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染井吉野


染井吉野 (ソメイヨシノ)

バラ目、バラ科、サクラ属の落葉樹

日本を代表とする桜として最も知られるのが
ソメイヨシノであり、歴史は古く江戸時代に
世の中に登場した桜となる。二種の桜の原種
の掛け合わせは、江戸彼岸(エドヒガン)と
大島桜(オオシマザクラ)の交雑によるもの
で人工的に作り出された桜となる。


この品種の大きな特徴は、若木のうちから花
を咲かせ、美しい花を楽しむ事ができた為に
明治維新以降の日本人に広く愛されたもの。
第二次世界大戦の後の日本復興の原動力にも
東京オリンピックの時にも多くが植えられて
日本全土に植えられたソメイヨシノのその数
は何百万本とも云われている。


現代では気象庁における、桜の開花や満開の
時期を判断する標本木として用いられている。


何故、そんな事が成り立つのかというとこの
ソメイヨシノなる桜は、その全てがクローン
であり、同じ遺伝子を持っている為に同時期
に一斉に開花をする。日本列島を南から北へ
と進む桜全線の観測も、それが同じクローン
ゆえ、その予測が成り立つという訳である。


江戸時代後期に作出されたソメイヨシノとは
全ての個体が原木から接ぎ木などの栄養生殖
で増えたクローンであり、ソメイヨシノ自体
には、生殖機能は存在しない。だから接ぎ木
という手法でしか生み出す事が出来ないのが
このソメイヨシノという桜なのである。


そのソメイヨシノには、大きな欠点がある。
桜は腐朽菌に弱いという欠点を持っているが
ソメイヨシノはその弱さが他の桜より際立つ。
腐朽菌が樹木の中を侵食して中が空洞になり
倒れていくソメイヨシノが激増しているのが
実情なのである。


『桜切るバカ、梅切らぬバカ』の言葉があるが
梅は枝が古くなった順に枯れる事から剪定鋏
をどんどん入れ新たな花咲く枝を促進させる
方が良い事を表しているが、桜は剪定すると
切ったその傷口から腐朽菌が入ってしまうと
その部分から腐って弱るとされているからで
ある。


江戸時代後期から数えてみると桜の生誕した
のは約100年前と云われる。一般にはこの
ソメイヨシノの寿命は、約60〜70年とも
言われており、日本全土にこれが植えられた
のは戦後の復興の時が植樹のピークとなる為
78年前であり、東京オリンピックの開催は
60年前にあたる為、桜の寿命から考えると
寿命を迎えて、倒れていく時期にあることが
分かる。


ソメイヨシノという桜の長所と短所を並べて
みると次の様になる。


■ソメイヨシノの長所
・花弁が大きく、整った形で鑑賞性に優れる
・木の成長が早く、育てやすい
・クローンゆえにまとまって開花をする


■ソメイヨシノの弱点
・病気に対しては他の桜の品種よりも弱い
・日本にあるソメイヨシノはすべてクローン
 個体全て同じ遺伝子をもつ事から同じ病原菌
 に対して共通の脆弱性を持っている
・ただ名札をその樹木に刺した箇所であるにも
 関わらず、その部分から劣化してボロボロに
 なる程、小さな傷すらも致命傷につながる
・腐朽菌により樹木の内部からやられる事から
 倒木の危険回避の為に伐採せざるを得ない


植物園のガイドツアーで桜の特集を組まれた
ものに参加した際には、このソメイヨシノは
あと百年もしない内に絶滅してしまうだろう
との言葉を聞く。目の前に真ん中がゴッソリ
となくなり、空洞化が進んでしまったそれを
目の前にしての説明だったので、私としては
かなりショッキングな現実を突きつけられた
感があった。


日本の各地には、そんなソメイヨシノを守り
生き長らえさせる人々が存在しており彼らは
『桜守』と呼ばれている。必要な範囲の剪定、
その部位への菌侵入を防ぐ処置、害虫対策の
殺虫剤の使用方法、土の入替え作業の仕方、
肥料の種類や与え方、など色々な工夫をする
事により、寿命は大きく伸ばせる様になった
地域もある。


染井吉野の名称であるが、この『染井』とは
東京駒込の地の旧名でソメイヨシノという樹
が生まれた地名である。もうひとつの『吉野』
とは桜の名所としても知られる奈良の地名で
これら二つを合体させたものとなっている。


ソメイヨシノは、私の写真ストックの中には
ギュウギュウにあるのだが、この重い内容を
先ずは書かずに出せないなとしていたもので
あり、この記事を機に解禁としようと思う。


写真は、大阪城敷地内の豊国神社のものを
染井吉野の最初に持ってきたものである。





和名 桜 (サクラ)
洋名 ヨシノ チェリー
   (YOSHINO CHERRY)
   ソメイヨシノ
   (SOMEI YOSHINO)
学名 プルナス エドエンシス
   (PRUNUS X YEDOENSIS)
品種 染井吉野 (ソメイヨシノ)
   吉野桜 (ヨシノザクラ)
分類 バラ目、バラ科、サクラ属
種類 落葉樹
   園芸品種
草丈 10〜15m 
開花 晩春
花色 白、桃
花径 30〜35mm
原産 日本
交配 大島桜 (オオシマザクラ)
   江戸彼岸 (エドヒガン)
言葉 永遠の愛
   精神の美しさ
   優雅
撮影 豊国神社(大阪城敷地内)

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