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とある真夏の日に

朝早くの便だったせいか、乗客のほとんどが心地よい眠りに誘われる中、着陸を知らせる機内アナウンスの声で目が覚めた。

成田空港に着くや否や、けたたましく鳴り響く蝉の鳴き声が聞こえた。

無機質なプラットフォームに再生され続けるその音が、今が真夏の真っ最中であることを思い出させてくれる。

ショルダーバッグをかけたすらっとした体格の男性の寝癖を目印に、流れる人混みに混じり第二ターミナルを目指す。

同じように吸い込まれていく男女がすぐうしろの方で、北海道に蝉はいるか?
いたとしても北海道の蝉の鳴き声は、なんというかジジっとした音だ集団では鳴かない、とか、取るに足らない地方ネタトークを繰り広げながら着いてくる。

100メートル走のトラックのような道を、前回の東京での記憶を再生しながら、体を暑さに慣らしながら、ひたすらに歩く。

その道は、そんなはずはないのに永遠に続くように感じてしまう夏を、物語っているようだった。

第二ターミナルに着く頃には、ループ再生されていた蝉の鳴き声はもう、聞こえなくなっていた。


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