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砂時計

砂時計の良くもあり悪いところは、途中でそれを止めることができないところだ。陸上の人たちが使うストップ・ウォッチであれば、カチッと指で押して中断することができる。が、砂を止める術はない。

この銀色の砂時計――砂の色は青――を手元に置いているのは読書のためだ。ある本に、最低でも十五分は集中して一冊を読め、とあった。だから妻に頼んで、十五分を計れるものを買ってもらったのだ。

ある晴れた休日の午後。早めに入った風呂のためもあって、詩集を読んでいた私は眠くて仕方がなかった。例によって砂時計は止まってくれない。ふと、思い付いて砂時計を持ち上げ、横に倒してみた。砂は四対六ほどのバランスで不自然に傾いて止まった。大発見だ、と私は思ったが、同時に時の酷薄さを嫌というほど思い知った。

 時が止まった と思ったその瞬間に やっぱり
 時は流れていました

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