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なつぞら俳句 8月

8/1
中庭へ団栗の木の緑あり
夏の朝活気ぞもどれり作画室
夏の宵言葉特別用意して 
水無月や新作の入り今ひとつ

8/2
猛暑の日婚約の道閉ざされて
夏日刺す寝ころぶ畳熱さなり 
酷暑の夕いつもの話赤暖簾
寝転びて終日届くおーしんつく

8/3
夏深しカウンター挟み見つめ合ふ
炎ゆ想ひあなたの人生作ります
夏の果熱き包容誓ひ合ひ
秋を待つ十勝の牧場二人待つ

8/5
二人して野山色づく十勝へと 
秋の宵牛飼一家は熊汁で
秋晴るる結婚報告受く座敷
秋闌バター造りが始まりて

8/6
里帰り十勝の空も秋晴るる
腰まげた祖母に食わすは名残茄子
うすら寒む酪農王国危機迫り
牛飼やメーカーとして残る道

8/7
酪農や苦し身にしむ先者よ
子を背負い会議冷やか後ろ立つ
支所長室秋の日出す設置届
秋の朝会議場狭し熱こもる

8/8
会見場結婚報告風爽か
秋の牧場誓ふ二人を牛が巻く
十勝晴れ蒲公英バター菓子作り
風の色ベッドから依頼商標

8/9
おバタ餡サンド秋の十勝が結ばれて
秋の音人前でするプロポーズ 
天高し家族総出が婿を待つ
資格より覚悟で挙げる秋半ば

8/10
コスモスや二人ありがとう奇跡から
秋日射す赤トタン屋根映す窓
秋気澄む森のアトリエあなたの絵
二組の結婚写真春の庭

8/12
中庭へ弁当ひらく桜時
目借時旧知の友が社長室
青いガラス灯りを通す春の宵
牛乳鍋十勝が春の母想ふ

8/13
肖像画家族見つめて夏迎へ
社長室姉妹が契り夏夕べ
夏の宵失恋の味一気に飲む
夏未明暖簾しまうもあとわずか

8/14
母ちゃんと秋の夕暮れ呼んでみる
赤暖簾レースの扇子振り返し
8月15日地下道灯す誕生日
凹みありブリキのバケツ敗戦忌

8/15
夏の朝カウンタに置く赤暖簾
最後の曲レコード鳴らす夏立つ日
去りし母土用に眺む家族の絵
前を向き夕焼け列車夏終わる

8/16
秋来たと飛行機雲や長くなり
お祝を紅葉手迎ふ秋日和
妊娠を覚悟で祝ひ爽やぐ夜
秋の宵笑ひて母となる覚悟

8/17
妊娠やスカートみどり秋日射す
手も温しとっくりセーター秋日和
赤電話話す続きは秋の夜
秋の園作画続くと腹の子へ

8/19
冬日差十勝に知らす母になる
赤い屋根喜び隠す凍れ顔
腹抱え作画室より春を待つ
冬の夕イタリア土産持たず来て

8/20
春の宵寝床にはいる話尽き
緑さす育児覚えしアパートへ
蔦青しアトリエ整備すすみつつ
春の夕おむつを縫ふも堂に入り

8/21
マタニティードレス腹蹴る吾子へ春陽射す
春深し産休前の言ひ残し
春の暮れひとり眺むる母子手帳
夏近し頼れる人が十勝より

8/22
レースカバーミシンに積もる春衣
春の朝牛乳豆腐十勝より
春の昼跡取りめぐり北の店
陣痛や春の曙せわしくて

8/23
春の夜明け陣痛移り待合室
春の朝産声届く長廊下
うららけし命名かざす曽爺さん
眠くとも春の夜中におむつ替え

8/24
夏の夕おんぶで料理男なり
夏浅し電話カバー緑色
半夏生敵は寝不足辞書を引く
梅雨曇り保育園ないまた電話

8/26
秋の夜ポスターを描く預け先
アクション画冬めく前のトライかな
社長室熱込め話し秋の日暮れ
青いカーデーガン秋の夜着る子を抱き

8/27
秋の宵ゴロンゴロンと吾子遊び 
なく子背に駆け下りがたし秋の朝
爽やかに監督挨拶済ませけり
秋惜しむ毛布をかけて子守唄

8/28
気がつけば添ひ寝で迎へ秋の朝
秋を待つ風邪が騒がす吾子の熱
秋の夕音もたてずに吾子の元
見落として靴の小さき秋の朝

8/29
手をつなぎ歩道橋から秋の朝
秋の灯作画台にも黒きシャツ
秋惜しむ戦かわなくてもういいよ
上弦の月駆け登る足けふ限り

8/30
吾子いない話弾まぬ秋の夕
走り出す夜中の電話星月夜
秋惜しむ作画監督再要請
そぞろ寒む手つなぎスキップ歩道橋

8/31なつぞら俳句
苺ケーキロウソクを消す秋の宵
秋の雲吾子が指さす駆ける馬
十勝に秋カーテン揺れる描ける空
牛乳鍋秋澄む十勝売り込まむ

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