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『安野光雅 天動説の絵本 ーむかしてんがうごいていたころのおはなしー』

「地球が丸いなんて当たり前だし」
「迷信なんてばっかじゃないの?」

なんて、子供がいう前に、ぜひ読んでほしい本。

5歳の娘に、星座やお空のことを記した絵本を探して見つけたこちらは、字が小さいので少し難しく感じられますが、文章は平易で、娘も1人で読めるレベル。そして、それでいながら、大人の私が読んでも引き込まれ、「昔、そんな時代があった」ことが、まるで小説を読んでいるかのように切々と迫ってきて、読み終わった後、思わず胸が詰まりました。

あとがきが、あまりに「私が感じたことは、まさにこれ!これを私も娘に言いたい!」と感じたので、そのまま引用させてください。

(地動説を唱えた学者を弾圧した)そうした歴史を思うと、「地球は丸くて動く」などと、なんの感動もなしに軽々しく言ってもらっては困るのです。
この本は、もう地球儀というものを見、地球が丸いことを知ってしまった子どもたちに、いま一度地動説の驚きと悲しみを感じてもらいたいと願ってかいたものです。

長い迷信の時代に、虐げられた人が積み重ねた歴史を思い、「驚きと悲しみ」を感じること。

それは、時代、国籍、宗教、科学…別の視点を持つ人の感情を理解しようとする、基本的な姿勢が詰まった言葉
ただ、自分の視点から物を言い、それ以外の考えを慮る姿勢がない人に、ならないために、しないために、娘に今読ませてよかったな、と感じます。

国際アンデルセン賞を始め、数々の世界的賞を獲得している安野光雄氏の絵本。私自身、子どもの頃から彼の絵本が家にあり、大好きな作家なのですが、まるで古いヨーロッパの本のような装丁、彼らしい緻密で美しい絵と、数学的な思考で、天動説が信じられていた頃のことが描かれている絵本です。

こちらも名作中の名作。

仲間分け、順序だて、割合…などなど、美しい絵と考えさせる文章で、私も我が家の娘たちも、これで算数・数学的捉え方の基礎を学んだといっても過言ではありません。

よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!