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EYVIND EARLE


今回はアニメーションの世界に深く関わってきた
デザイナーのお話となる。

私が小学生の東京は杉並区に住んでいた頃のお話、
家の近所にはアニメ制作会社があった。


その制作会社は、テレビや映画アニメーションに
使われるキャラクターのセル画を作っていた会社。


設定資料集に基づいて透明なセル画にアウトライン
が墨で入り、そのセルの裏側から着色が施される。
それらはアニメ制作をする上で重要な設定資料なる
もので管理されてて、複数の作画の作業者によって
バラツキがない様に徹底するものである。


そんなアニメ制作会社のゴミバケツの中には、実際
我々が目にした放映アニメの場面を切り取ったセル
画が無造作に捨てられていて、それを小学生の頃に
仲間たちと大喜びで拾い家に持ち帰った。勿論だが
それらはゴミとしてデッカイポリバケツの中に廃棄
されているものなので、廃品回収である。その後の
アニメブーム到来によりセル画はそんな風に捨てる
事はなくなり、販売されるものへ変わっていった。

私がそんな廃棄されていた時代に拾ってたセル画
はTVのルパン三世の赤ジャケシリーズだった。
緑ジャケットなら宮崎駿氏も後期には関わられて
価値も随分と違うものになったであろう。あの
未来少年コナン、ルパン3世カリオストロの城、
そしてジブリシリーズへのタッチの片鱗がルパン
の緑ジャケットシリーズに名残があるからである。

だが、そんなセル画はキャラがそこにあるので
価値のあるものであったが、それ以外に私を
唸らせたのは背景画である。アニメキャラの背後
を飾るものだがきちんと絵具で一枚一枚が丁寧に
描かれているのが見事な美しさであった。


小学校の仲間たちと廃棄されているゴミバケツの
中をひっくり返して、他の仲間はセル画だけを
集めていたが、私は背景画も気に入った物などは
持ち帰った。その位に背景画も美しかったのだ。



そんな背景画の道を歩んだデザイナーが今回の
主役である。


アイヴァンド アール (EYVIND EARLE)

アメリカ合衆国の画家である。



ディズニーの昔の映画「眠りの森の美女」を見た方
なら、彼の絵を見た事がある事となる。



彼の父親は、演劇舞台の大型の背景を描いていた
画家であり、アイヴァンドも父親の影響から背景画
等を描く様になる。遠近物の描き分け、陽光による
光と影を巧みにシンプルに描き上げて分かりやすい
情景を描く。そして、その作業は時間を掛けないで
サラサラサラと仕上げる。膨大なアニメの背景画は
大量に作り出す必要があるので、時間を掛けてなど
いられないものだったのだ。



そんなアイヴァンドの描く背景画を見てそれの美に
惚れ込んだ人物がいる。あのウォルト ディズニーで
ある。ディズニー自身はアニメーション世界の中の
絵作りには一切の妥協など許さない人物であった。
キャラクターは当たり前だが、そのキャラクターを
背景の前に登場させ、キャラクターの引き立て役に
見合った背景とする。そんなディズニーの望む背景
画としてアイヴァンドの絵は完璧にその要望に対し
ちゃんと応えたのである。



我々が普段見ているアニメーションも今はデジタル
化の流れになるものであるが、かつては背景なども
全てが手書きであった。アニメのセルを上に乗せて
コマ撮りをしたものを繋げてアニメーションになる
のだが、この背景の絵は光を反射しないマット仕上
でビックリするほどに美しいものである。



アイヴァンド アール氏のそれらの絵は直に見た事は
ないがきっと息を飲む美しさだったのだと思う。


If you've seen Disney's old movie "Sleeping Beauty," you may recognize his art.

Eyvind's father, a painter who created large backdrops for theatrical stages, influenced Eyvind to paint backgrounds. Eyvind skillfully depicted perspective, light, and shadows with simplicity, creating easily understandable scenes. His work on extensive animated backgrounds needed to be produced
quickly, without the luxury of time.


Walt Disney, captivated by Eyvind 's backgrounds, appreciated their beauty,
as they perfectly met Disney's vision for enhancing characters with fitting backgrounds.


While today's animations are digital, hand-drawn backgrounds, like Eyvind's, were once stunningly beautiful with a non-reflective matte finish.

Though I haven't seen Eyvind E arle's
paintings in person, I imagine they were breathtakingly beautiful.



彼はディズニーのアニメの背景の他に、ディズニー
ランドのシンデレラ城のデザインコンセプトにも
参加している。残念ながら彼は2000年にこの世
を去ってしまった。



それでもシンデレラ城アトラクション、ミステリー
ツアーに参加をすれば彼のデザインにはこれからも
触れられる。死してなお、我々に美を与える仕事。
その尊さである。


人は一生の中で自分が存在していた事をどんな風に
残せるのだろう。以前は他でのブログを書いてた時
死んでも残せるのは、そのブログくらいかと思って
いた。そのブログを通じ、自然界の素晴らしき世界
や芸術、建築、店舗など優れていると思ったモノを
記録として残せるかと思っていたのが、あっさりと
ブログの世界など時代遅れと判断したのか、多くの
ブロガーを不要品として切り捨ててしまった。


NOTEを移転先として終着駅として辿り着いたのは
他ブログの世界の様に、記事の腰を折る様な望まぬ
宣伝が入らぬことと、有料コンテンツがブログ内に
ある事から、突然の打ち切りなんてものがないとの
判断からである。


だからこそ、読まれた人が何かしらでも心に何かを
残して貰える、そんなモノにしていきたいと考えて
記事を書いていくつもりなのである。


世の中に忘れないでいて欲しいモノは一杯ある。
今回のアイヴァンド アール氏の様に。






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