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季語の花 9月

蓼の花(たでのはな)  箸を呼ぶ苦きにすぼめ蓼の花

茗荷の花(みょうがのはな)父嫌ふ茗荷の花馬鹿の説

赤のまま(あかのまま) 赤のままよそふ仕草が母のまま

蕎麦の花(そばのはな) 村はずれ闇夜広がる蕎麦の花

秋海棠(しゅうかいどう) 秋海棠心渡さん葉を束ね

藤袴(ふじばかま)   藤袴咲きし荒野踏み入れど

萩(はぎ)       覚えない庭のひとかど萩だらけ

石榴(ざくろ)     実が熟れど硬き柘榴は観るばかり

蓮の実(はすのみ)   蓮の実立つ美しかりし写真なり

玉蜀黍(とうもろこし) 紅き髪風にあがらふ玉蜀黍

鶏頭(けいとう)    鶏頭や当たれば散らん黒き種

蘆の花(あしのはな)  風が吹く片葉伸ばすや蘆の花

苦瓜(にがうり)    瓜売りら売り出さぬ瓜苦瓜ぞ

唐がらし(とうがらし) 青き実へ辛さ隠せり唐がらし

白粉花(おしろいばな) 白粉花叩けど散らぬ黒い実よ

葡萄(ぶどう)     陽は強し暑さ遮ぬ葡萄棚

甘藷(さつまいも)   一雨で肥ると母が甘藷

零余子(むかご)    梢まで登りて零余子取らんとす

糸瓜(へちま)     どぶ水へ白き糸瓜や潜りいて

紫苑(しおん)「十五夜草」 十五夜草あでやかに咲く月の下

曼殊沙華(まんじゅしゃげ) 曼珠沙華紅白咲けど好まざる

思ひ草(おもひぐさ)  すり寄りて思ひ草の如離さじと

コスモス(こすもす)  人来いとコスモス撒けど人は来ぬ

芋(いも)       五枝回す水はね踊る芋あらふ

木犀(もくせい)    サナトリウムの父木犀の脇写真撮り

梨(なし)       梨かおる意外や暑し鳥取も

秋薔薇(あきばら)   秋薔薇を射す日ぞ低き秋葉原

鳥兜(とりかぶと)   沢登行き着く先や鳥兜

間引き菜(まびきな)  間引き菜や一日の緑卓の上

秋茄子(あきなす)   里帰り秋茄子食わす母の味

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