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静かな日曜日だった。遅く起きて二人でブランチに出かけた。例のギンガムチェックのテーブル…
⒗ 梅園町の菅野邸には相変わらず額に〆印のトラ猫がいた。訪れると床の間の猫ベッド…
⒔ 本城駅前で及川さんと待ち合わせて、梅園町に行くバスに乗った。あぐりは毎度赤ワ…
忌引きの間に中古のホンダは廃車にした。助手席のドアがべこりと凹んだところに、見たくもな…
8 何やら風が冷たいと気がついたのは本城三叉路に来てからだった。濡れたあぐりの服は…
休憩室でゆっくりする暇もないが、それは江口主任の顔を見なくて済むから逆にいい。会社に戻…
3 あぐりは退院後も二日間寝込んで仕事を休んだ。その間、婆ちゃんはにわかに正気に戻り、やれお粥だ葛根湯だと二階に来てはまめまめしく介護してくれた。 お陰で叔母ちゃんは休むことなくシフト通りに仕事に行った。365日二十四時間営業しているコールセンターでパート勤務をしているのだ。 「あっちゃんずっと病気でいれば? お婆ちゃんが元気になるから」 などと無茶を言う。とはいえ面倒を見る人が現れれば、面倒を見られる人ではなくなる。真理かも知れない。 あの午後、あぐりが参加
1 柿の木で蝉が一匹鳴いている。夏もじき終わる。 国分寺町は旧街道を一本入った…