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虚弱体質の生存戦略

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弱者には弱者の戦略がある。ということで、身体の弱い私の独特の世渡り術と、過去に出会った世渡りの巧者たちを取り上げ、この忙しい時代にどう「力を抜いていくか」を一緒に考えたい、という…
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#生き方

くろうさぎ

名前をくろうさぎというその男は、見た目からして薄命な人物、という印象を誰もが受けるような人物だった。 目が悪く度のきつい眼鏡をかけており、華奢な体格に似合う女性がごとき細い指の先には、乾燥肌の影響かささくれができている。普段は穏やかに読書をし、気が向けば土をいじり、近所を歩き、野草を観察する。そんな人物であった。しかし、その見た目が故に、内実勇猛果敢な面があるくろうさぎは頭脳派とみられるのが常だった。 もっとも、中身が勇猛といえども、体力が追いつかないのに勇猛果敢な挑戦を

私、雑草の生き方好きなんですよ。

私はただのアルバイトである。それ以上でもそれ以下でもない。理由は単純、フルで働く体力がないからだ。だったら、体力をつければいい、と誰もが思うだろうが、そんな簡単な話ではない。ジムに行ったり食事を工夫したりしたが、体重は増えもしないし減りもしない。身長が178センチあるのに対し体重は50キロに満たないほどである。これでは持久力がないのも当然だ。 さらに言えば、能力もそんなにない。プログラムができるわけでも、ずば抜けて教養があるわけでも、何か別の言語を習得しているわけでもない。