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校務DX化に向けた4つのポイントとは?

現在、GIGAスクール構想の第 2 期に伴い、児童生徒一人ひとりに対するコンピュータ端末の整備が進んでいます。このような環境の中で、学校現場には、従来の学習や業務のデジタル化を超え、学びと働き方のさらなる革新が求められています。

ここでは、昨年 12 月に公開された『「GIGAスクール構想の下での校務DX化チェックリスト」に基づく自己点検結果の報告について(通知)』に沿って、校務DX化を推進する上での 4 つの主要なポイントを紹介します。

教員の業務多様性とデジタル化の必要性

教員は、指導業務だけでなく、児童生徒の情報管理、保護者対応、学校内外のさまざまな連絡・調整業務など、多岐に渡る任務を担っています。
一方で、学習の質を高め、個別最適な学びや協働的な学びをより一層推し進めていくためには、教員が児童生徒と直接関わる時間を増やすことが極めて重要になります。
これを実現するためには、校務全般のデジタル化を推進し、業務の効率化と負担軽減を図る必要があります。

文部科学省の校務DX方針

文部科学省は、GIGAスクール構想に基づいて、校務DXの方向性を示す提言を昨年 3 月にまとめています。
この提言には、今後数年間をかけ、次世代の校務支援システムの整備とパブリッククラウドの活用を通じて教職員の負担を軽減し、コミュニケーションを迅速かつ活発にする目標が含まれています。

校務DX化の現状

令和 5 年 9 月末から約 1 ヶ月間に渡り、公立小中学校を対象に行われた校務DX化の進捗確認では、校務DXの取り組みにはまだ大きな改善の余地があることが明らかになりました。
調査結果のまとめにも記載されている自治体間の現状を比較し一喜一憂するのではなく、各自治体の状況を客観的に把握し、教育行政、学校組織、そして個々の教員が、校務DX化への取り組みを自ら進めることが求められています。

校務DX化に向けた 4 つのポイント

1. GIGA環境・汎用クラウドツールの積極的な活用

最近の調査により、学校および教育委員会間で校務のデジタル化(DX)の進捗に顕著な差があることが判明しています。文部科学省は、教員と児童生徒の 1 人 1 台端末やクラウドツールのようなGIGA環境の徹底的な利用によって、この状況を改善できるとしています。
さらなる活用を促進するため、以下の支援策が検討されています。

  • 実践的な改善策の提案:文部科学省は、実用的な改善方法を示す資料を提供し、校務の効率化をサポートします。

  • オンライン学習の促進:オンラインおよびオンデマンド学習の機会を提供し、教育の質を向上させます。

  • 専門家の派遣:全額国費を負担して、校務DXを支援するアドバイザーを派遣します。

文部科学省は、これらの取り組みを通じて、次の 3 年間をGIGA環境および汎用クラウドツールの利用拡大に向けた集中期間と位置付け、校務効率化の好事例を含めた支援を強化します。
全国の学校における働き方改革事例集」や「StuDX Style」は、この取り組みを支援する具体的な例として期待されています。

2. 教育委員会から学校への文書送付のデジタル化の徹底

多くの教育委員会は、学校への文書送付に際して、まだクラウドを使用していません。
教育委員会事務局の 1 担当課から 1 年間に学校への通知文書は 1,000 通を超えることも珍しくなく、ある試算によると、年間おおよそ 6,000 から 7,000 の文書が教育委員会事務局から学校に送られています。これらの通知文書はクラウドを活用することで効率化することが可能であり、大幅な時間とコストが節約できます。
文部科学省は、このデジタル化を推奨しており、教育現場の効率化と教員の負担軽減に貢献することが期待されます。

3. FAX・押印等の制度・慣行の見直し

文部科学省は、FAXの使用や押印・署名が必要な書類が多いことが、学校のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進行を阻害していると指摘しています。
これらの慣習は長年にわたり学校文化の一部として根付いてきましたが、教育委員会や学校、さらには教育関連事業者との協力のもと、時代に合った方法への更新が求められています。
この過程では、単にデジタルツールへの移行を促すだけでなく、学校が長年にわたって培ってきた文化も尊重しつつ、業務の効率性と正確性を高めるために必要な改革を見極めることが重要です。その結果、教育現場のデジタル化を進めるために、どのような慣習が見直され、どのような新たな手法が採用されるべきかが明らかになるでしょう。

4. 教育情報セキュリティポリシーの策定

文部科学省は、令和 6 年 1 月に教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを改訂しましたが、自治体のセキュリティポリシーとは別に、教育委員会が独自に策定すべき教育情報セキュリティポリシーの整備は、全体の半数にも達していない状態です。

【質問】自治体のセキュリティポリシーとは別に、教育情報セキュリティポリシーを教育委員会独自に策定していますか。

※ 引用元:文部科学省【別紙1】「GIGA スクール構想の下での校務DX化チェックリスト」学校・教育委員会の自己点検結果総括

教育情報セキュリティポリシーは、児童生徒の個人情報だけでなく、学校運営に関わる重要な情報資産のセキュリティを確保するために不可欠です。

安全で安心な学びの場を提供するため、また校務DX化の進展を図る際に、上記で確認した各ポイントに取り組むための基盤が、まさに教育情報セキュリティポリシーであり、策定が急務とされています。

GIGAスクール構想におけるICT環境の整備を生かし、教育現場でのセキュリティ対策の強化が強く推奨されています。

最後に

GIGAスクール構想の下で整備されたICT環境は、学校における 1 人 1 台端末の導入とともに、学びの改革を進めています。これは、校務DXと教育DXのプロセスにおけるデジタイゼーション(情報化)から、デジタライゼーション(デジタルを活用した変革)への移行段階にあると言えます。

DXの本質は、新しい価値の創出にあり、これを達成するためには日常業務の見直しとICTの強みを活かした業務改革が必要です。

この過程で、GIGAスクール運営支援センターや学校DX戦略アドバイザー、有識者からの支援が重要であり、教育再生実行会議の提言にもあるように、ICTや先端技術の活用に関する民間企業との連携・協働が強調されています。

現代の教育において、これらの技術の利用がさらに求められているため、民間企業のノウハウを積極的に取り入れ、安全かつ効果的な技術導入を進めることをお勧めします。

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