読書感想文 スマホ脳
スマホが私たちを夢中にさせる理由
スマホは人間の欲望、原始的な性質をうまく利用して中毒にさせる装置である。
スマホを使い続けると、私たちの脳にどのような影響が出るのか。
本書では、多くの科学的研究結果が紹介され、恐ろしき弊害が指摘されている。
なんとなく、スマホに依存しすぎることはよくないのだろうなーとは思っていたが、本書を読むと真剣にスマホの使い方を改めようと思った。
古来から人間は、危険予知能力を磨いてきた。なぜなら、原始時代では、いつ敵が襲ってくるかも分からないからだ。
そのため私たちの脳には、何らかの物音にすぐ反応して危険だと知らせるアラーム(本書では、火災報知器に例えられている)が備え付けられている。
アラームが鳴ると快感を感じるドーパミンが放出される。
現代社会でアラームを鳴らし、快感を感じさせる方法はなにか。
それは、外部からの反応や次々とあふれ出てくる情報を浴びせることである。
つまり、マルチタスクをさせることだ。
このマルチタスク機能をスマホはうまく利用している。
流れるように出てくるコメント、アプリ、情報、アラーム、SNSにおけるいいねやコメントのタイミングは人間がドーパミンを放出させる最高の状態を考えて設計されている。
マルチタスク(スマホにより多くの時間接している人)はそうでない人と比較すると、集中力、作業記憶、そしてマルチタスクを処理する能力でさえも著しく低下させる。
集中力を調べる実験では、マルチタスク傾向の人ほど、前頭前野が活性化していた。
つまり、本来はテストに集中すべきところが前頭前野を過度に使用しないと集中力を維持できなかった、前頭前野に無駄なリソースを費やされたということ。
本書では、スマホを使うことの弊害だけでなく、スマホ脳を防ぐ対策も提案されている。
それは、運動をすることだ。
運動は、記憶力や認知機能、ストレスを解消させる効果があるそうだ。
人間はマルチタスク機能を備えているからこそ、スマホに夢中になる。しかしながら、マルチタスクをし続けてもパフォーマンス向上につながらないという逆説の結果が一番悲しくなった。
そして自分のスマホを、本書で対策として紹介されていた「モノクロ表示」にする設定にした。
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