中国共産党の「大物」が米国に亡命した

中国共産党の「大物」が米国に亡命した  2021年6月22日に掲載

 日本のメディアは相変わらず「中国にとって都合の悪いニュース」を全く取り上げないが、今まさに米中間で過去最大級の出来事が起っているので、取り急ぎお伝えしたい。

 2021年2月中旬、1人の中国人が米国に亡命した。米国カリフォルニア州に留学中の娘を訪ねた後、米国国防情報局(DIA)に駆け込んで保護と亡命を求めた。なぜDIAだったのか?は後回しにして、そこから3か月が経過する。

 5月25日、反トランプの急先鋒であり「コロナウイルスは中国の生物兵器」とのトランプ発言を陰謀論として全く取り上げなかったワシントン・ポストとCNNが、突然「コロナウイルスは中国の武漢研究所から漏れ出した」と従来の報道を180度変更した。

 バイデンまで唐突に「コロナの起源について追加調査し、90日以内に報告するように」と各情報機関に指示している。あのファウチも直後から発言を変化させている。

 そして6月10日、米保守系メディアのレッド・ステートが初めて「過去最高位の中国人亡命者が米国に到着し、すでにDIAに3か月にわたって協力し、米国側に中国の生物兵器を含む特殊兵器計画について情報を提供した」と報じた。

 その後は五月雨式に報道が続き、現在ではこの亡命者が中国国家安全部(スパイ活動の総元締め)の董経緯・副部長であると特定されている。副部長というと日本ではそれほどの肩書とは思えないが、中国の「部」は日本の省庁に相当し、そのトップは政治局委員が兼任することが多いため実質的に国家安全部のトップとなる。他の部のトップとも情報を共有できる立場にある。

 だから「過去最大級の高官」であり、しかも中国スパイ活動の総元締めのトップである。

 冒頭書いたDIAに駆け込んだ理由は、「立場上」FBIやCIAには中国のスパイがいくらでもいるため、すぐに「消される」ことを知っていたからである。同じ理由で「間違っても」大物が日本に亡命を求めることはない。

 DIAも厳重な箝口令を敷いて(FBIにもCIAにも一切情報を漏らさず)提供された情報のウラを取り、間違いないと確証を得た情報から小出しに(情報元はまだ隠して)政府関係者や一部マスコミに提供開始した日が5月25日だった。それまではホワイトハウスにもファウチ率いる米国アレルギー・感染症研究所(NIAID)にも「同じ理由」で一切情報を伝えなかったはずである。

 3月18日にアラスカで初の米中外相会談が行われた。会談中ずっと中国代表(楊潔篪・政治局委員と王毅・外交部長)が董を中国に送還するよう強く迫ったが、肝心のブリンケン国務長官が何も知らされていなかったため全く話がかみ合わず、会談そのものも不調に終わった。

 そしてDIAが満を持して5月25日に最初に伝えた情報は、コロナウイルスが武漢研究所で開発され、生物兵器として使われていたという事実と、中国共産党の今後の生物兵器を含む特殊兵器計画だった。もちろんそれ以上の情報が提供されているはずである。

 しかも董は「スパイ活動」の総元締めだった。これから中国に情報提供した米国籍保有者や米国にいる中国スパイの氏名、中国から資金提供を受けた政財界及びその周辺にいる人物の氏名、およびそれぞれの財務記録などが明らかにされるはずである。ハリー・デクスター・ホワイトとかオルドリッジ・アイムスとかロバート・ハンセンのような「大ネズミ」が摘発される可能性も強い(この3名はソ連に情報を売っていた違いはあるが)。ついでに言うとハンター・バイデンなどは「子ネズミ」の部類である。

 董の情報は何も米国籍保有者や米国在住者だけでなく、日本を含む世界中の「中国スパイ」の氏名も米国側に提供されているはずである。今度はこれらが米国外交上の武器として使われることになる。

 しかし最大のダメージは中国共産党および習近平が受けるはずであるが、そこからは次の機会に書くことにする。

2021年6月22日に掲載