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名作『長くつしたのピッピ』|英語と訳者で読み比べ!


先日、本棚を整理していたら、『長くつしたのピッピ』が二冊あることを発見。

私は青い鳥文庫版で育っていて、長女がそろそろ読めそう…っていうときには残念ながら絶版で、岩波の方を買い足したのだと思います(ちなみに、英語版も持っています^^)。

二つは訳者が異なるので、今回見比べてみました!

絵の違い


青い鳥の方は、青い鳥らしいアニメのようなふっくらした絵。岩波も、岩波らしい異国を感じる絵です。ワンピースの女の子はおしゃれさんで、昔、このドレスにも憧れたものです^^

翻訳の違い

同じシーンのところを読むと、やはり少しずつの差が積み重なって、似て非なる世界観。

長くつしたのピッピの魅力は、なんといっても、その唯一無二のキャラクター。たった9歳の女の子なのに、一人暮らしで、学校にもいかない。信じられないくらい力持ちでお金持ちで、人生のほとんどを船乗りのパパについて船上で過ごしたために、博学だけど勉強は苦手。行動は奇想天外で、なにより面白い遊びを生み出すのが最高に上手。

そんな彼女の生み出した遊びのひとつに、「さがし屋さん」というのがあるのですが、つまり地面に落ちている、誰のものでもない素敵なものを拾い集める遊びのこと。これは、岩波では「もの発見家」と訳されています。原書のスウェーデン語はわからないのですが、英訳版(by Edna Hurup)では、”A turnupstuffer”という造語にされていて、これは訳の難しいこと…!

探し物の例として、青い鳥が「死んだねずみやクラッカー、小さいねじくぎなどね。」と言っているところを、岩波では「死んだねずみとか、爆発ボンボンとか、ちっちゃなねじとか、そんなものよ。」と言っていたり。

今回初めて訳者のプロフィールを参照したのですが、青い鳥の尾崎義氏は、日本の外交官、北欧文学者、翻訳家という多才な方で、なんと明治生まれ。もちろん常用漢字に直されているとはいえ、古さを全く感じさせない訳です。他方、岩波の大塚勇三氏は、もちろん児童文学翻訳の大家。

どうしても読み慣れた方がすーっと入ってくるので、もうバイアスのかからない判断はできないのですが、こうやって読み比べするのは楽しいですね^^

翻訳は、作者が書かれた時代にあわせるのか、時代の流れにあわせて変化させていくのか、難しい問題ですが、古い訳には古い訳にしかもてない空気感もまたあるなと思うのでした。

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