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将来のこと

「うちの子、将来の夢決まってないんですよ」

保護者の方がよくおっしゃる言葉の一つです。
私が塾で働き始めた20年前も今も変わらず、出てくる言葉。

若いころの私は、「一緒に何か見つけます」なんて話していましたが、広い広い世界を知らない子どもたちがやりたいことを決めることはかなり難しいことだと理解しています。だから今の私は「お母さまやお父さまは中学生(高校生)のとき、決まってましたか?」と意地悪な逆質問をしてしまいます。

20年、生徒を見てきた私の統計?によると、将来の方向性が決まっている高校生は1割くらいかなと思っています。

決まっている子とそうでない子

決っていることそうでない子の違いは何か?

私は「タイミング」の問題だと思っています。

たまたま自分の心に残る出来事に遭遇し、その仕事にあこがれを抱く。このタイミングが早いか遅いかの違いなのだと。

例えば、怪我で入院した病院で看護師さんに励まされて憧れを抱いたり、学校で尊敬できる先生に出会い憧れを抱いたり、観劇をして演出の華やかさに感動して裏方に興味を抱くなど。

どこでどう心が動くかは予想できません。

このような体験をする子は勉強の、そして学校生活のモチベーションは高いし、前向きに頑張れるのは間違いのないところです。

ではこのタイミングを早くさせるコツは何かというと、向き不向きを問わずに「体験」を増やすことです。

横のつながりを増やす

学生の行動範囲は大半が学校と家庭。

この中で将来やりたいことを決めることってかなり限定されると思うんですよね。自分事として仕事に触れる機会が少ないのです。まして、地方に住んでいる子どもたちはさらに限定されているでしょう。

意識したいこととしては横のつながりを増やすこと。

・小さいころから家族で出かけることが多い子は、いろいろな地域を知って見聞が広がる
・地域のボランティアなどに出向いている子は、いろいろな人を知って見聞が広がる
・映画やイベント、舞台などによく行く子は、いろいろな演出を知って見聞が広がる

こういう体験の多い子は自然とやりたいことが見つかっていたりします。
やみくもに「将来やりたいことを探すこと」は実は遠回りで、自分にとって合う合わない気にせずに「体験」を増やすことが近道かなと。

親は自分の子に幸せになってもらいたいから、早くやりたいことを見つけて頑張ってほしいと思うのは当然です。
しかし「将来やりたいことなんて簡単には決まらない」という前提を持ち、子どもたちに数多くの「体験」をさせてあげることが大事だと思います。

私がはたらく塾も子どもたちにとって、そうあるようにしていきたいものです。
教育というサービスを提供しているからか、先生になる子が多いのが実情ですけど、多少なりとも影響が与えられているのであればそれも嬉しいことです。

こんなことを言っている私も高校生のときまでやりたいことは特になく、大学生になってようやく自分の特性が分かり、興味あることが出てきました。高校や大学に入ってからやりたいことが見つかったとしても、それをするための努力は苦にならないから大丈夫です。私がそうでしたから。
なので将来の夢がないお子さまに対して、それがマイナスなことだと言わず、「いろいろな体験をもっとさせよう」と思っていただけるとよいでしょう。

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