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【2024年】公務員試験状況分析と動向予測|今後の難易度・合格率・倍率はどうなる?

いよいよ3月目前、2024年の公務員試験が本格的に開幕します。
受験生の皆様としては、今期の試験の動向がどうなるのか気が気ではないと思いますので、勉強の息抜きに読めるタメになる読み物として公務員試験状況分析と今後の動向予測の記事をリリースしました!

コーヒーやお酒でも片手に気軽によんでみてくださいませ☕️


結論から言うと、2024年の公務員試験(2025年採用試験)は公務員試験史上・空前絶後の売手市場(受験生側が有利)になると思います。

前年の2023年も公務員試験の筆記難易度の低下や倍率の低下でお祭り騒ぎのようになっていましたが、今年はさらに筆記試験のバー(難易度)が低下することが予想されます。


5年以上前に公務員試験に挑戦してその時は残念な結果に終わってしまったけれど、まだ公務員就職に関心がある方は今年は再挑戦する価値はアリアリです。

この傾向はしばらくは続くことが予想されますが、あるとき大きな変化が起こり、今とは別な角度での難易度変化が発生する可能性もあるので、公務員になりたい人はさっさと受かってしまう方がいいことは言うまでもありません。

本記事では、データにうるさい社会人諸氏も納得のいくように様々な統計資料を元に環境分析を行い今後の動向予想を行っています。
公務員受験生や受験を検討されている方はちょっとした読み物のようなノリで読んでみてください。

また、最後にこの環境を踏まえてどうすれば受かりやすいか?についてちょっとした小技を載せています。
ただし、やや賛否が出そうであることと、採用側の意図と外れて完全に「ただ受かりたい受験生」の目線としているので、有料としています。
こちらももしもご興味あればどうぞ!


公務員試験を取り巻く環境の分析

公務員試験の受験人数の変化

まず、最近の公務員試験の受験人数って何人くらいいるかご存知でしょうか?

この辺の人数トレンドは総務省がしっかりと統計資料としてまとめてくれていますので、確認してみましょう。

以下は、地方公務員試験の受験人数と競争倍率の推移をまとめたグラフです。

令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果(https://www.soumu.go.jp/main_content/000919478.pdf)

公表されている統計では、最新の令和4年度(2024年度)で地方公務員試験の受験人数はおよそ43万9千人です。

平成25年の受験人数は58万4千人いたので、この10年くらいで15万人程度減少、25%くらい減少してしまったことを意味しています。

競争倍率についても過去最低の5.2倍をマークしている状況です。

ここで、「ふ〜ん、今年は受かりやすいのかな?」で終わらせてしまうのではなく、いい機会なので何故?をしっかり考えておきましょう。


採用側と受験生の状況と温度感

人材採用の問題を考察するときは、買い手側(採用側)だけでなく売り手側(受験生側)の事情も合わせて考察することがセオリーです。
買い手と売り手のそれぞれについて可能な限り統計的なファクトに基づいて考察したいと思います。

まずは買い手(採用側)である行政の状況から参りましょう。

前提として認識しておいてほしいこととして、現在の行政の現場は大変な人手不足であり、その上で入口の公務員試験の受験倍率が減少しているということで、人材採用は非常に大きな課題として認識されています。

(有料記事になりますが)日経で地方公務員にインタビューした記事があるので紹介しておきます。こちらを読むと現場の温度感がわかりやすいかなと思います。

このインタビュー中で、「受験生の減少の原因をどう考えているか?」について、上位の回答を抜粋すると以下のようになっていました。
いずれも、行政で働く人の考える受験生減少要因に関する仮説です。

・少子化により受験者の母数が減少した
・採用科目が多く、受験準備で負担が大きい
・民間企業より採用試験の時期が遅い
・民間企業よりも給与・待遇面で見劣りしている

「一般行政職の応募者減少の理由をどう考える」より一部引用


この中で一つ注目しておくべきは、「少子化により受験生が減少しているのでは?」という仮説の指摘です。これは間違いなく影響を与えています。

それ以外の仮説はやや主観的であるため、受験生側の認識と付き合わせてみないと、現時点ではこれがそうなのかはよくわかりません。


それでは、ここから売り手(受験生側)もみておきましょう。
受験生側からも公務員就職を避ける同様の意見や理由が出てくれば、それは↑で指摘された売り手側の仮説を裏付けることになります。

