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Arsenal Loan Watch Special : EFLチャンピオンシップでプレーするローニーの現状と今後

-Introduction

現地の有力ローンウォッチャー2アカウント+日本国内のユースウォッチでおなじみのふらんこさんに、EFLチャンピオンシップで活躍する5名のローニーについてQ&Aの質問形式でお答えを頂きました。この場を借りて3名の方にはお礼申し上げます。ありがとうございます。

◆AFC LoanWatch  @AFC_Loanwatch
◆Arsenal Loan Watch @arsenal_loans
◆ふらんこ @franco_afcfan

選手個別の紹介は省き、シンプルに各選手の現状と今後についてをまとめさせていただきました。


Q1.チャーリー・パティーノ(ブラックプール)

MF28 Charlie Patino(19) Blackpool FC



彼の適正ポジションについてどう思われますか?
今冬にローンバックしたほうがいいと思いますか?
もしくは来年の夏?来年もチャンピオンシップで修行したほうがいいと思う? 足りないものとは?

◆AFC Loan Watch
個人的には現在グラニト・シャカがプレーしているようなポジションに最も適していると思う。彼はプレッシャーを回避するのが得意で、ファイナルサードで貢献できるクオリティを持っている。アーセナルの守備と攻撃をつなぎ、チームを前進させて攻撃をサポートすることができるだろう。今シーズンはブラックプールに残り、フィジカルなリーグで1年間レギュラーとして試合に出るべきだと思う。技術的な能力が高いことは否定しないが、プレミアリーグのような激しいリーグに対応できるようになるには時間が必要だ。もし彼がブラックプールでこのまま力強いシーズンを送り続けるなら、来夏のプレシーズンに彼を一度トップチームに戻し、またローンするかどうかを決めるのが適切だと思う。アーセナルには現在、中盤のオプションがあまりないので、彼がブレイクするチャンスになるかもしれない。

◆Arsenal Loan Watch
ブラックプールのフォーメーションは頻繁に変化しており、彼のポジションも変化している。今まで4-2-3-1のダブルピボットで左DMとしてプレーしている。彼は非常に力強いタックルを仕掛けることができ、まるで何年もチャンピオンシップの経験を積んできた選手のようにプレーしている。一方で、素晴らしいテクニックを持って攻撃も仕掛けられる。チャーリー・パティーノは2021年12月の『The Gooner Fanzine』で、ジャカ、エルネニーとダブルピボットでプレーするダニ・セバージョスを尊敬していると語っていた。私の希望は、彼を中位から上位の攻撃志向の強いチャンピオンシップのチームに再び貸すことを推したい。彼に欠けているのは経験だけだが、それは時間が経てば得られるだろう。

◆ふらんこ
適正ポジション
「ネクスト・ジャカ」。4-3-3の左CH。ボランチで起用されることも多いが、昨年12月のデビュー戦ではペペのクロスを読んでゴール前に飛び出し、GKのニアを突くワンタッチシュートを決めるなど、ゴール前の仕事もできる。最終ラインのビルドアップやマルティネッリのサポートなど、アーセナルのNo.8は幅広い役割が求められるだけに、高い足下の技術と視野の広さを持つ「賢い」パティーノは攻守両面で気の利いたプレーができると期待。
 ・今後の構想
まずは1年、主力としてプレーを続けて、過密日程の中でも調子を落とさず戦い抜く力を身につけてほしい。冬もブラックプール残留を希望。アーセナルはウーデゴール、ジャカ、ファビオ・ヴィエイラの3人を中盤センターで起用しているが、中3日で戦える選手層ではなく、プレシーズンでは確実にチャンスが与えられるだろう。ただ課題も多く、戻ってすぐに活躍できるとは思えない。控え選手に「穴埋め」以上の働きを求めるアルテタは、もう1,2シーズン彼をレンタルさせて成長を待つか。 
・彼に足りないものとは?
球離れの悪さ。必要以上にボールを持ちすぎてしまい、パスをスムーズに出せなかったり、相手に簡単に奪われてしまったりする場面がちらほら。ただ、バログンやKDHも苦しんだように、初めてプロレベルでプレーする選手の多くは、ユースとは桁違いの高いインテンシティーに苦戦することが多い。試合に出続けることで判断力が磨かれ、不用意なボールロストも減る。はず。


Q2.ブルック・ノートン=カフィ(ロザラム)

DF10 Brooke Norton-Cuffy(18) Rotherham UTD

まだ粗削りですが将来彼に期待することは? 
来夏以降もまだローンしたほうがよさそう?

