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らんまん 八月

#朝ドラ俳句 #らんまん #kigo #俳句
8/31
物干竿褌並び夏の昼
寄席の音子らを集めて秋を待つ
夏空や手紙の誘ふ土佐の友
土用凪好きな草ゐる標本室
お座敷の丸窓飾り百合の花
荒梅雨や発熱に伏す山の小屋
大荷物すすきを連れてただいまと
8/30
月涼し出立間近の身構え
ガクアジサイ時計解体の幼日
想ひ出すロシアに月もありしかと
ピストルや台湾の月どんな色
七月の自己紹介は中国語
8/29
休暇明植物学の職離る
ヤマトグサ出会ひ別れも標本室
踏み入れぬ解剖世界九月尽
居待月時間稼ぎの講談師
台湾の花野を歩む夢を見て
8/28
秋晴や研究室の友の待ち
手抜き事兎に胡瓜三本も
文化の日解剖学を採りいれぬ
書架の間の秋日斜めに踏み込みて
不動にして標本採りを待つ秋野
8/25
お座敷の四方より集い菊競べ
流れなく質屋の本の野分後
秋宵の鯛の花盛咲く如し
金のため土佐の断崖ノジギクを
天高し研究室のかたきドア
8/24
重陽の襟足に挿しおひねり
本のない柳行李や文化の日
酔狂の身分問わずの菊競ふ
塩加減秋の陽射しの握り飯
旅立ちの土産催促菊集め
8/23
秋めくや泥舟の着く壁の窓
秋初月緑茶の映える金屏風
秋涼し金にならない植物学
札束の包みは厚し処暑の節
秋くる日土佐の岩崎は岩崎
8/22
外の人耳を澄ませて蚊帳の中
桔梗咲き四十九済ませ友の家
贈書積む風死す午后のインク瓶
簾戸や願ひの叶ふ逢ひし人
全国へ植物学の処暑行脚
8/21
初めての妻美しと海水浴
ひんやりと標本室の七月
打水や柄杓の陰のかくれんぼ
夏の果柳行李の愛読書
新聞の端のみやげや休暇果つ
8/18
秋の灯や互いに知らず同じ花
稀なるや夜食頬ばり虫メガネ
学会誌午後の紅茶の嗅ぐ気分
初めての職ある身分秋の海
胴乱や釣瓶落しの教授室
8/17
太古の地花より早く羊歯雨に
バイオリンケースを閉ざし梅雨の後
埃積む胴乱肩の土用入
気にならぬ九月の人事我に花
夏深し石鎚山の新種かな
8/16
美しき幾何学模様春の河
夏の日の想い出させて仁淀川
水瓶の外はつるつる夏旱
七夕や北の学舎の備へ席
羊歯萌ゆる縁側に置く赤ネクタイ
8/15
円卓や借金取のパナマ帽
借用證夏座布団の裏ほつれ
夏日傘借金取の返り待つ
蒸し風呂の植物倉庫麥湯冷ゆ
草長屋白い夏服ファンは糞
8/14
全国の小包重し春野草
草集ふ青葉時雨の草長屋
行く春や女中奉公送り父
風鈴や初の論文一文字に
パナマ帽暗き玄関跨ぎ入り
8/11
新種咲く胴乱満たし夏の土佐
君の名はヤッコソウ見せ土用前
要所読む行燈頼り夏の夜
おにぎりや翻訳進み秋を待つ
秋近し土佐の草花入るチッキ
8/10
夏始小説語り質屋前
小満の本箱の上姫達磨
入梅やぺたり冷たき板廊下
土用入柳行李の吾子静か
植物採集遍路の並ぶ土佐の山
8/9
行燈や八犬伝を短夜読み
桔梗咲く長屋の作家待つ世間
松葉菊楽な道なき長屋衆
棹太しドクダミ手分け陰干しに
青蘆や質札軽き橋の上
8/8
なんなのか隣の親父柏餅
二人目の新たな息吹白絣
この手紙頼みの人は夏の蝶
万太郎忌心に残す名前あり
橋涼み選びし道を互い行く
8/7
説き伏せぬ熱き湯豆腐時を待つ
あの笑顔自分を攻めて寒卵
しづり雪吾子の元行くその日まで
おぼつかぬ夫の洗濯浅き冬
冬麗腹の子騒ぐカルメ焼き
8/4
おぼつかぬ裸足の空へ姫菫
七日目の涙の止まず春尽く日
気を逸らせ春筍の握り飯
蔵元の終い見守り蘇鉄の芽
春かなし初めて土佐から出ていき
ひとときの春菫の絵燃す煙
8/3
風花やロシアへ手紙書き始む
息の合ふ新酒の試飲澄み切りて
失敗は暖簾下ろしの宣告ぞ
税金は待たぬ菫の咲く屋敷
冬の暮麻疹の熱の医者頼り
8/2
逆境の中菫咲き講義室
親ばかや吾子の才能気付き春
二月尽力関係道塞ぎ
春めくやロシアの手紙の期待値
川の字の長屋の夜中菫枯る
8/1
誰がために植物誌刷る春の夢
なにかいいことありそうな桜飯
縁を切り睡蓮の葉も流れけり
朝焼けや苔むす石段の下りて
吾子を抱く妻と縁側ヒメスミレ

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