受験生側の事情調査についてはマイナビの就活生調査のレポートが一番まとまっているので、こちらを参考に説明します。

まず、公務員志望の状況トレンドについてです。

2024年卒大学生公務員のイメージ調査より引用

この調査をみると、公務員を「考えている」人の減少幅や「就職先として考えていない」人の上昇幅はこの5年でならしてみるとそう大きくはありません。

一方で、「考えたがやめた」という人が、この5年で4.8ポイント上昇しているところに目をつけるべきです。

2024年卒大学生公務員のイメージ調査より引用

「考えたがやめた」理由について上位4位までの回答をまとめると以下のようになります。

・試験対策をネックに感じる(「十分な試験対策ができないと思ったから」「試験の難易度や倍率が高く、受からないと思ったから」)
・他の業界や仕事などに興味を持ったから
・スケジュール上、民間企業への就活と両立できないと思ったから

受験勉強をネックに感じている点や他の業界の方に魅力を感じるようになったことにより、公務員受験を回避するというのはかなり可能性は高そうです。

この調査には直接的に現れていない点ですが、本当に公務員業界よりも他業界の方が魅力が増してきたのかどうか?という点についてちょっと考えてみましょう。

(これは現時点では統計資料を持ってきていないため、推測も含みます)恐らくこの5年で民間企業はコロナ禍の前後で、民間企業の中の働き方が大きく変わりました。
一例としてリモートワーク(在宅勤務)があります。

2024年現在、
・在宅勤務でワークライフバランスを実現しながら悠々と働いている層
・従来型オフィスワークが前提となっている働き方をしている層
に白黒ついています。

リモートワーク/オフィスワークの良し悪しは、個々人や業界の事情も大きく影響を与えるため一概に論じることができないですが、少なくとも公務員業界はリモートワークの導入がまだ遅れている業界ではあると思います。

元々、公務員志望者は仕事内容よりも待遇面に魅力を感じている人が多い傾向にあるため、こうした働き方の面で民間に劣後している点があることは採用に良い影響を与えません。

2024年卒大学生公務員のイメージ調査より引用


もちろん待遇面は働き方だけではなく、報酬などの色々な要素が考えられますが、本記事の本来の趣旨から外れてきたので一旦この辺にしておきます(笑)

このように、統計や事実に出てこない部分を考察することは、上手な論文を書く上でも面接でそれっぽい見解を述べる上でも非常に重要なので、色々と思考してみてください。


話を戻し、以上までの買い手側(採用側)と売り手側(受験生側)の事情をそれぞれまとめます。

・外部環境要因として、少子化により受験者の母数が減少した
・公務員試験の受験準備で負担が大きく、受験生が回避するようになった
・他業界との人材獲得競争に負けている

(これが全てではないにせよ)公務員試験の受験者数が減少してしまったことの大きな要因はこんなところでしょう。

今後の公務員試験の動向の予測

人材不足の課題に対する採用側の打ち手のまとめ

採用側が試験に対してどんな改革を行っているかは受験生もなんとなくはわかっている人が多いと思います。
こちらも総務省が何をやっているのかしっかりと公表してくれていますので確認してみます。

こちらも施策として実施している自治体が多い順にまとめると、着目すべきは以下でしょう。

・受験資格の緩和
・試験日程の見直し(民間との併願に配慮)

 ⑴試験日程の前倒し・短縮、実施日変更
 ⑵試験実施日を休日に設定
・筆記試験の見直し
 ⑴教養試験・専門試験・論文試験等の試験対策が必要な科目の廃止
 ⑵SPI等の適性検査の導入

いずれもこれまで考察してきた採用問題の課題と打ち手というような感じで対応していることはわかると思います。


年齢条件は順次撤廃・大幅緩和され、中途人材のニーズは増す

少子化による受験人口の減少に対する打ち手の一丁目一番地として、やはり中途人材からの人材確保しかありません。

令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果(https://www.soumu.go.jp/main_content/000919478.pdf)


都道府県・政令指定都市(いわゆる地方上級)では中途試験導入率100%、その他の市町村でも半数に昇る勢いで導入が進んでいます。
このトレンドは少子化が改善されでもしない限り止まらないでしょう。

