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Repainted.


少し前に書いたブログより。

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最近出会った美大出身の友人が言ってたけど、

絵は手を加えるほど、深みや魅力が増すんだとか。


私が最近向き合ってるクラシックバレエやなんかも、そうで。
今でこそ映像で記録できてしまうけど、
その振り付けは、歴代のバレリーナがそれぞれに色を足しながら
身をもって語り継いできたことで、
現代のクラシックバレエは、古典の魅力を持ちながら、
新たな美しさが放たれていて。

今もそれを語り継いで、色を増やして、
大きく羽ばたこうとしているバレリーナの卵がたくさんいて。
彼女らがたくましく羽ばたいてくれることで、
これからもクラシックバレエは、文字通り不朽の名作として、
色褪せず歴史を作り続けるんだろう、と。

音楽も一緒で。

レコードはもちろん、CDすら衰退していく時代の中で、
どんどん音楽はファッション化しているけど、
サブスクリプションサービスが誕生したことで、
思いのままに、聞きたいときに、聞きたい曲を聴ける。
より生活に寄り添う。

CDの発売日に、家に帰ってCDプレイヤーに入れるまでのドキドキ感とか、
CDラックが埋まっていく高揚感とか、
そういうのはなくなってしまうけど。

いつでも音楽が寄り添って、その人の人生とともに
その曲たちがより色濃くなるのかもしれない。

さらにLIVEで繰り返し演奏されることで、
その度に色を描き足され、
魅力や表情が増えていくんだろう、と。

14歳の私が、人生で初めて手に入れたCDの最初に収録されていた曲は、
この不遇な世の中に対して自分はこうありたい、と
なにやらそんなことが歌われているみたいだけど、
今考えれば、そのころその曲の意味はわかっていなかった。

あれから9年が経って、
中学を卒業し、高校を卒業し、大学を卒業し、社会人になり、
その間、そのバンドは、そのバンドの音楽は、
私に歩き続ける力を与え続けてくれたけど、
その”正直意味が理解できていない曲”は、私の中で埃をかぶっていた。

先週そのバンドのLIVEに行って、
その曲は本編のラストに満を持して、あまりにも堂々と登場した。
LIVEで聞いたのは初めてだった。

社会人になって1年が経とうとしている今、
若僧なりに世の中を見てきて、
ちょうど、自分がどんな大人になりたいか、みたいなことを考えていた時期で、
月並みな言葉だけど、グッときた。

ラブソングが有名なバンドが、
この曲でLIVEの幕を閉じようとしている、
なんてロックなんだ。

それからその曲は、
埃は吹き飛んで、私の中で重く色濃い存在感を放ち始めて。


最近は、仕事に疲れて、音楽そのものが色褪せかけていて、
この仕事につこうと思ったきっかけも、部屋の隅に埋もれていたけど、

そのLIVEで、その曲で、
全て思い出した。蘇った。

この気持ちを見失ったら、この仕事をしている意味がない。
見失わないように、聞き続けよう。LIVEに足を運ぼう。

そうして何度でも、埃を払い、色を塗り直そう。

そうすれば、私の原点は、決して色褪せない。

そんなことを感じた、そう、それだけ。


(2019.3.19)



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