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ヒールの高さが変わったのは、好きな男が変わったから

新年もあけてあっという間に1週間。「あけましておめでとう」のあいさつはするけれど、お正月らしさを感じることはほとんどない。

毎日いろいろなところに出かけているので、年が明けてからもすでにいくつか買ったものがある。なかでも、気持ちの上で1番大きな買い物はブーツ。黒で、ヒールが高めの、この冬女の子たちがよく履いてるデザインの。

お店で色選びに付き合ってくれた店員のお姉さんによると、ヒールの高さは7cmとのこと。5cmよりも高いヒールの靴を買ったのは、記憶する限り、大学生ぶり。あの頃は乙女になりたかった。わたしのイメージする乙女とは高めのヒールを綺麗に履ける人だったから、毎日自転車で大学に行くのにヒールの靴を選ぶことがほとんどだった。

卒業して、社会人になって、いつの間にか選ぶ靴はほとんどがぺたんこに。仕事に圧迫されてプライベートがほとんどなくなったから、ヒールを履くような機会自体が消滅したからだ。一番に好きな男の子が自分とそう身長が変わらなかったことも大きかったのだと思う。

久しぶりに高いヒールを履いてみた世界は、普段とは少し違って見える。不思議と背筋も伸びて、ヒールの分+α視界が上がる。ほんの数センチ。でもそれだけのことで、意識はもっとずっと高くなる。今年は、ぺたんこじゃない靴もいろいろ楽しもうと決めた。


ヒールの高さが変わったのは、好きな男が変わったからに違いない。この女ったらすぐに、そのとき一番好きなものの影響を受けるのだ。去年の夏、社会人1年目ぶりに黒髪にしたのも、好きな子が黒髪にしたからだ。「次に明るい色にしたくても入りにくくなりますよ」と渋られても美容師さんにお願いした。ちょっとにお金や時間で手に入るものなら、身に付けているだけでごきげんでいられるんだからこんなにお手軽なことはない。

そうやって、「好き」の影響で簡単に見た目も身に付けるものも変えられるわたしは、自分がないなぁと思うこともある。自分の意志で選んできたことなんて何かあったか、パッとは出てこない程。

それほどに今のわたしは、これまでに好きだった人たちの「好き」の詰め合わせでできている。音楽もスポーツもものの見方も、好きな人のフィルターを通した世界をわたしも知りたくて、自分なりに勉強して、体験して、通って、そうして身に付けてきたものたち。さもなければ、わたしの世界はこんなに広くてカラフルじゃなかったのは間違いない。

雑誌に載っていたゲッターズ飯田さんの占いによると、わたしは「カメレオン」に分類されるらしい。染まって、まねするのが得意。この事実を初めて知った日の小さな感動を、わたしは未だに忘れない。その通り!逆に、それしかないじゃないか。空っぽで無色透明だったわたしは、持ち前の収集心と偏愛で好きな人の好きを収集して吸収して、その都度色を変え続けてきて今に至る。

変わることが怖くない、こだわりの少ないタイプでよかった。だってそうじゃなかったら、こんな風に何が起こるか分からない毎日を送ることはきっとなかったはず。自分がない、人にものに染まっていけるわたしでよかった。寒い空気をすり抜けながら、今日もやっぱりそう思う。

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