環境分析のところで、対他業界で公務員業界の魅力が劣後しているという話があったと思います。この課題を抜本的に解決するにも、外部の血を取り入れるしかありません。

それ以外にも、行政の現場ではDX・IT系などの専門人材の確保についても課題感が増しています。これらの課題感に対応して、一部の自治体でデジタル人材採用区分(ICT採用枠と呼ばれていることが多い)が新設されています。
(例として、都庁デジタル人材採用枠特別区ICT区分を紹介しておきます)


余談ですが、IT系人材は官民関係なくどこも足りておらず、官民関係なく人材のとりあいのような状況になっています。
IT系人材は供給も追い付いていないため、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足するといわれています。

出典:2019年 IT人材需給に関する調査(経済産業省)



筆記試験の難易度は今後も低下する

押さえておくべき事実として、なんと20%もの地方自治体でSPI等の民間型試験の導入が行われています。

先ほどの資料の抜粋で内訳を確認してください。

SPI導入自治体
・都道府県:9(19.1%)
・政令指定都市:9(45.0%)
・市町村:427(24.8%)

アイコニック(象徴的)な出来事としては、ついに東京都の採用試験でSPIが導入されることです。

また、地方上級試験として非常に人気の高い横浜市もSPI導入をどんどん進めています。


従来型の公務員試験は残しつつも、科目単位でパーツ的に試験を廃止(例えば、専門試験や論文試験を廃止するなど)する施策を進める自治体もかなり増えています。

教養試験・専門試験・論文試験等の試験対策が必要な科目の廃止
・都道府県:19(40.4%)
・政令指定都市:11(55.0%)
・市町村:318(18.5%)


SPI導入や従来型の公務員試験の廃止までいかなかったとしても、筆記試験がボーダーフリー化することで実態として無意味化するようなケースもあります。

それが昨年の東京都特別区の試験で、なんと筆記倍率が1.29倍と倍率が1にかなり近づいているというような、信じられないような事態が発生しました。


筆記試験の負担感は買い手・売り手ともに共通認識である課題感であるため、このトレンドは恐らくずっと続いていくと思います。

次の5年〜10年では下手すると、全ての公務員試験はSPI系試験+面接だけになっている可能性もあながち笑い話ではないかもしれません。


筆記試験のバーについては多くの受験生にとっておきな関心事だと思うので、2024年試験のトレンドをまとめておきます。

2024年試験については、以下のグラデーション状態になっています。

  • 従来型公務員試験が実施される

  • SPI系試験を実施し、実質民間の採用試験と同質化

  • 従来型公務員試験を実施するが、実質ボーダーフリー

これから受験したい公務員試験がどれに当てはまるのかをしっかり見極めましょう。


人物重視試験の本当の意味

昨今、公務員試験は「人物重視型」になっていると言われています。

これは半分正しく、半分はミスリードな気がします。

というのもこれまでの考察通り、筆記試験の負担を下げている背景として受験生を確保するために現状を是正しているような意味合いの方が大きいためです。

もっというと、採用側は筆記が不要と思っている訳でもなければ、これまで以上に人柄を重視しているというわけではないと思います(試験の是正が行われるよりも前から面接はずっとあったので、人柄を軽視していたというわけではないでしょう)。
実際、面接試験は従来と比較して何か特別なことをやっているわけではなく、実際の中身は今も昔もほとんど変わりません。


受験生や公務員志望者に対しては、「人物重視」ということを過剰に恐れる必要はないということを伝えたいです。

その一方で、事実として民間型の面接で合否が決まるような方式に近づいていることもまた事実ですので、しっかりと面接対策はやりこんでおくが吉です!

公務員試験の面接の攻略法の記事は以下でまとめており、今後も随時新作をリリースしていきますのでフォローしておいてください!

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本編はここまでとなります。
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【有料】とにかく受かればなんでもいい場合の作戦

ここからは最後のおまけとして、受験生目線でとにかく受かる可能性を高めるためのテクニックを紹介しておきます。
これまで買い手(採用側)にも売り手(受験生側)にもある程度配慮したような内容にしていましたが、ここからは現在の試験状況を逆手にとってどうやれば最短効率で公務員に潜り込めるのかを売り手事情だけで解説します。

ですので、ここからは有料版とさせていただき、本当に知りたい人だけ読んでください。
また、確固たる志望先が決まっていたりするケースは参考にならないかもしれませんので、予めご承知おきください。


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