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木之瀬雅貴──【sad】出演者インタビュー①

12月14日(金)にロームシアター京都にて幕が上がる、ブルーエゴナク新作公演『sad』。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム‘’KIPPU”の記念すべき第1弾である今作に出演する8人の俳優に、作品創作についてお話し頂いた。

1、「sad」の印象について
印象、を答えるのが難しいです。
稽古が進むのと共に徐々に台本が上がってくるんですが、シーンが追加されるたびに驚きや発見があって、それまでのイメージががらっと変わったりします。さながら連載小説を読んでるようで。

でもお客さんはこれをひと続きの時間で観るんだと考えると、だいぶ頭がかき混ぜられるんじゃないかなあと思います。

2、自分の役について <瀬戸伊織(セトイオリ)>
スーパー一人相撲ファイターです。
自分を見てるようでむかつくやら愛着やら、複雑な気持ちです。当て書きってことでしょうか。でも伊織(イオリ)っていい名前ですよね。穴迫さんは名前のセンスがあります。算(カゾエ)とか月末(ゲツマツ)とか。

3、創作過程について
以前ご一緒した西村さんとかに前もって聞いてたんですが、台本上の句読点がルールとしてあるんですよね。ブレス(息継ぎ)を制限するっていう。台詞を覚える時点で既にそこに制約があるから大変でもあり、一方でうまく台詞のリズムに自分が乗れると快感です。

みんな台詞長いので、一緒にでかい崖登ってる感じで、結束感ある現場です。

4、作・演出 穴迫信一について
前述の「句読点しばり」のこともあって、実は稽古が始まる前、若干びびってました。穴迫さんの中にガッチガチの正解プランがあって、そこからはみ出すと容赦なく罵られるのかなって。

でも意外と自由度高いというか、むしろ守るべきはそこだけであとは成立する道を一緒に探そう、って感じでとてもフランクです。作家兼演出家の人だけど、棲み分けがうまいこといってる。なんなら、役の背景について「これどういうこと?」って逆に聞かれました。あとは健康でいてください、とだけ思います。

5、「sad」の見所・魅力について
個人の悲しみを見逃さない、っていうテーマは、それって別に誰かの悲しみに付き合うんじゃなくて、ただそれらの悲しみが「ある」ということを知る、ってことなんじゃないかと思います。

沢山のモノローグが出てきてその人物の心の内や状況や環境について言及してるけど、当人らはたぶん「かなしい」とは思ってないんですよ、必死だったりするだけで。見てるこっちが「ああ、こいつ悲しいな」と思うっていうか、ぼくは稽古してても、どの役にも全然感情移入できないなあと思ってて、それはどっちかというと作品側に移入することを拒否されてる感じで、つまり悲しみって実は客観的なもんなのかもしれないなって。

名前も知らないどこかの誰かが今も痛んでいて、だからってそれら全部にどっぷり向き合っちゃうと身が保たなくて、だからこそ、ただ「ある」ことを知る。そのための演劇作品。

まあそれゆえ、sadって言う割にそんなにどよ〜んとはならないです。比較的カラッとしてます。カラッ、サクッ、みたいな。天丼的な。美味しいので、ぜひともご賞味いただきたいです。

木之瀬雅貴ーー瀬戸伊織(セトイオリ)ーー
1993年3月生まれ。鹿児島県鹿児島市出身、京都府在住。
コントユニット“Massachusetts”、演劇ユニット“MAWARU”、コント製作プロジェクト“ママママ”など様々な名義の団体を発足し、作品を発表。軸足が常に定まっていない。身長156cm(岡本太郎と同じ)。

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ブルーエゴナク「sad」2018.12/14(金)~16(日) ロームシアター京都ノースホール
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