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詩/傷痕

傷痕から花が咲けばいいのに、と思ったことがある。

四葉のクローバーは幸運の象徴と言われるけれど、その見た目は愛されるけれど。
実際、その4枚目の葉は他の葉が成長時に傷付いたことで出来るのが殆どだ。

人の傷痕はどうやってもただの汚点にしかならないらしい。
刺さるような目線に、傷が増えたような錯覚を覚える。

同じもの、その筈なのに。
ついているものが違うだけで、こんなにも人の目線は違う。
自分の頬に残る傷跡をなぞり、深々とため息をつくいた。

いっそ、この傷口が避けて。
種が入り込んで。
花が咲けばいい。

冬虫夏草のように、私は生きながら養分になっていくのだろう。

そしたら、
そうしたら。

漸く、私は君の慈愛の眼差しで縫い止められるのだろうか。

冷え始めた空気はピリピリと肌に痛い。
それこそ、避けてしまいそうな程。

この冬を超えて、春には花が咲く。

そんな夢想を抱きながら、冷たい空気を肺いっぱいに満たした。


絵でも、彫刻でも、人や生物から零れるように花が咲くってついつい作ってしまうモチーフだったりします。

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