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うらない

この記事は文芸オンラインサロン『青い傘』企画🔮yukimiの占いテント🔮にて、志彌(ゆきみ)さん「時のマヤ暦」という方法で占いをして頂いた結果を元に制作したものです。

志彌(ゆきみ)さんのプロフィール

以下、本文となります。



 聞かれてもいない自分語りを、今日も今日とてしようと思う。

「自分を語る」という行為には二つの意味がある。
 一つは、相手(つまり、これを読んでくれているあなた)に自分のことをわかって貰おうとすること。 
 一つは、自分で自分自身のことをわかろうとすること。

 そう。聞いてもらおうと思って語らずとも良い訳だ。誰にも聞かれずとも、僕が僕自身のことを知るために、僕を語ることはそう悪い手ではない。大丈夫、妥当性はちゃんとある。
 と、聞かれてもいない自分語りに聞かれてもいない言い訳をし、厄介な自意識を納得させて。
 今日も今日とて誰に読まれるとも知らない文字を綴る。


 僕は、本質的には孤独な人間だと思う。
 いや、我ながらいきなり何を言い始めるのかと思っている。こんな思考は中学二年生の夏休みにとっくに通り過ぎているべきものだと心の底から理解している。
 しかしまあ、これについては自覚がはっきりとあるのだけれど、僕はもう10年以上も中二病が完治していないのだ。これはもはや中二病などという次元を超えた、なにかしらの不治の病なのではないかとさえ思うこともしばしばである。
 そんな、脳内で10年以上も熟成されたウィスキーならばまあまあな値段の付きそうな中二病的思考から出てくる結論として。
 僕は、本質的には孤独な人間だと思う。

「孤独」とは何か。人を信じられなくなることか。人に信じて貰えなくなることか。
「信じる」とは何か。疑いを持たないことか。あるいは、思考を棄てることか。

「人は裏で何を考えているかわからない」なんて言葉を、誰しも耳にしたことがあると思う。大概それは否定的な意味合いで、つまり、誰しも裏では誰か(誰も)に対して悪感情を持っているはずだというニュアンスで使われる。
 僕は割合のん気というか、無防備というか、そういう風にこの言葉を捉えたことはないけれど。しかし。
 この言葉は正しいと思う。

「わからない」

 言葉通り。僕らは他人の考えをそのまま、その人の頭の中にあるようには理解することが出来ない。僕らはただ、誰かの行為と、それが生み出す結果を観測することしか出来ない。裏にある考えや気持ちを、知ることは出来ない。
 だからきっと、僕らは誰かと心の底から分かり合うことは出来ない。
 なんてことを日ごろから考えているのが表に出てしまっているのか、いつか後輩から「あなたは誰のことも信用してないですよね」と言われた。と、まあそれは冗談の延長での発言だった訳だけれど。しかし、言われてみれば。確かに、そう言ってしまえばそう言えなくもない。

 僕は多分、人の気持ちを信じていない。
 だからきっと、僕は誰とどんなに関わりを持とうとも、本質的には孤独なのだと思う。

 いや、いや。勘違いしないでいただきたいのだけれど。
 自分語りでヒロイックな気分に浸り悦に入ろうという訳では決してない。あくまで客観的な思考の下で自分を語る、というか……そう言ってしまえば、そうとも言えるよね、というか……そう、つまりこういったことは結局のところ見ようによって変わる訳だ。と、言ってしまうと話が終わってしまうけれど。

 そう。
 例えば、道端に立っている大きな黒い円盤が、後ろに回って見てみたら真っ白だったという風な――いや、これは何というか、例えとして破たんしているというか、ちょっと想像がし辛いな…。
 なら。
 例えば、僕がアルバイトの帰り道で見つけた、入り口に小さな青い傘を飾っている占いのテント。


 中をちらりと覗くと、綺麗な若い女性が小さなテーブルを出して座っていた。占い師らしくミステリアスなコスチュームに身を包んでいる。自分では横目で少し見た程度だと思っていたが、実際には数秒しっかり見ていたのかもしれない。彼女と目が合ってしまった。僕は気恥ずかしさから足早にその場を立ち去った。
 しかし、数メートル歩いたところで、僕は足を止めた。これはもう直感、あるいは第六感というしかないのだけれど、僕はその時、ここで占いを受けるべきだという思いにとらわれていた。歩いた道筋をまっすぐに戻り、テントの前に立つ。
 深い紺色に、夕日の赤が混ざっている。小さいテントだった。中の占い師と、客が一人入れば埋まってしまうような。
 意を決して、足を踏み入れた。
「いらっしゃい」
低くしわがれた声が僕の入店を歓迎してくれた。果たして、中には先ほどの美人とは似ても似つかない、しわくちゃの老婆がいた。唯一、コスチュームだけはあの美女と全く一緒だった。
 あの有名なだまし絵のようだ、と僕は思った。


「時のマヤ暦」

 というらしい。どうやら、彼女の占いは。
 占いのテントらしく、中には水晶玉やカード――タロットカードというやつだろうか――が並べられていた。物珍しさにきょろきょろと観察していると、占い師は
「ああ、それは全部飾りなんです」
と、こともなさげに言った。
 ろうそくの明かりが薄く照らす神秘的なテントで、僕はこれから受ける占いの説明を受けた。

