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ちよこれいと

家の前の道を小学校低学年の女の子と中年女性が前後して歩いて行く。
並んで歩いていない。
連れじゃないのかな?
自転車で買い物に出かける私は不思議に思った。

追い越しがてら女の子が、
「ちよこれいと」
と言うのを聞いた。

なーるほど!
あの遊びね。

四車線道路を渡る横断歩道は赤信号だった。
ここは歩行者の待ち時間がやたらに長い。

件の二人が追いついて来た。

立ち止まってはジャンケンをしている。
「ぱいなつぷる」
と中年女性が歩いて来る。

あれって今もあるんだ。

私が子供の頃は、グーが「ぐりこ」だった。
今もそうなのかな?

ちよこれいと ずんだ!

そう言えば三才年上の兄達は「ハワイ」「ちょうせん」「ぐんかん」だった。
時代だなあ。

実に終戦直後って感じだ。 

当時はもう戦後十年以上たっていた。
偉い人が「もはや戦後ではない」とか言ってたらしい。

でも一般ピーポーはまだ充分に戦後だったんだなあ。

なんて思っているうちに、二人も横断歩道の前に到着した。

そして手をつないだ。

これは親子じゃないな。

何と言うか……女の子の限りない信頼と喜びが感じられる。

中年女性も、もう包み込まんばかりの愛に満ちている。

おばあちゃんと孫娘。

しかも夏休みで帰省して来た孫。

普段から共に暮らしているわけじゃない。

たまにしか会えない二人なのだ。
きっと。

地下鉄の子育てスペース

母親だとどこかにもっと「子育て!」「教育!」「家事!」「時間がない!」というような、忙しない空気が漂ってるのだよ。

そういうマイナスオーラが微塵もない。
(いやマイナスとか言っちゃってゴメンお母さん)

信号が青に変わり、二人は手をつないで横断歩道を渡って行く。

こういう場所ではジャンケンなどしない。
その辺もちゃんとしているおばあちゃんである。

自転車の私は二人を追い越して行く。
ああ、夏らしい良いものを見せてもらいました。

ありがとうね。

セブンにしかない金のアイス!!

ちなみにこの時、私が向かっていたのはセブンイレブン。

スーパーにはないアイスクリームを仕入れるために、保冷バッグまで持参したのであった。


どっとはらい。


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