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「子供の頃に身につけておくべき大切なこと」アトリエe.f.t.卒業生インタビュー♯5 二藤夕弥子

卒業生インタビュー第5回は、1999年度卒業の二藤夕弥子(にとう ゆみこ)さん!

大阪芸術大学・写真学科を卒業後、写真撮影会社でカメラマンとして勤務。十数年後にはカメラマンとして活動しながら、セレクトショップの経営も開始。また、卒業生である二藤さんのお子様も、現在アトリエe.f.t.に通われています。今回はそんな二藤さんご自身のアトリエe.f.t.での経験談と、お子様をアトリエe.f.t.に通わせることに至った経緯や考えについて迫りました。


【約20年前のアトリエe.f.t.】

ー 今はセレクトショップの経営とカメラマンの二足のわらじで働かれているということですが、どのような経緯でそのような形になったのでしょうか?

二藤:セレクトショップをやり出したのは割と最近な方で、先にずっとカメラマンをやっていました。セレクトショップは最初は旦那が始めたんですが、男の人より女の人が店に立ってる方がお客さんが入りやすいかもしれないという話になり、流れの中で結局私がメインですることになりました(笑)。

ー なるほど!カメラマンのお仕事はどのような依頼が多いのでしょうか?

二藤:ほとんどが小学校や中学校の遠足などの行事ごとの際に撮る、スナップ写真や集合写真の依頼です。あとは結婚式や七五三などのイベントや記念日の写真撮影の依頼もちょこちょこある感じですね。

ー 昔からカメラマンになることが夢がだったのでしょうか?

二藤:写真に興味を持ったのは高校生くらいからです。近所の駅前のカメラ屋さんが芸大の写真学科の先生を呼んで、カメラや写真撮影の講習をやってたんです。その講習に当時仲の良かった友達に誘われて行ってみたらとても楽しくて。

ー そこから芸大への進学を決められたわけですね?

二藤:そうです。ちょうど芸大に行きたいタイミングでアトリエe.f.t.を知って通うようになりました。当時はまだ今のように固定の場所があったわけではなかったので、家庭教師のような形で教えてもらっていました。

ー そうなんですね!二藤さんが教えてもらっていた時は、約何年前くらいになるんでしょうか?

二藤:約20年前です。たかしん(アトリエe.f.t.代表:吉田田タカシ)も当時は大学生だったので、本格的にアトリエの運営をやっていこうとはまだ思ってなかったんじゃないですかね。
そこからまさか20数年も続くなんて私も思ってなかったです(笑)。ただ当時からたかしんはアトリエe.f.t.の看板を掲げてやっていました。

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【こどもあとりえ誕生のきっかけを作った?】


ー アトリエe.f.t.に入って何かご自身に影響はありましたか?

二藤:年齢も近いので先生と生徒というよりもっとラフな感じでしたが、それでもたかしんにはとても影響を受けたと思います。当時からe.f.t.以外にも音楽をやったり、デザインしたり、個展やグループ展をやったり行動力があって、とても楽しそうに見えました。
私自身、昔から楽しいことをすることが好きで、物事を選ぶ際も楽しいか楽しくないかで選んでいましたが、さらにもっといろんな楽しいことに挑戦しようと思うようになりました。

ー お子様のふうらさんもアトリエe.f.t.に通われているとのことですが、なぜふうらさんも通われるようになったのでしょうか?

二藤:ふうらはもともと絵を描くことが好きで、それならe.f.t.に行ってみれば?と思ってたのですが、ふうらが小学校6年生の時にe.f.t.が毎年夏に行っている夏合宿に行かせてみたんです。合宿が終わって、「楽しかった!」と言って帰ってきたので、中学に上がったタイミングで通わせるようになりました。

ー お子様を夏合宿に行かせてみようと思ったのは、アトリエe.f.t.の教育の良さを身をもって体験していたからですか?

二藤:私が通っていた頃はたかしんも大学生だったので、「こどもあとりえ」なるものはまだありませんでした。むしろ私に子供ができてから、たかしんに「子供が通えるアトリエやってよ!」ってずっと言ってました(笑)。

ー え!では「こどもあとりえ」ができたきっかけは二藤さんなんですか!?

二藤:いえ、そういうわけではないと思う(笑)。 たかしん自身もその必要性を感じていたんだと思います。
私も子供が幼稚園くらいの時に地元で子供アトリエをしていたことがあって、ふうらと同じ幼稚園の子供達に参加してもらっていました。セレクトショップを本格的にやり出したり、子供が大きくなったこともあって今はやってないんですけど。

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【他人の価値観を認め合うことの大切さ】

ー ご自身でも子供アトリエをされてたんですか!それは驚きました!なぜ子供アトリエを始めることになったんでしょうか?

