しま

平嶋恵璃香 ──【sad】出演者インタビュー⑧

12月14日(金)にロームシアター京都にて幕が上がる、ブルーエゴナク新作公演『sad』。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム‘’KIPPU”の記念すべき第1弾である今作に出演する8人の俳優に、創作過程や今作の魅力についての話を聞いた。

1、「sad」の印象について
悲しさ、という意味のタイトルですが、悲しい悲しいと訴えているわけではなく、ただそこにある、存在している無数の悲しみに対して、そこにあるね、と独り言みたいにつぶやくような、そんな作品かなと思います。そのつぶやきに対して誰も何も言わなくてもいいのです。人は凄く遠回りしないと優しくなれないのかもしれない。

2、自分の役について
村上さん、ゆきちゃん、と作中では呼ばれます。村上ゆきという彼女は、中学生のときの自分を少し思い出します。遠回りしなくても人に優しくできてそれはすんなり受け入れてもらえると、思っていた時のような、そのような今ではないところにいる人物です。私だけでなく、きっとそういう自分が誰しもの中に乖離しきれず居続けていると思うし、そのことは消化されないし、でも大切ではあるよなぁと。

3、創作過程について
エゴナクとしても1年ぶりの新作、はじめましての俳優さんも多いということもあり、稽古はじめの頃は慎重にひとつひとつ試してみる作業。それが終わるとスピードも大切にどんどん試す、俳優さんもこれはどうだと相乗効果で新たなシーンが生まれては消え、、上演はされないシーンは多々ありますが、その時間もきちんとあることがわかります。

稽古としては別段変わったことをしたわけではないけれど、〔京都で作った作品〕になってきました。それは滞在制作の面白いところだなと思います。

4、作・演出 穴迫信一について
今年穴迫さんはいろいろと再演の年だったのではないかと思っています。9月に東京・北九州で「ふくしゅうげき」(再々演)のツアー公演を終え、穴迫さんの中では一区切りしたように思っていて。今作では新しいやってみたいことに挑戦しながらも、自身が今まで行ってきた創作手法は確信をもって進めていく。

穴迫さんは聞くことにとても特化していて、音について今回も細かく演出していました。今作に出演していただいてる皆さんは声が良い方ばかりで、それを想定して脚本も書いたのではないかなと思います。

元ラッパーという肩書きにある通り、台本というより歌詞(リリック)のような言葉たち、それも穴迫脚本の特徴で、クセになる部分だと思います。

5、「sad」の見所・魅力について
今作は今だから作られた作品です。と、いうと時事問題などを取り上げるのか?と思われそうですが、そうではなくもっとミクロな個人という単位ですら大きく感じるような小さな小さな自分ですらしっかりと捕まえることのできない感覚を、悲しみがあったということを、想う演劇です。

悲しみといってしまうとなんだか簡単にわかるような気がしてしまうけど、私たちは普段想像もしないようなことで傷ついて悲しんでいたりして、楽しかったことなのに、真逆の気持ちになったりします。

そのことに関して、いちいち考えてはいられません。大きな、悲しいことが毎日世界では沢山起こっていて、私たちはほぼリアルタイムでそれを知ることができます。

そんないまだからこそ、思い切ってギュッと範囲を狭めて、見逃してしまっているひとつひとつを認識するだけを、劇場にいる間とその後の数時間、そういう世界を楽しんでいただけたらと思います。

悲しみ、と連呼していますが、
私は思い出して「ふふ、なんだったんだ」となるような、そういう作品だと思います。非現実でありながら日常と地続きである、そういう面白さがあります。

悲しみ悲しみ、といっているのでしんみりしちゃうのでは、泣かせにくるのでは?と敬遠される方ももしかしたらいるのかなと思いますが、特にそういう話なわけでもなく、群像劇として楽しんでいただけると思います。笑えてきちゃったらぜひ笑ってほしいです。ちなみに稽古場はいつも笑いに満ちていました。

観ていただけるのが本当に楽しみです!お待ちしています。

平嶋恵璃香 ー村上ゆき(ムラカミユキ)ー
1992年生。福岡県北九州市出身。2015年よりブルーエゴナクに所属。以降、ほぼ全ての作品に出演。劇団での公演の他、北九州芸術劇場の企画公演にも多数出演、外部でも精力的に活動している。劇団では入団後、宣伝美術も担当。個人でもフリーランスデザイナーとして活動している。

:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_,:∵⌒∵:,_:∵⌒∵:,

ブルーエゴナク「sad」
2018.12/14(金)~16(日) ロームシアター京都ノースホール
▼特設WEBサイト<ご予約・詳細もこちらから>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?