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うちの猫との出会い

我が家のインフルエンサー、とら君。

とら♂

主人のいうことはまったく聞かずに自己中心に生きるとら君。そんな勝手気ままな彼にもかつて子猫のころがあった。

とら君は野良猫でみなし子だった。

出会いは一昨年の秋。自宅ガレージの隅っこでミャーミャーと子猫の鳴き声が聞こえたので覗き込んで見ると汚い段ボール箱の中にボロ切れにくるまって暖をとる4匹の子猫がいた。きっとどこかの野良猫がここに入り込んで子猫を産んでしまったのだろう。

見た瞬間は「わあ子猫だ!ちっちぇー!かわいー!」とはしゃいでいたがすぐ平静を取り戻した。我が家では昔飼っていたうさぎが死んで以来、動物をもう飼わないと決めていたからだ。

ウチに猫を飼う余裕なんてない。仕事も忙しいし餌代をまかなう余分な銭もない。可哀想だがここは自然に事の成り行きを任せることにしよう。

そのうち親猫が子猫を連れて出ていくだろうさ。それまでのあいだ雨風はしのげるようガレージを間借りさせてやろう。何もしてやれないがせめてもの気持ちだ。

次の日の朝、ガレージの隅っこの段ボール箱を覗き込むと1匹の子猫だけがいて他の子猫の姿は見当たらなかった。多分親猫が人間に子猫の存在がバレたと勘づいたのだろう。隠れ家がバレてしまった以上このままここにいては何をされるかわからないと親子共々ここを出ていってしまったのだろう。

この時は親猫が別の場所へ順に子猫を連れ出している最中で、きっとこの子がその最後なのだろうと思ってさほど気にせずその場を後にした。

仕事が終わって夜、ふたたび段ボール箱を覗き込んでみると取り残された1匹はまだそこにいた。

出会った当初のとら君(生後1ヶ月程度)


お腹が空いてるのか親猫が恋しいのか朝よりも悲しそうにミャーミャーと鳴き続けていた。鳴き続けて喉が枯れたのか少しガラガラ声の鳴き声に変わっていた。

まだ親猫は引き取りに来てないのか?

その瞬間不穏な予感がした。このまま親猫が来ないこともあり得るのか?

すぐさまスマホで「野良猫 育児放棄」と検索する。自然の摂理といえばそれまでだが親猫は弱った子猫を育児放棄するなんてことは普通にあることのようだ。

コイツもう丸一日ここにいて何も食べていないのか。放っておいたら死んじゃうのか。助けてやるか。いや待て、そんな金ないし。そもそもなんの関係もないし。でもすげえ鳴いてる。うわ、どうしよう。

頭の中は軽く混乱していたが、いてもたってもいられず気づいたら子猫を拾い上げていた。わけもわからずジタバタと小さな手足でもがきながら抵抗する子猫。小さな命の温かさが手に伝わる。その瞬間この子を絶対に助けるぞと使命感が湧いてきた。

とりあえずタオルを敷き詰めた段ボール箱に子猫を入れてやった。しばらくはそこがお前の家だ。次に腹ごしらえだ。昔読んだマンガで不良が子猫に温めた牛乳をやっていたシーンを思い出す。温めた牛乳を皿についでやり子猫の前に差し出すも飲まない。匂いは嗅ぐものの口をつけようとしない。なんでだ、猫舌っていうくらいだから熱いのか。人間的にはぬるいくらいなのに。

その後スマホで調べてみると温めた牛乳は子猫によくないことを知る。マンガ知識なんぞあてにするもんじゃない。子猫用の牛乳が市販されてることを知りすぐさま車をぶっ飛ばして24時間営業のドラッグストアのペット用品コーナーへ駆け込んだ。ちっこいパックのくせに普段飲んでる牛乳より高いが背に腹は変えられない。動物用の哺乳瓶も売っていたのでそれも購入し家に戻る。

哺乳瓶に人肌に温めた子猫用の牛乳を入れ、乳首を子猫の口に当てがうと初めは警戒していたが飲み始めたらチュパチュパと飲むわ飲むわ。ひとしきり飲み終えたので箱に戻してやるとしばらくしてスースーと寝息をたてて眠り始めた。大騒ぎの夜はようやく静かになった。


成り行きで猫を飼うことになってしまい色々と大変なこともあったが振り返ってみれば案外なんとかなるもんだ。

とら君は今日も我が家で元気にかけずり回っている。

出会った当初のとら君(生後1ヶ月程度)

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