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沢山のものをつくりたい。

最近、何を残せるのか、ずっと考えている。
誰かに看取られる最期を考えるようになった。
家族が欲しくなった。

日々の仕事に誇りがある。
その仕事が、おれがいないと生まれないものなのか、疑問を持つようになった。
昔から不器用で、何かに向かうと、何かが疎かになった。
そんな自分にとって、仕事は打ち込める希望でもあり、たくさんのことを捨てる口実にもなっていった。
仕事をしていないときの自分が嫌いだった。
そんなタイミングで、今の仕事に疑問をもったとき、逃げ場がなくなって、このままじゃ生きれない、と思った。

先日友達のような同僚に言われた。
「自分に子どもが生まれたら、その彼や彼女が世の中に残していくものは、自分だけが残す何かよりずっと多いはず」
正しいとか、そんなのはないけど、大きな道のひとつだと、本当に思った。

最近、昔から知っていた、ある曲を聴いた。
ひとりのデザイナーの経歴をそのまま歌詞にした、人生のような曲。

1977年東京池袋に生まれた。はじめは母親と二人で過ごした。途中から新しい家族の家で過ごした。幼い頃から飲み屋を連れ回された。当時はホステスにもてた。学校は登校拒否をしていた。家ではゲームをしていた。借金取りが怖くて泣きながら警察を呼んだ。父が居なくなった。捕まった。小学校卒業。交通事故にあい首を痛めた。父が帰ってきた。父が死んだ。中学校卒業。日本橋服地加工工場に勤めた。交通事故にあい死にそうになり首を痛めた。音楽に夢中になった。点描をやめた。中古のMacを買った。何人かのおかしな人に出会った。別れた。知らず悪い企画制作会社に入るがすぐ辞めた。辞めた後脅され毎日びくびくした。いくつかの職場を転々とした。二一歳、デザインをすることが楽しくなった。やがて結婚した。子供が生まれた。離婚した。子供を引き取った。子供を育てる。首美(qubibi)を屋号にして活動する。沢山のものを作りたい。

qubibi ウェブデザイナー勅使河原さんのプロフィール

たくさんのことを始めて辞めて、出会って別れて、結婚して子どもが生まれて離婚して、子どもを育てて、ものを作る。
尊い曲で、かけがえのない人生だと思った。

これまで、何かをやるために、何かを捨てるような人生だったし、これからもそういう生き方しかできないのかな、と感じている。
それなら、ひとつずつやればいいと思った。
どれかを頑張って、何かをいったん忘れてもいい。
幸いにも、周りにはそれを待ってくれる人ばかりだと思う。

誰かの心を打つような、自分がいたことで誰かが歩む道が変わるような。
そんな人生は歩めるだろうか、今からでも。

沢山のものをつくりたい。

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