 彼女が言うには、産まれた月日、場所と時間によってその人の持つ「自分らしさ」や「人生のテーマ」といったものがわかるらしい。反射的に「それだけでいいんですか?」と聞くと、彼女は「それだけで充分です」と返した。
 しかし、言われてみればなるほど、人は自分の生まれる時と場所を選ぶことは出来ない。しかして、そこに何か特別な、運命じみたものを見出すのは理にかなっていると言える。などと胸中で無粋なことを考えている僕に、彼女は
「人は皆、自らの誕生日を選んで産まれてくるんですよ」
とまるで見透かしたような台詞を吐いた。
 面食らっている僕に、彼女が占いの結果を告げる。視界の端で、ろうそくの灯がゆらめいた。

 占いが終わり、僕は鑑定料を払おうと財布を取り出した。が、しかし。困ったことに、テント中を見回しても鑑定料を示す張り紙なり立て札なり黒板なりが出されていない。
 僕は彼女に「お代は?」と聞く。すると、彼女は僕の目を見てこう言った
「お金は結構です。あなたが、あなた自身と向き合うことへの対価として、釣り合うと思うものをお支払いください」
真っ直ぐに僕を見通す目だと思った。僕の心の中に潜んでいる、僕でさえ見たことのない何かを見つけ出すような、そんな目だった。


 そうして僕は彼女に、「僕」を語った。白状した、と言ってもいいかもしれない。


 話すことと内容を頭で整理することを同時並行しながらの語りだったので、語り終えるまでだいぶ時間がかかってしまった。彼女は僕のたどたどしい語りを、文句ひとつ言わずに聞いてくれた。そして僕の話が終わると、ただ「ありがとう」と短く言った。

 日もすっかり暮れた。そろそろ家に帰らなければ。

 横に置いたリュックサックを背負い直し、僕は彼女に礼を告げ背を向けた。そういえば、今日の夕飯を何にするか、まだ決めていなかった。帰りにスーパーにでも寄ろうかと思いながら、テントを出ようとしたその時だった。

 僕の目の前に、彼女――あの綺麗な若い女性が現れたのだ。

 僕は驚き振り向いた。果たして、中には僕の後ろの美人とは似ても似つかない、しわくちゃの老婆がいた。これはいったいどういうことだろうか。

「ああ、私達、ここで二人で占いをしてるんです」

 聞くと、彼女たちは家族――つまり孫と祖母の関係にあるらしい。
 そうか。そうだったのか。タネ明かしというのもはばかられる、ばかばかしい話だ。なんとも可笑しな勘違いに囚われてしまっていたものだ。
 気恥ずかしさから、僕はそそくさとテントを出た。彼女らに向けた僕の苦笑いの真意は、いくら占い師といえどもわからないだろう。

 我ながらお粗末な話だ。
 いや、よくよく考えたら、そんなものは普通に考えればわかるはずだった。勝手な先入観で「だまし絵のようだ」などと心を躍らせていた自分がなんとも恥ずかしい。
 そう、きっとそんなものなのだろう。
 存外、僕の思っているような裏なんてものはないのかもしれない。

 ……本当に、我ながらお粗末な話だ。


志彌(ゆきみ)さんに占っていただいた結果

黄色い人 7 /白い世界の橋渡し4

バランスの良い世界は自分の能力を発揮させる
喩えるなら個人事業主って感じの質を持つ
自分で全部マネージする 自分で準備から完成まで一人で完結することができる

対人で何かを進める時 一人で考える時が必要になるよ
一人の時間がいろんなことを 整理していくから
自分のために何かをする時は 人に話を聞いてもらうことでバランスが整いやすい人

感情の表現が薄い人とかに共感されても 少し馬鹿にされてる気分になることもある 
だから誤解して裏切られた!とか思っちゃうこともあるとおもうの
そんなこと全然ない 竹原さんの思考はマリアナ海溝よりも深いとこまで行くんだけど
他の人は大陸棚くらいまで考えたら十分深めた!ってなるのそれくらい いろいろなものに対しての深め方に差があるって知ってて欲しいの
ということは・・・・考え方が浅いな俺ってなってる時いでも 周りよりは深いとこまで考えてたりする

共感力は高いんだ 目の前にいる人のことは
包み込みたくなるくらい 愛しい感覚を持てるんだ それくらい深い愛で包めるんだよね
そんな深い愛の人を 誰が裏切ると思う?
だから信じて欲しいんだ 
目の前にいる人は その人の精一杯であなたの思いに応えてるってこと

いろんなことを発展させていくそんな力を持つあなたは 生み出すことより 継続させるより もっと良いものにするってことに力を注いだ方が 頑張れるんだ
全体を見て 応用してまとめあげる それが君の強みだ!

いろいろ抱え込みすぎないように少しだけ気をつけながら

黄色い人

白い世界の橋渡し

「おー、面白いじゃねーか。一杯奢ってやるよ」 くらいのテンションでサポート頂ければ飛び上がって喜びます。 いつか何かの形で皆様にお返しします。 願わくは、文章で。