二藤:私が学生の頃は好き放題していて、とても自由に生活していたなと自分でも思うんですが、もともとうちは勉強第一の家庭で、厳しくて中々自由にさせてもらえませんでした。
小さい頃は何も知らなかったので、そういうものなのかなと親の言われた通りにしていました。

でもどんどん小さな違和感が膨らんでいき、中学生になり反抗期や思春期などが重なって、めちゃくちゃ反抗するようになりました(笑)。
「なんでそんなに周りばっかり意識して生きないといけないんだよ!」って。

ー 感情が爆発したんですね(笑)。

二藤:もう一つ「ちいさな哲学者たち」というドキュメンタリー映画が大きなきっかけになりました。その映画はフランスのとある幼稚園児の教育について追った映画なんですが、クラスであるお題を出して、みんながあぁでもない、こうでもないと話し合うんです。

フランスは多民族国家でいろんな子がいるから、あらゆる意見や価値観がぶつかって喧嘩したりするんですけど、話し合いでそれを解決したり、ワークショップをしてみんなで考えさせたりするんです。それがとてもいいなと思って、友達を誘ってやり始めました。

ー 二藤さんの幼少期、学生時代の体験と映画の内容がどう子供アトリエの開設につながっていくのでしょうか?

二藤:子供には自分の価値観、自分の気持ちを口に出して話せる子供になってほしいと思ったのと、他の人の考え方や価値観も許容できるようになってほしいと思ったんです。そういう子がふうらだけでなく、もっとたくさん増えてほしいなと思いました。

中々日本って自分の気持ちを素直に表現したり、相手を尊重するような教育ではない印象なので。そういったことを学べるワークショッププログラムをメインにやっていました。

ー いろんな価値観を許容できるようになると、どんないいところがあると思いますか?

二藤:人に優しくなれますし、自分の視野も広がっていくと思います。これしかないと自分で決めつけてしまうと悩んで答えが出せなくなるときもあると思います。
でも視野が広がることで、「あの人はこう考えていたなぁ」とか「そういう考え方もあるのか」と何かで悩んだ時に自分の答えに辿り着きやすくなると思います。

中島さんこどもアトリエ

二藤さん達が主催する子供アトリエのワークショップの様子

【生きるを学ぶ】

ー 実際にお子様をアトリエe.f.t.に通わせてみて、視野が広がったようなところは見受けられますか?

二藤:そうですね!いつもe.f.t.であったことを、とても楽しそうに話してくれます。
e.f.t.は幅広い年齢の人が通ってるので、普通の中学生じゃ出会わないような人と話す機会も多いし、それこそ先ほど話した映画のように作品に対しいろんな意見を交換できる環境です。

ただやっぱりいろんな人がいるからこそ、ふうらがびっくりするような行動をとる子もいるみたいなんですけど、ちゃんとe.f.t.の先生たちが、「なぜあの子はこんな行動をとったのか」しっかり話してくれてフォローしてくれるんです。

作品を作れる環境、いろんな幅広い人たちがいる環境、先生たちがしっかりフォローしてくれる環境、様々なことがe.f.t.には内包されてるからこそ、いろんな価値観の許容や視野の広がりを無理なく学べるんだと思います。

ー 思春期の頃の体験は年数が経っても忘れないので、中学生の時にこういったことが学べるのはとっても良いですね!

二藤:あとe.f.t.の元生徒として思うのは、e.f.t.は自己表現ができるようになるのと同時に自己肯定感も上げてくれるところだと思います。
昔からたかしんは否定から入らずにまずは褒めてくれてたんですが、他の先生方もそのスタンスを踏襲しているそうで、子供が一生懸命作ったものに対して「それすごいね!」と言ってくれるそうなんです。

認めてもらえるから自己肯定感も上がるし、自己肯定感が上がればモチベーションも上がる。モチベーションが上がれば、もっといいアイデアを考えたり、挑戦心も生まれたりする。
自己肯定感が上がれば、良い循環が生まれていくのだとと思います。

ー お子様がアトリエe.f.t.に通うことで、どのように成長していって欲しいと思いますか?

二藤:自分の人生なので、親が決めるのではなく、自分で楽しい人生を作れる子になってほしいと思ってます。
すでにやりたいことがいっぱいあるみたいなのでそのあたりは特に心配していませんが、e.f.t.でさらにその幅を広げてもらっていると思います。

e.f.t.は展覧会や夏合宿などの様々なプロジェクトを行っていて、いろんなことに挑戦できる場を設けてくれています。その中で興味のあることはどんどんやっていけばいいし、自分でやりたいことがでてくれば、それをどうすればできるようになるのか、どうすれば表現できるのかを考えて実行できるような大人になってくれたらいいなと思います。
それが「生きる」ということだと思いますし、「生きる」を学べる場所がアトリエe.f.t.なんだと思います。


インタビュー・テキスト:新 拓也(ピクセルグラム/ブランディングデザイナー)

撮影:岩本真由子(フォトグラファー)

100人100通りの人生に取説は無い! 自分だけの地図を描くチカラを身につける。 「つくるを通して生きるを学ぶ」アトリエe.f.t.です。 応援ありがとうございます!!