◆AFC LoanWatch
ノートン・カフィーは18歳とDFとしてはまだ若いですが、生粋のポテンシャルを多く見せてくれている。すでに何度かレンタル移籍しているのは心強いが、アーセナルに戻る前に、来シーズンも1年間はレンタル移籍して成長し続ける必要があると思う。アーセナルには冨安健洋、ベン・ホワイト、セドリック・ソアレス、そしてユースチームにはロイエル・ウォルターズがいるため、今のところはレギュラーとしてプレーできる場所にいた方がいい。しかし、彼が努力を続ければ、プレミアリーグで活躍する未来もあるはず。

◆Arsenal Loan Watch
これまでフル出場しておらず、彼のクオリティについては正直まだよくわからない。彼のヒートマップから、非常に攻撃的なウイングバックであることがわかる。まだトップチームに入る準備ができていないし、統計からもそのように見て取ることができる。プレーアクションでは、冨安やベン・ホワイトのアクション成功率を見てみると、60~70%とかなり高い。それに比べて10%ほどマイナスしている。引き続きローンをしたほうがよい。

◆ふらんこ
・将来彼に期待することは?
世界最高の右サイドバック。18歳とは思えないほど鍛え上げられた身体、無尽蔵のスタミナ、また足下の技術も高く、複数人に囲まれても強引にDFラインを突破できるドリブル性能。類まれな身体能力の高さを持つ選手だが、ただの「脳筋」ではなく、味方選手との連携やオフザボールの動きも良く、ビルドアップの起点としても機能。対人も強い。歴代トップクラスの才能だと思っている。 
・来夏以降もまだローンしたほうがよさそう?
間違いない。3-5-2の右WBとして計10試合に先発出場しているが、0ゴール0アシストと結果が出ていない。サイドで孤立する場面が多く、勿体ないボールロストやフィジカル任せの強引な仕掛けを見かける。もっと頭が使える選手なので、自分の持ち味が常に発揮できる環境(試合中の立ち回り、ポジショニング、心の持ちよう(?)、etc…)を身につけてほしい。焦りは禁物。


Q3.サラ=エディン・ムハンド(ハルシティ)

MF10 Salah-Eddine Oulad M'hand(19) Hull City

身長は高くないがティピカルなNO.10。
彼はどんなプレーヤーに似ていると思いますか?

◆AFC LoanWatch
おっしゃる通り、サラー・エディンは少し小柄だけれど、非常にテクニカルな選手。ベルナルド・シルバやサンティ・カソルラのように、アジリティとクローズコントロールを駆使して大型DFをかわすことができる。また、ゴールやアシストで脅威を与える選手になる事を目指すべき。しかし、特にここ数年は怪我の問題が多く、まだまだ道のりは長いと言える。

◆Arsenal Loan Watch
まだそこまでプレーしている試合を見たことがないのが現状。

◆ふらんこ
ゴール前の姿はスミス=ロウ。得点に直結するプレーが多い。ボールコントロールが巧みで相手のプレスを難なく交わし、右足から積極的にゴールを狙う。昨シーズンはU-21で5ゴール(16試合出場)を決めた。FKも得意。ボランチでもプレーできる。この位置では落ち着いたプレーが多く、ポジショニングも良い。ハル・シティの加入前に怪我を負い、約3ヶ月チームから離脱していたが、先日練習に復帰。活躍を期待している。


Q4.オーストン・トラスティ(バーミンガムシティ)

DF5 Auston Levi-Jesaiah Trusty(24) Birmingham City

安定的に試合に出ていますが、戻してもいいのでは?
年齢の事も考えると換金対象か?

