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# 植物図鑑 『実種編』

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この実、何の実、気になる実 実、種、の調査リポートです。
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2024年2月の記事一覧

狐豆

狐豆

狐豆 (キツネマメ)

マメ目、マメ科、タンキリマメ属

以前に丹波篠山で見つけたこの豆は
服用すると、痰がよく切れる民間医療薬の
痰切草(タンキリマメ)として紹介した。

狐(キツネ)が、この種を食べる事から
狐豆(キツネマメ)とも呼ばれると云う。

春の訪れをもっても、この黒く小さな豆は
鞘にくっついたままで、可愛らしい。

和名 痰切豆 (タンキリマメ)
   狐豆 (キツネマメ)
   外

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老鴉柿

老鴉柿

老鴉柿 (ロウヤガキ)

カキノキ目、カキノキ科、カキノキ属、
つまりは柿である。

中国を原産とする小型の実がつく柿で
日本へは京都の植物園園長が日本へと
持ち帰ったもの。

その実は小さく、うずらの卵大のものだが
残念ながら可食に適さないものである。
そんな食べられもしない柿ではあるのだが
生花、盆栽、庭木にも人気がある小低木。

柿の蔕(ヘタ)の部分がとても大きい事から
正月遊びの羽子板でカ

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AUCUBA JAPONICA

AUCUBA JAPONICA

アウキュバジャポニカ
(AUCUBA JAPONICA)

ガリア目、ミズキ科、アオキ属

常緑低木で、高さは5m程までになる樹木、
青木 (アオキ)である。

街路樹や、生垣、庭木などにもされているが
周りの人のこの樹に対する反応はもひとつ。

前回は、白三光覆輪(ハクサンコウフクリン)
のリーフパターンを紹介したが、それ以外には
緑一色のものと、モヤモヤのツートンカラー
のものがある。

単色

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南天葉 & 南天実

南天葉 & 南天実

南天(ナンテン)

南天のこのシュッとしたカタチの良い葉は、
南天葉(ナンテンヨウ)と呼ばれる生薬になる。

微量のシアン化水素を含んでおり、人には無害
な量であるが、弁当箱の中に彩りの為に入れる
事で、防腐作用も持つのである。

生薬としては、咳止、解熱、などに利用される。

南天の実は、南天実(ナンテンジツ)と呼ばれる
もので、これも咳止効果をもつものだが、危険な
毒性物質を含む事から、素人は

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常盤山樝子

常盤山樝子

常盤山樝子 (トキワサンザシ)

バラ目、バラ科、サンザシ属の多年生低木

冬場の餌が少なくなった鳥たちにとって貴重
な食糧源となってくれるバラ科の低木。庭に
これを植える事によりバードウォッチングが
楽しめるものとなり、鳥好きの方にはお勧め
の樹木となる。

学名のピラカンサはギリシャ語からの言葉、
であり、ピル = 炎、アカンサ = 棘 から
きた名称である。炎は橙色の実から、棘は
この植物の

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PITTOSPORUM TOBIRA

PITTOSPORUM TOBIRA

ピットスポラム トビラ
(PITTOSPORUM TOBIRA)

セリ目、トベラ科、トベラ属の常緑広葉樹

学名に付くトビラは、日本語の扉を意味する。
悪霊退散、邪気追放を目的とし、この樹木の
葉に鰯(イワシ)の頭を付けたものを玄関の
扉上に飾るという、日本に古来の伝承儀式を
由来に、和名でも『扉』(トベラ)と呼ぶ。

男集団でのウォーキングアクティビティの時
天を仰ぐと、赤い実がキラキラと輝い

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SKUNK VINE

SKUNK VINE

スカンク ヴァイン (SKUNK VINE)

鈍く金色色に輝いているこの実の洋名。

スカンクは、あの誰もが知る敵襲にガスを
放出し、そのあまりの臭さに肉食獣が追撃
をやめてしまうという動物である。

ヴァインは、蔓性植物を指した言葉。

リンドウ目、アカネ科、ヘクソカズラ属の
多年生蔓性植物、屁糞蔓(ヘクソカズラ)
の洋名がこれとなる。

庭などにも勝手に生えてきて他の植物へと
絡みつく。これ

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六条大麦

六条大麦

六条大麦 (ロクジョウオオムギ)

