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やんばるホテル南溟森室の最終目標

沖縄タイムスのコラム「オフィスの窓」
2023年4月16日〜9月3日の間で全5回連載。

今回は第2回目のコラム連載を掲載します。

2023年4月16日〜9月3日の間で全5回の連載やんばるホテル南溟森室-なんめいしんしつ-の最終目標は、「集落を大切に思ってくれる人を増やす」ことです。

そのために「集落に泊まる冒険の旅」を提供し、多くの方々にこの土地に心を寄せていただけるよう、スタッフみんなで”やんばるらしい”おもてなしを心がけています。こうしたあり方は「アドベンチャーツーリズム」とも呼ばれ、観光庁が「自然・文化を通して日本の本質を深く体験・体感できる」と定義して推進しています。

ホテルのこうした”あり方”の根っこには、私の生い立ちと家族の存在があります。私は祖父母と両親、姉と2人の弟と共に国頭村辺土名で生まれ育ちました。幼い頃は、教科書に載っている日本らしい四季がある自然と身の回りに広がる亜熱帯の自然が大きくかけ離れていることに劣等感を感じていました。また、大学に進学する姉と一緒に高校から那覇に出た時も、沖縄出身の同級生たちでさえ私の地元がどこにあるかを知らないことに驚きショックを受けました。

地元が嫌になり、大学では海外に目を向けて活動。ところが、海外に飛び出すための資金をつくりたくて入庁した国頭村役場で、思わぬ仕事から地元のために働く喜びに目覚めたのでした。障がい者福祉事業で通学支援バスを通したことで、何年も経ってから「あの時の取り組みのお陰で障がいのある我が子が小学校を卒業できた」と言ってもらえたり。

私たちにとっては身近なムラ踊りや民具づくりといった集落での暮らしや営みをイベントでコンテンツにしたら、想像以上にたくさんの人たちが集まってくれたこともあります。
イベントでは、外の人たちがすごく喜んでくれているのを目の当たりにして、「こういうことをしていきたい」と希望で胸がいっぱいになったことを今も覚えています。

一度は背を向けた私とは裏腹に、親世代の方々の多くは、変わらずにずっと集落の行事や冠婚葬祭を支え続けています。母は「くんじゃん食の会」を結成して食文化を伝える活動に取り組むなど、親世代の方々の地元と共に生きる姿からは、”やんばるらしく”ホテルを運営していく上で大切な多くのことを学んでいます。
(やんばるホテル南溟森室運営会社 : 株式会社Endemic Garden H 代表取締役)

沖縄タイムス コラム「オフィスの窓」
仲本いつ美 連載

やんばるホテル南溟森室 
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