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新歳時記より 8月の季語

8/1
秋(あき):九秋・ホ句の秋・島の秋・野路の秋・窓の秋・秋の宿・秋の人
    人の来ぬ湖畔の秋のボート達
立秋(りつしう):秋立つ・秋来る・今朝の秋・今日の秋
    北の道赤き葉ちらり秋来る
八月(はちぐわつ)
    八月やほかの仕事の探し初め
8/2
文月(ふみづき)
    疲れ目の文月の月雲も切れ
初秋(はつあき):新秋
    初秋の千本松原白き浪
桐一葉(きりひとは):一葉・一葉
    深更やがさりと動き桐一葉
星月夜(ほしづきよ):ほしづくよ
    星月夜手紙を託し父の友
8/3
七夕(たなばた):七夕祭・七夕踊・七夕色紙・七夕紙・願の絲・七夕流す
    今年こそ願の絲の端流
星祭(ほしまつり):牽牛・織女・星迎・星合・二つ星・夫婦星・彦星・織姫・星の契・星の別・星今宵・星の手向・鵲の橋
    街角の出会い頭の星祭
8/4
硯洗(すずりあらひ)
    初体験硯洗の習字塾
鵲(かささぎ):烏鵲(うじゃく)・かちがらす
    鵲の橋の向こうの友の待つ
天の川(あまのがわ):銀河・銀漢
    天の川工事終了きらきらと
梶の葉(かぢのは)
    梶の葉やはみ出るサイズ十七字
8/5
梶鞠(かぢまり):梶の鞠・七夕の鞠
    掛け声と梶鞠の音塀の中
中元(ちゅうげん):盆禮
    中元の品を確かめ百貨店
生身魂(いきみたま):蓮の飯(はすのいひ)
    喜寿迎えまだまだ若き生身魂
迎鐘(むかへがね):六道詣
    これくらい吾子に届けと迎鐘
8/6
草市(くさいち):盆の市
    大荷物草市からの夫を待つ
苧殻(をがら)
    せめてもと苧殻が高く大人なみ
真菰の馬(まこものうま):瓜の馬
    父に母真菰の馬の上手くなり
溝萩(みぞはぎ):千屈菜
    両方の畦の溝萩の満開
門火(かどび)
    夜も更けて男一人の門火かな
8/7
迎火(むかへび):靈迎(たまむかへ)
    去年は父今年は母を迎える火
盂蘭盆(うらぼん):盂蘭盆會・盆會・新盆
    考と妣茶の間に揃ふ盂蘭盆會
魂祭(たままつり):精霊祭・靈祭
    紋付の妣の微笑む魂祭
靈棚(たまだな).:魂棚
    賑やかな靈棚揃え子らの声
8/8
棚経(たなぎやう)
    棚経やがんの住職袈裟緩き
施餓鬼(せがき):施餓鬼棚・施餓鬼幡・施餓鬼寺・川施餓鬼・船施餓鬼・施餓鬼船
    孫曾孫杖の翁の寺施餓鬼
墓参(はかまいり):墓掃除・墓参・展墓・掃苔
    墓参水の冷たく多き人
8/9
燈籠(とうろう):盆燈籠・盆提燈・高燈籠・揚提燈・切子燈籠・折掛燈籠・花燈籠・繪燈籠・墓燈籠・燈籠店
    回る絵や盆燈籠の裏の無き
岐阜提燈(ぎふぢやうちん)
    豆ランプ岐阜提燈灯しけり
走馬燈(そうばとう)
    走馬燈人の数みて回る数
8/10
盆の月(ぼんのつき)
    ほんのりと愁いを含み盆の月
盆狂言(ぼんぎやうげん)
    盆狂言今宵出し物敵討
踊(をどり):盆踊・踊場・踊の輪・踊子・踊手・踊笠・踊浴衣・踊唄・音頭取・踊太鼓・踊見
    去年より小さくなりて踊りの輪
8/11
精靈舟(しやうりやうぶね)
    精靈舟あなたと話す最後なり
流燈(りうとう)
    流燈や水平線の待つ世界
送火(おくりび):靈送
    送火の熱さを隠し地の熱さ
大文字(だいもんじ):大文字の火
    車窓開け大文字の火探しけり
8/12
解夏(げげ):夏明・夏書納
    東空山見渡せて解夏の朝
攝待(せつたい):門茶
    攝待や挨拶慣れて茶菓を召す
8/13
相撲(すまふ):角力・すまひ・相撲取・辻相撲・宮相撲・江戸相撲・上方相撲・相撲場・土俵・横綱・大關・關取
    群集の頭突き出て相撲取
花火(はなび):揚花火・仕掛花火・煙花・遠花火・昼花火・花火舟・花火見・花火番附