イネ目、イネ科、オオムギ属の一年生植物。

その大麦には、その種のつき方で大別すると
二条、六条、の二種類となる。この二種類の
大麦の穂を上から見た時の列数が二列のもの
を二条大麦、六列のものを六条大麦という。

二条大麦の方はビール麦とも呼ばれており
ビールや焼酎など酒類の原料にもなるもの。
実が大粒であり、でん粉質が多くて、苦味が
出にくく麦の甘みが豊かに

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悪し実

悪し実

悪し実 (アシミ)

ツツジ目、ツツジ科、アセビ属の多年生の低木

死の世界へと誘う実、ゆえのこの呼び名

現在は『馬酔木』と書いて、『アセビ』と呼び
馬がこの樹木を食すと酔った様に倒れてもがき
苦しみ死んでしまう事から、この漢字が使われて
いるものである。

『アセビ』の名の由来は『悪し実』とされてて
『アシミ』→『アシビ』→『アセビ』と変遷を
してきたとの説が最も有効だと私も考えている。

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JOB'S TEAR

JOB'S TEAR

ヨブズ ティア(JOB'S TEAR)

イネ目、イネ科、ジュズダマ属の植物。

和名では『数珠玉』(ジュズダマ)と呼ばれ
硬い実を糸を通して繋ぎ、数珠状にしたこと
から、この名称が付いている。

タイトルの洋名にある、『JOB'S TEAR』は
「ヨブの涙」と和訳される。ここでの「ヨブ」
とは、旧約聖書に登場する聖書の人物であり
ヨブ記として知られている。ヨブは、物語の
中で神に対する信仰と忍耐

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梅擬

梅擬

梅擬 (ウメモドキ)

モチノキ科、モチノキ属、ウメモドキ種の
樹高が2〜3mの落葉低木となる。

梅擬(ウメモドキ)の名は、この葉も花も梅
に似ている事から、この名がついている。

日本を原産とする樹木であり、ジャパニーズ
ウィンターベリーの洋名がついているのだが
残念ながら絶滅危惧種として、日本各地にて
自然界のものが姿を消していっている。

こちらのものは奈良の吉城園にて撮影した。
庭園内で

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CARICA PAPAYA

CARICA PAPAYA

カリカ パパイア (CARICA PAPAYA)

アブラナ目、パパイア科、パパイア属

果物でも知られている、パパイアである。
沖縄の居酒屋さんではこのパパイアが漬物
としても扱われていて、こんな食べ方も
あるのだなと感心したものである。

パパイア、パパイヤ、どちらも正解となる。
これは前述の記事にも書いていたもの。

この植物は実も魅力的だが、デザインリーフ
としても、とても美しいものである

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車輪梅

車輪梅

車輪梅 (シャリンバイ)

バラ目、バラ科、シャリンバイ属の常緑低木

潮風ニモ負ケズ、刈込ニモ耐ヘ、病害虫ヲモ
寄セツケズ、肉厚ノ葉ノ並ビハ車輪ノ如シ。

いきなり宮沢賢治風の解説となってしまった
のも、色んなものにも負けず、めげない性質
からの語呂合わせ。その強い性質から近所の
公園などに良く植えられている植物である。

枝軸が車輪のスポークの様に放射状に並んで
また咲いた花が梅のそれに似てい

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戦

戦 (ソヨゴ)

モチノキ目、モチノキ科、モチノキ属
常緑小高木

風が吹いて、この樹木の中を抜けていく時に
その固い葉っぱ同士が特徴的なザワザワ音を
立てるその様を、『戦ぐ』(ソヨグ)と表現。
その事からこの樹木に、戦(ソヨゴ)の名が
ついたとされ、『戦ぐ』と云う言葉そのもの
がこの樹に由来するものである。

そんな語源になっていながら、根は浅い為に
大型の台風到来では倒木しやすいというのも

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