ちなみに不正解)
「キリッ」はこう訳されました。
SPARKLE
「Sparkle」は、「ひらめく」とか「きらめく」という意味です。「キリッ」ってネットスラング的な表現だと思うので、この翻訳には苦労されたのではないでしょうか?
ド ド ド ドキン
ロイドとヨルがキスをするのか!?というドキドキのシーンです。
前の記事でもご紹介したのですが、英訳はこちらです。
B-BMP B-BMP B-BMP B-BMP
由来は分からないのですが、「B-BMP」で「ドキン」という意味の擬音表現になります。辞書には出てこないので、マンガ特有の表現なのだと思われます。
次が最後です!
どーん
「どーん」は作中で頻繁に使用されている擬音です。
英訳はこちらです。
DOOM
そのまま。「doom」には「運命」という意味がありますが、その意味で用いられているわけではなく、音の感じをそのまま表記しているのだと思います。
以上、面白いと感じた7つの擬音でした!
翻訳者の苦労と工夫を感じる擬音
冒頭でも書いたのですが、『SPY×FAMILY』は擬音表現がうまく活用されていて、独特な世界観を擬音によって作り出しているように感じます。
そんな擬音の効果を壊さずに、なるべく同じ読書体験になるよう翻訳するのはとても大変なことだと思います。翻訳者の苦労と工夫を感じました。
そんな翻訳者の苦労と工夫を感じられるのも、マンガの英語版を読む楽しみの一つだと思います。英語に興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか?
これからの予定!
『SPY×FAMILY』の英語版4巻がおそらく2021年春ぐらいに発売されるはずですので、発売されましたら「『SPY×FAMILY』で英語を学ぶ」の連載を再開していきます!
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冷戦時代に実際にあったスパイ事件や超能力研究のことについて知れば『SPY×FAMILY』がもっと楽しく読めるよ!という記事です。よかったら読んでみてください!
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