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(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる

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たこ焼き屋が舞台の、ご飯&あやかし&人情ものの連載小説です。お楽しみいただけましたら嬉しいです( ̄∇ ̄*) ★創作大賞お仕事小説部門参加中 ---------- 大阪市南部のあび…
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#創作大賞2023

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<プロローグと各話リンク>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 完全書き下ろし。noteでのみご覧いただけます。 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! ★創作大賞お仕事小説部門参加中 たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる プロローグ  たこ焼きを焼く時に、まず生地を流すかたこの切り身を入れるか、迷うところである。  ……坂梨渚沙は迷わない。ステンレスの容器に積まれた切り身のたこをわし掴むと、器用にひと切れずつたこ焼き鉄板の穴に入れて行く。  

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第4話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第4話 目の前にいるのに  安倍晴明の大阪逗留は年に数回。渚沙と竹ちゃんはたこ焼きを手に訪ねるのだが、その度に竹ちゃんの元気が少し無くなるのが気にはなっていた。それはやはり、仲睦まじい親子を目にして、自分の家族を思い出しているのでは無いかと渚沙は想像する。  だから渚沙は言うのだ。「竹ちゃん

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第3話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第3話 悲劇であったとしても  渚沙が焼いたたこ焼きは、そのほとんどを安倍晴明が平らげてしまった。葛の葉は少しつまんだ程度。渚沙と竹ちゃんはもともと食べるつもりは無かったので、葛の葉が良いのなら問題無い。 「うむ、今回も旨かった! 渚沙、ありがとうなぁ」 「いいえ、お口に会うたんなら良かっ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第2話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第2話 有名人を訪ねて  水曜日。「さかなし」の定休日、渚沙はお昼ごはんの後片付けを済ませ、キッチンのコンロに家庭用のたこ焼き用鉄板をセットする。  昨夜、閉店後に仕込んでおいた水出しのお出汁を使って、生地を作る。たこを解凍して、みじん切り紅生姜と天かす、青ねぎの小口切りも用意した。  そ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第1話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第1話 親が子を思うこと  その日も、閉店後の「さかなし」には茨木童子と葛の葉が訪れ、日本酒のグラスを片手に馬鹿笑いである。  季節は夏に差し掛かり、蝉の声が届き始めていた。「さかなし」の店内もエアコンが必須になっている。  この2体が来る様になって、始めのうちは上のリビングを使っていたの

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第10話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第10話 賑やかな日々へ   茨木童子はすっかり酔っ払って床で寝込んでしまった。渚沙は手早く後片付けをし、温かいほうじ茶を入れて、食後の一息を吐く。 「渚沙ちゃんごめんねぇ〜。茨木は引きずって帰るからねぇ〜」  やはり葛の葉は悪びれずに言う。葛の葉はとてもスタイルが良い。その細

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第9話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第9話 驚きの連続 「今日はたこ焼きとか食わしてくれるて聞いたで。人の食いもん久しぶりやわ」 「ほんまにねぇ〜。楽しみやわぁ〜」  茨木童子と葛の葉は案内した椅子に掛け、朗らかに話す。あまりのことに渚沙はまだぼんやりとしてしまっている。 「渚沙、しっかりするカピ」 「う、うん

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第8話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第8話 鬼と狐との出会い 「竹ちゃん、いらっしゃい!」  渚沙が満面の笑顔でドアを開けると、そこには竹ちゃんがちょこんと立っていた。ああ、今日も何という可愛さだろうか。癒される。渚沙がほっこりしていると、竹ちゃんが挨拶もそこそこに口を開いた。 「うむカピ。ところで渚沙、悪いのだカ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第7話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第7話 竹ちゃんを迎えるために (また竹ちゃんに会えるんや。楽しみやわぁ)  次の定休日までの1週間、渚沙は楽しみでならなかった。  竹ちゃんと囲んだ食卓は楽しいものだった。また充実した時間が過ごせれば嬉しい。次はたこ焼き以外に何を用意しようか。竹ちゃんにはいろいろなものを食べて

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第6話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第6話 時速50キロ  たこ焼きと鉄板焼きを満喫した竹ちゃんは、「さて」と床に降りた。 「竹子はそろそろ帰るカピ。そうカピな、また来週の水曜日に来て良いカピか?」 「もちろんやで。待ってんね。何時ごろがええやろ。またたこ焼き用意する?」 「たこ焼きは絶対カピ。他はお任せするカピ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第5話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第5話 次の約束 「はーい、竹ちゃん、そろそろたこ焼きも焼きあがるで〜。どうやって食べる? お出汁効いてるからそのままか、定番なんはソースとマヨネーズ。ポン酢も美味しいで」  竹ちゃんは口の中の焼肉をごくりと飲み込んで、楽しそうに声を上げた。 「いろいろな味で食べてみたいカピ!」

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第4話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第4話 初めての牛肉 「ほな、焼こか」  実は、住居エリアの冷蔵庫の冷凍室には、冷凍したたこ焼きがいくつか入っている。端的に言うと「さかなし」の売れ残りである。  余った分はその日の渚沙の晩ごはんになる。トッピングを工夫したり、グラタンやチャーハン、スープなどにして食べていたのだ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第3話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第3話 竹ちゃんとのふれあい 「ところで、お前の名前は? 竹子は竹子カピ」 「あ、私は坂梨渚沙。よろしくやで」  名を問われ、渚沙は素直に応えた。受け入れてしまえば、妖怪だろうが何だろうが、相手は可愛いカピバラである。  渚沙は妖怪の知識が乏しいので、見た目などで判断するしか無

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第2話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第2話 現実を受け入れて (は? カピバラが喋っとる? いやヌートリアか? いやどっちでもええわ! 何やのこれー!)  そう思えるだけ、渚沙はまだ冷静さを保っていたのかも知れない。それでもその場にへなへなとへたり込んでしまった。  するとその動物は渚沙のそばに降りて来た。渚沙は「