◆AFC LoanWatch
バーミンガム・シティのサポーターには確かにトラスティは人気があるようで、彼のレンタル移籍は今のところ大きなプラスになっているよう。しかし、彼のヨーロッパでの経験不足を考えると、チャンピオンシップでのレンタル期間を終えた後、ブンデスリーガやセリエAといったヨーロッパのトップリーグに再びレンタル移籍するのがベストかもしれない。一方、今シーズンの活躍が続けば、パティーノのようにプレシーズンでチャンスをもらえるかもしれないし、アーセナルは左利きのセンターバックを必要としているので、そこに割って入ることができるかもしれない。

◆Arsenal Loan Watch
シーズン終了までバーミンガムでのプレーを見てみたい。プレータイムを増やして現状で出場することが生き残る道。また、彼の身長からすると、空中戦が弱点だと思う。空中戦ではほとんど勝てないので、改善する必要がある。

◆ふらんこ
数シーズン後の売却が有力。今年1月、KSE(アーセナルのオーナーシップ)が保有するコロラド・ラピッズからたった€1.80mで獲得。USMNT未招集・当時は全くの無名選手で、スポーツ面よりもMLSとの関係構築やビジネスの拡大を重視した取引と考えられていた。ファンもロンドン旅行中の一般スウェーデン人男性に気を取られ、注目度は相当低かった。しかし夏の正式加入後、ローン先のバーミンガムでスタメンに定着。開幕戦からフル出場を続けて17試合3ゴール、またノルウェー発のWebアプリ、FotMobの評価点(7.37)はチーム最高と、守備陣の要として予想外の活躍を見せている。ファン人気も高く、冬の移籍市場で上位チームへのステップアップも考えられる。しかし既に24歳、ガブリエウ・マガリャンイス、サリバ、ホワイトと各国の代表選手が控える最終ラインに割って入る実力はなく、チームとしてはより若いユース選手にチャンスを与えるかも。イヴァン・ヌディカの獲得も噂されていて、アーセナルで出場機会を得るためにはCL/ELレベルでの活躍が求められる。適当なタイミングで売却したい。


Q5.ハリー・クラーク(ストークシティ)

DF2 Harrison Thomas Clarke(21) Stoke city

左右どちらでもできますが、どちらがいいと考えますか?
またプレーヤーとしての彼についての印象は?

◆AFC LoanWatch
クラークは闘争心があり、努力家。上位リーグでのプレーに適している。また、最近のレンタル移籍では、ウイングバックで起用された際に、ファイナルサードでのクオリティを示した。サラ・エディンと同様、彼の最大の問題はケガで、ストークへのレンタル移籍中も出場試合が限られている時がある。個人的には、彼は右サイドの方がいいと思う。アーセナルのユースチームでは右サイドバックでプレーすることが多く、そちらの方がしっくりくるように思える。

◆Arsenal Loan Watch
無回答。

◆ふらんこ
全体的な印象最終ラインのユーティリティープレイヤーとしての起用。スピードを活かした上下動が持ち味のウイングバック。ユースではCBとして出場したことが多く、最終ラインはどこでも対応できる。明確な強みはないが、明確な弱点もなく、試合終盤のクローザーや怪我人の穴埋めとして替えがきく。21歳と若く伸びしろも見込めるので、個人的にはチームに戻してELやカップ戦で使いたい。怪我で右WBの定位置を失い、ストークでは試合途中の起用が増えているが、10月6日のバーンリー戦で同点ゴールを決めるなど、個人のパフォーマンスは悪くない。スタメンの座を取り戻し、上位浮上に貢献する活躍を見せてほしい。


-Postscript

チャンピオンシップは単なる修行の場所ではなく、結果も求められるシビアなリーグ、彼らの活躍を期待します。今シーズンのローニーは、アカデミーに取り分け力を入れているマンシティ、チェルシー、そしてアーセナルといった強豪クラブから出向しているプレーヤーが質量ともに多く、見応えも抜群です。
DAZNでの放送もはじまりましたので、観戦の一助になれば幸いです。

<回答者>
◆AFC LoanWatch  @AFC_Loanwatch
◆Arsenal Loan Watch @arsenal_loans
◆ふらんこ @franco_afcfan

<質問/編集>
はったあず(K)  https://twitter.com/keithehatters

-参照元

 ◆Blackpool FC Official Youtube

◆Birmingham City FC Official Youtube

◆Lifegunnertev


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