おくりもの
会社に向かうバスの中からまだ明けきれていない外をぼんやりと眺めていた。 バス停でバスが止まった。そのバス停の奥の方に会社の事務所があり入口の前に置かれたベンチに小学1年生くらいの小さな男の子とおかあさんがちょこんと座っていた。
その男の子はとても楽しい話をしているのか口に手をあててめちゃくちゃ楽しそうに笑っていた。おいおい、こっちまで笑い声が聴こえてきそうじゃないか。その隣でおかあさんは男の子をやさしいまなざしで見つめながら笑顔で何かを話しかけていた。
それをぼんやり眺めていた自分の顔は緩んでいたのだと思う。いや無意識に夢中でふたりを見ていたが、この絵を見て笑顔にならない人間がいるのだろうか。いるはずがない。
夕方は取材で読谷村にある古堅中学校にお邪魔した。県内の大会で6連覇中というダンス部の踊りは中学生とは思えないくらいキレキレだった。驚いた。
もうひとつ驚いたことがある。
中学校の正門を通過した瞬間から生徒が明るく笑顔であいさつをしてくるのだ。すごく自然に。うそではない、すれ違う全生徒があいさつするのである。明るくキラキラした笑顔であいさつをするのだ。たまりませんよ。
結果、当然ながらとても気持ちよく取材ができた。そして、古堅中学校の大ファンになった。そして、取材の帰りの車の中で考えていた。
この感動を映像にギュッと閉じ込められたらいいな。
たとえば、まだ薄暗い朝のバス停の楽しそうなふたりを。
たとえば、紅芋のように顔を赤らめながらあいさつする生徒を。
そんな瞬間を引き出せる人になりたい。その瞬間を切り取れる技術も身につけたい。それを見つける目も欲しい。
今日は、おくりものをもらったしあわせな日だった。
ありがとうございます。
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