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姫蒲


姫蒲 (ヒメガマ)


イネ目、ガマ科、ガマ属、の多年生植物。


この植物の花粉は蒲黄(ホオウ)と呼ばれて
薬用として利用されてきた。イソラムネチン
配糖体という、フラボノイド成分が含まれて
止血、通経、利尿などの作用を持っている。


これの円柱状の穂は、蒲ノ穂(ガマノホ)と
呼ばれており、これをほぐして布に包み込み
当て物にしたり、タンポン式に内装させてと
生理用品として昔から利用されてきたもの。
これの花粉には皮膚を収斂させるのと、止血
の作用の両方を兼ね備えていた為である。


日本最古の歴史書と言われている。古事記。
その中に記される神話『因幡の白うさぎ』に
本種の穂が薬草として登場する。誰もが知る
この話、簡単にあらすじを記載しておこう。



『因幡の白兎』

出雲の国に居られた『大黒様』という神様。
多くの兄弟の神様たちがいる中、一番心根の
優しかったのが、この大黒様であった。

因幡の国に『八上比売』(ヤカミヒメ)なる
美しい姫がおられるとの事で兄弟全員でその
姫を見に行こうという事になった。大国様は
普段からその心根の優しさから兄弟たちには
いい様に家来の様に扱われていて、この時も
兄弟の荷物持ちをさせられていた。それらを
まとめた大袋を背負いながら、因幡までの道
を歩むも、荷物が大きく重い為に兄弟たちは
遥か彼方はずんずんと進み、大国様は遅れて
歩いて行く。と、そこに体の皮を剥がされて
痛々しい兎が泣いているのに出会う。

どうしたのか尋ねると、壱岐島に住んでいた
この白兎が、違う国の土地へと海を泳ぐ事も
なく渡ってみたいと考えていると、海の中に
ワニ(今で言うサメ)の姿を見つけて、これ
を利用して海を渡ろうと考え、サメとウサギ
のどちらが多いのかを競い合ってみないかと
ふっかける。海に並ぶサメの背中を跳んでは
数を数えるフリをする白兎は、間も無く対岸
へ着くというゴール寸前に、サメを騙した事
をポロリと喋ってしまい、怒ったサメ達から
ウサギは全身の皮をひん剥かれてしまう。

そこに通りかかった布袋様の兄弟たちはその
白兎に海に浸かってから、風にその身を晒す
事で治るよとウソを教えて、白兎は言われた
ままに実行するが、全身にはただ痛みだけが
酷い事になっており、泣いていたのである。

不憫に思った心優しい大国様は、白兎に対し
身体を川の水で洗った後に、ガマノホを地面
に敷き詰めて、その上に寝そべりなさいとの
対処方法を白兎に伝える。

ガマノホには、止血と皮膚の収斂作用がある
事から、白兎の身体にはあれよあれよと白い
毛が生え揃った事で、白兎は元気を取り戻す。

兄弟に遅れて、因幡の地へと到着した大黒様
は、八上比売(ヤカミヒメ)にやっと出会え
そのお姫様が兄弟の中でお相手に選んだのは
心優しき大黒様であったという話である。

このストーリーの教訓は、他者を騙すという
悪行は何倍にもなって自分の身に降り掛かる
という教訓と、他者への慈愛の気持の大切さ
と、ガマノホという薬用植物が一般の者にも
安全に使えるという解説がなされているのが
良い読み物として今の時代も語り継がれてる
ものである。





和名 姫蒲 (ヒメガマ)
洋名 サザン キャットテイル
   (SONTHERN CATTAIL)
   カンバンギ
   (CUMBUNGI)
学名 ティファ ドミンジェンシス
   (TYPHA DOMINGENSIS)
分類 イネ目、ガマ科、ガマ属、ヒメガマ種
種類 多年生植物
草丈 150〜200cm
開花 春〜秋
花色 茶
原産 日本
言葉 慈愛
   予言
撮影 服部緑地都市緑化公園

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