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ブレキジットが大学進学に及ぼす影響

ヨーロッパ系の親から漏れ聞こえてきた声。 

「イギリスの大学の学費が、ブレキジットで倍になった」

実際、合格しても、学費の高騰とコロナのオンライン授業が物足りなさ、この合わせ技で、進学しない選択をちらほら聞きます。

私はヨーロッパに知り合いが多いのですが、言うまでもなく、EUは非英語圏の人たちです。

国際的な教育を意識した家庭の場合、高等教育となると英語での大学・大学院進学を選ぶことが多くなります。

そう、アメリカかイギリスの大学に進学するんです。

アメリカの大学・大学院は近年、学費の値上がりが著しい

天文学的数字の学費、アメリカの有名大学。

州立大学ですら学費年間400万円程度も珍しくありません。

超・超富裕層、もしくは支給タイプの奨学金を取れる超優等生でなければ入れないほどの学費になっています。

ですので、ヨーロッパ系の普通のご家庭は、ここ最近の進学先トレンドはイギリスが強かったんですよね。

世界の大学ランキングでも、イギリスが上位を取ることも珍しくありませんしね。

ところが、そんな進学先選びに変化が生じている模様。

ブレキジットがもたらした留学生の変化

UK Tuition Fees for EU/EEA Students in 2022. Changes after Brexit
12 Jan 2022

As a result of Brexit, the UK government has officially confirmed that the European Union (EU)/European Economic Area (EEA) and Swiss students will lose their home fee status from the autumn of 2021 onwards. The statement was made by Michelle Donelan, Minister of State for Universities:
https://www.mastersportal.com/articles/2843/uk-tuition-fees-for-eueea-students-in-2022-changes-after-brexit.html

おいおい。
2021年秋から、EUとEEA、スイスの学生はイギリス学費の適用から除外されてるって?

その結果、EU学生の英国トップ大学への願書提出、2022年は前年の16%減。

Student applications from the E.U. for enrolment in 2022 at the most selective universities and on the most selective courses fell by 16%, according to figures released by university admissions body UCAS today.

This compares with a fall of less than 1% in applications from the rest of the world, and follows a near 20% drop in applications from the E.U. last year, the first application cycle following the U.K.’s exit from the bloc.
https://www.forbes.com/sites/nickmorrison/2021/10/27/brexit-hits-uk-universities-as-eu-students-look-elsewhere/?sh=7ab4a88c27c3

この影響により、イギリス経済への影響も少なくないと言われています。

International students represent a valuable source of income for universities, which have already been hard hit by the pandemic.

As well as tuition fee income, universities have also lost revenue from accommodation, conferences and events, with an estimated loss of £11bn ($15bn) in the long-run, according to one estimate.
同上Forbes

EUでは、学生の大学選択に変化が起きています。

「自国の」英語で教育を提供している大学が見直され、入学申し込みが激増

雑な例ですが、日本で言うところの上智大学、ICU、国際福祉大学といった英語での授業提供に定評のある大学ってことですよね。(ヨーロッパの国に置き換えてお考えください)

そして、あまりに域内他国学生からの入学申し込みが多いため、自国の学生の入学ハードルが異常に高くなる事態が起きている、と。

この現象、個人的に興味深いと感じたと同時に。

コレ、日本チャンスじゃね?

と思いましたよ。

学生目線で見た場合は、競争率が下がってラッキー。

でもそうではなく。日本の大学に来てもらおうよ!と。

なぜなら、日本の学費は(特に国立や文系私大)は、各国の名門と比べると激安です。

「日本の優秀な学生が、もはや東大を選ばない」と言うニュースを見かけるようになりましたが、日本の学術レベルが非常に高いのは周知の事実。

「英語で対応できる教員を増やす」と言う喫緊の課題はあるものの、もともと日本の大学・大学院は、手厚い日本政府からの奨学金もあり、アメリカやイギリスに次いで人気があったのです。

大学の国際化に力を入れれば、日本に日本人学生を呼び戻すだけでなく、世界の優秀な学生を呼び込むチャンスなのではないか・・・と思っています。

イギリスの件でも数値化されているように、教育はビジネスでもあります。

日本の税金である奨学金をばら撒いて海外の学生を呼んでいた時代から、内容で魅力する教育機関の構築へ!!

頑張れ!文科省!!!

またこれと同様に、これまでEU学生が地の利等の理由から優先的に選択していたわけではない、オーストラリアやニュージーランドなどの大学がこれから更に人気になるのかもしれません。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。


次回は、「東大医学部に入れなそうだから」と起きてしまった、先日の高校生による悲しい事件・・・。

フランスが実行に写そうとしている、エリート教育の終焉という目線から考えてみたいと思います。

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