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俳句 ブギウギ 一月


まだにほふ焼け跡続き氷見の夏
被災者のひしめき旅館さつま汁
葭屏風拭きて聴かせてトランペット
後のない集ふ少年南吹く
旅の宿何を想ひて月仰ぎ

夏の星勝ちて帰らぬ夫偲び
新型爆弾新聞知らし夏の朝
南風旭日旗背の別れ唄
〇〇と伏字美し蠅払ひ
玉簾下手な字笑ふ夫の文

一部屋のラジオを睨み終戦日
解放の夏の空へとデモの声
真夏日の満員列車東京へ
生き返る裸電球夏の夜
ゼロからや野の草摘みの新しき

復学の意欲の芽延ぶ瓜の花
家庭菜園大根伸びて迎ふ秋
武蔵野の青空市場秋の空
欲くらむ追加福引財布減り
秋に入り公演依頼勿論と

皇居前白飛び画像十五日
引っ越しの大八車九月かな
秋の晴下手な包丁拍子切
スポットライト鳥の渡りの別れ唄
飛び出して新たに涼しブギの唄

春来るブギのリズムに揺れて床
再会の秋の玄関涙色
秋陽さす背なの赤子も嬉し泣き
手に踊るじゃがいも熱し蒸かしたて
宝籤当らず当たる春の友

疲れ生む公演続き秋の夜
恢復の未来の意欲冬間近
楽団や解きて自由の風の盆
云ひ出せばくつくつぼふし去りゆきぬ
マネージャー最後も残り雁の声

付き人の居場所の隙間二月尽
訪いも姿くらまし三月
ネクタイの妻の手直し新社員
初選挙女性議員や四月来る
謎の人推され推されぬ会議室
君へ歌唄い踊れや桜時

夏始初共演のこゑをのみ
春麗下駄の女と革靴が
軒下の夏のおでんの冷めていて
旧交や逢えてたちまち桜時
立ち読みの棒読み許しゆだち待ち

合の手の間合いの時間秋デビュー
喪失や夏の展開恋騒ぎ
炎熱の人待ち顔の焼鳥屋
熱いお茶でんでんむしの恋冷めず
遠き国あの娘は嫁に夜の秋

大声の台詞の稽古昼の月
旅先は処暑のアメリカおれはおれ
わしはわし田舎芝居の立ち稽古
幕あがる秋めく時やわしの物
案ずるな飛ぶ小鳥(とり)落とす僕は誰

それいいね秋の舞台の間がずれて
コンガ打つ夏の南国早着替え
面白いはしんどし舞台は廻る
最愛を送るや寂し秋真昼
条件の歌手やめる新たに涼し

結婚は仕事辞めよの初嵐
不承諾つくつく法師の浪花節
天高しドアの音やわきピアノ室
方手間の社長夫人のうどんすき
歌手辞める傾く気持ばったんこ
 
歌手辞めて高きに登るぼんの夢
気持ち変へ刻む茗荷の踊る音
すり鉢や法蓮草の胡麻白し
苦参ひく手段はひとつ僕の夢
行く秋のすったもんだも喀血が

スチームやバルブかたかたやって来ぬ
秋日閉ずウッドスクリーン見舞客
甘い香おはぎを包み秋の宵
芦ノ湖の駅伝眺むお正月
初めての秋立つ日の湖畔の宿

カメラ持ち秋の芦の湖初の旅
手を握り湖畔の道や小鳥鳴き
肩寄せて秋の夕暮れ光る湖
さらさらといろは紅葉の紙の色
感涙の秋のゆくえの気遣ひよ

東京の秋の碧空お腹の子
はらぼての唄ふカルメン空高し
手を離る吾子の暴走うそ寒し
秋澄むや産婆の諭し舞踊劇
力足大根抜きて産むや吾子

静かなり夫や大阪お正月
咳やまぬ秋ぞ隔るサナトリューム
ばつたてふ腹ぼて舞台高評価
腹ぼての秋興業のドレス色
秋深し大盛況の幕下りも

腹ぼてのカルメン観たき秋に入る
秋の服怒る腹の子我もまた
子を置かぬ後ろめたさやすずろ寒
千秋楽秋の行方のひとときよ
病室の窓ししおどしも聞こえず

腹重し春の出産待つ散歩
闘病や枯れそな心奮い立て
腹の子の春の気配の動きかな
インバネス抱きて祈るや夫遠き
冬去れと腹の子の蹴るタイミング
#朝ドラ俳句 #ブギウギ #kigo #俳句

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