    穏やかにゆったり眺む遠花火
8/14
花火線香(はなびせんかう):線香花火・手花火
    下駄足の線香花火落ちそうに
蜩(ひぐらし):日暮し・かなかな
    蜩やその日暮らしの気ぜわしき
8/15
法師蝉(つくづくぼふし):つくづくぼふし・法師蝉(ほうしぜみ)
    夏休み法師蝉終わり告ぐ
秋の蝉(あきのせみ)
    秋の蝉まだまだ深き森に入り
8/16
残暑(ざんしょ):秋暑し
    何もせぬ化粧の流れ残暑かな
秋めく
    着古しの秋めく服を探し出し
8/17
初嵐(はつあらし)
    停車場帽子押さえて初嵐
新涼(しんりやう):秋涼し・秋涼
    もう一枚便箋白き新涼
稲妻(いなづま):稲光・稲の殿
    稲妻や遠くにありて知るかたち
8/18
流星(りうせい):ながれぼし・夜這星・星飛ぶ
    曇り空流星の見れぬ今年も
芙蓉(ふよう):花芙蓉
    手入れせぬ芙蓉一気に大樹へと
木槿(むくげ):きはちす・花木槿・木槿垣
    赤白と通り和まし木槿垣
8/19
臭木の花(くさぎのはな)
    毟り採る臭木の花の香ばしく
鳳仙花(ほうせんくわ):つまくれなゐ・つまべに
    人のゐぬ屋上爆ぜて鳳仙花
白粉の花(おしろいのはな):おしろい
    白粉の花刈れど刈れども裏の庭
8/20
朝顔(あさがほ):牽牛花
    朝顔や今年の色は五色あり
辨慶草(べんけいさう)
    辨慶草墓への道の友のいて
みせばや:たまのを
    みせばやの一輪挿しを磨きけり
8/21
めはじき:益母草(やくめさう)
    めはじきや淡海女の嗄れ声
西瓜(すゐくわ):西瓜番
    恥じらいて西瓜の種ぷいと出し
西瓜提燈(すゐくわぢやうちん):瓜提燈・茄子提燈
    西瓜提燈どす黒い皮赤の映え
8/22
南瓜(かぼちゃ):ぼうぶら・唐茄
    げせぬもの南瓜と小豆のいとこと煮
隠元豆(いんげんまめ)
    出荷待つ隠元豆の長さかな
藤豆(ふじまめ)
    藤豆やまだまだみるい紫色
8/23
刀豆(なたまめ)
    毎朝の刀豆効果医者いらず
豇豆(ささげ):十六豇豆・十八豇豆
    もってゆけ豇豆収穫後片付け
小豆(あづき)
    ひと頃は赤いダイヤと小豆かな
8/24
大豆(だいづ):大豆引く
    誰もゐぬ味噌の作り手大豆引く
新豆腐(しんどうふ)
    鍋に浮く緑の見えて新豆腐
大根蒔く(だいこんまく)
    大根蒔く手首細かく振り振りす
8/25
六齋念佛(ろくさいねんぶつ)
    鉦太鼓六齋念佛が囃し
地蔵盆(ぢざうぼん):地蔵祭・地蔵會・地蔵参
    貼替て隅々照らす地蔵盆
澁取(しぶとり):澁搗
    道草や澁取の白友は行く
8/26
茗荷の花(めうがのはな)
    茗荷の花火宅の主見えなくて
鬱金の花(うこんのはな)
    この家の鬱金の花のよく匂ふ
赤のまんま(あかのまんま):犬蓼の花・赤のまま
    別れ道右と左に赤まんま
8/27
蓼の花(たでのはな):櫻蓼・穂蓼・蓼の穂
    散歩道犬潜り込む蓼の花
溝蕎麦(みぞそば)
    溝蕎麦や一面小さく風の揺れ
8/28
水引の花(みづひきのはな):金絲草
    近道へ水引の花咲き招き
煙草の花(たばこのはな)
    背の高き煙草の花の色見えず 
8/29
懸煙草(かけたばこ):煙草刈る・若煙草・新煙草
    にほひなく影の涼しや懸煙草
カンナ
    一抱え見知らぬ婦人カンナ刈る
8/30
芭蕉(ばせう):芭蕉葉・芭蕉林
    ばたつか出陣御旗芭蕉かな
稲の花(いねのはな)
    風の止みぽこりと開き稲の花
8/31
宗祇忌(そうぎき)
    最果ての岬に立てり宗祇の忌
不知火(しらぬひ)
    不知火を宿の女将が嗄れ声
   

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