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東京に住む龍

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龍が動き出すとき神々も動き出す。して人類は? 龍は世界に5匹しかいなかった。青龍は東京23区内に住み、日本国政府はお世話係で、あの世の支配下にあった。 青龍が1億歳の誕生日に日本…
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#ファンタジー小説

東京に住む龍 第一話 僕結婚します。

  青龍は現世日本の東京二十三区内に住んでいた。日本国政府は龍のお世話係で、あの世の支配…

東京に住む龍 第二話 龍の恋人

宮前小手毬は思った、私の人生は第三希望だ。第三希望になっても不幸でも不運でないのは、運の…

東京に住む龍  第三話 龍が動き出すとき神々も動き出す

………………………………………………………………………………………… 登場人物 青龍・水…

東京に住む龍 第四話 龍の片想い①

 心浮き立つ春である。ましてや受験勉強から解放された大学一年の春だ。宮前小手毬はさぞ、浮…

東京に住む龍 第四話 龍の片想い②

小手毬は思った。 『高校で音楽の授業を取ってなかった、音楽部の学生は始めてだろう』 実際…

東京に住む龍 第四話 龍の片想い③

  夏休みが終わり後期の授業がはじまった。音楽の出来ない現実が待っていた。 希望通り薬…

東京に住む龍 第四話 龍の片想い④

 酒井礼二とは先日のコンサート以来進展はなかった。辰麿とは距離を置こうと考えた。うまい具合に辰麿は、神主養成所の研修で地方の神社に行っていて帰ってこない。年末年始もその神社で神官のアルバイトをするそうだ。何となく時間稼ぎにはなったと思った。 思いついて中学からの友達の七緒に、メールした。一方的に思われている男と結婚させられそうだ。その上男は一億歳の龍だ。ラノベのファンタジー好きなので、詳しく説明すれば分かってくれるはずだ。送信ボタンを押した後で文章を見たら、辰麿が龍であるこ

東京に住む龍 第四話 龍の片想い⑤

 もう脱力の日々で有るかと思ったら、大学の課題を真面目にやろういう気が盛り上がってきた。…

東京に住む龍 第五話 龍の婚姻①

 月に向かって煌めく一匹の龍が飛んでいく。龍は月の周りを回りはじめた。 『御免、小手毬。…

東京に住む龍 第五話 龍の婚姻②

「お父さんはね、水神君と小手毬の結婚が決まって、嬉しいんだよ」  祖父母の家の一階にある…

東京に住む龍 第八話 白龍②

 神社の裏手の竹藪に小手毬以外の人間が絶対に迷い込めない結界がしてあり、幽世《かくりよ》…

東京に住む龍 第八話 白龍③

『これは白龍の物語だ』  そう心の中で呟くと、青龍こと辰麿は口中の唾を飲み込んだ。  御…

東京に住む龍 第九話 龍珠①

 私鉄沿線の住宅地の駅前商店街の中程にある、洒落た花屋で和服姿の若い女性が買い物をしてい…

東京に住む龍 第九話 龍珠②

 抜けるような青空の下、麦の穂が豊かに実り収穫を迎えようとしていた。平和で豊かな村で、奴婢でさえこざっぱりした服に、まともな食事を与えられている村だった。村は収穫を迎えていた。  その村の麦畑にも野菜畑にも百姓も奴婢も人間は一人もいなかった。流行り病がこの村を襲っていたのだった。  野守は構わず異国の鬼の姿のまま、村中を歩き回り観察した。鬼の角と鉤爪を出し、美豆良に日本式の貫頭衣という大陸の人間には珍しい格好で彷徨いたが、生きた人間は既に居なかった。  妻と娘を失った野