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PERFECT DAYSを観て(ネタバレしかない)

五感に染みる感覚を覚える瞬間
生きてると思える瞬間

人に言わないで自分だけの特別なものにしておこうと飲み込んで過ごしている感覚が可視化されていた。

主人公平山の生活を追体験する中で、心に刺さったシーンを自分なりに振り返りたい。

  1. 木漏れ日や環境音

  2. スカイツリー

  3. 名前のない関係と、帰る場所

  4. 銭湯や飲み屋などの小さな贅沢と関係

  5. 言葉にしない 言語表現

  6. 人との受動的な関わり・流れる川のように受け入れも拒絶もしない生き方

  7. 平山の意思と大切なもの

  8. PERFECT DAYSとは

  1. 木漏れ日や環境音
    木陰や木漏れ日を愛おしいと思う。
    朝起きた時の変わらない掃除の音や木のざわめきを思う。
    日々やってくる朝を笑顔で迎える。
    平山にとっての平日は、彼の日々のルーティンも相まって時計が要らない。

    仕事や様々なことで揺れる日常でも、朝はいつも同じ繰り返しがあり、
    それが非日常と日常を比較する要因になっている。
    日々の小さなことに幸せを見つけて生きる。様々な情報が行き交う中で逆に豊かな生き方になっているように思った。

  2. スカイツリー
    様々なシーンで「古き良き」日本が映し出される。ただ、平山の時間は止まっていない。現代の中で古き良き関わりや景色に包まれながら生きる姿であることを鑑賞者は都度映るスカイツリーによって認識させられる。


  3. 水面に映るスカイツリー、行き交う人々が公衆トイレの天井に映るシーン、木々の重なりが木漏れ日として太陽と影を映し出すシーン、「影と影を重ねたら、濃くなるのか」と影踏みを始めるシーン。
    様々な生き様や時間や、要素が重なり合ってその人を濃くする。そうでなければおかしい。表と裏の二分にすると裏のイメージの強い影を使って表現している部分に面白みを感じた。

  4. 名前のない関係と、帰る場所
    平山は常に1人ではない。平日夜ご飯を食べればおかえりと言ってくれる人がいて、お休みの日の夜にはスナックのママに迎え入れられ、お互いひっそり繋がらずとも思いを向け合っている。
    本屋さんでは買うたびに話しかけてくれる同じ趣味を持つ人がいて、風呂場ではお互いを認識しながらも声をかけない見知った人がいる。
    ニコや、隣でサンドウィッチを食べる人もそう。
    平山は独り身だが、その周りには彼を取り巻く人々が、温かく存在している。

  5. 小さな幸せを感じるシーンが多いが、特に平山が気に入ってる木漏れ日を見つめるシーンや、一番風呂に入って、他の人が来るまで鼻まで浸かるシーンは印象的だ。
    日々木漏れ日を撮影したり、言葉にせずその幸せを享受している。
    ニコが木に向かって「友だちの木だね」と、その幸せや関係に名前をつけるのも印象的だ。

  6. 言葉にしない 言語表現
    平山は話せないわけではない。様々なシーンの中で話さない選択をしていることが印象的に思った。
    平山がニコに、自分とニコの母親は違う世界に住んでいると伝えるシーン。
    対照的に彼女と平山は行動がシンクロしている。言わずとも伝わる、そういうシーンにこそグッと来るものがあった。
    また、英語で聞かれたことに平山がパントマイム的に答えていたシーン。既存の概念にとらわれないトイレである空間も相まって、言葉の壁はないことを実感させられる瞬間だった。

  7. 人との受動的な関わり
    平山は人が嫌いなわけではないと思う。敢えて主体的に動かないだけで人情も、喜怒哀楽もとても豊かだ。そして様々な経験をしたからか、その喜怒哀楽の整理がとてもスムーズだ。私にはできない。
    流れる川のように来るもの拒まず去るもの追わず。その中で意思を持ってニコを彼女の世界に帰したのは印象深かった(彼にとって偶然ではなくしっかり写真に収めたいほど良い時間だったから尚更)。

  8. 平山の意思と大切なもの
    カセットテープ、日々の自分の時間、様々な自分の大切にしているものに囲まれた平山。写真をずっと撮り続けたり、とったものを即座に取捨選択できること、ルーティンを完遂するのではなく守りながらその余白を楽しめるところなどから、彼の意志の強さをかんじた。
    また、ニコを送る時、兄妹との人生の差を感じながらも、自分なりに笑顔で今の仕事や生活を伝えているのに反して妹から残念そうな目で見つめられたこと、最後にまたね、と言わずにさっていく妹。様々なことが重なり平山が涙を堪えられずに泣き出すシーンは圧巻だった。

  9. PERFECT DAYSとは
    彼にとって一定のルーティンがあり、ただそれに囚われすぎない余白がある。その中で、疲れてやり切れない日も、喜怒哀楽に想いを馳せて過ごす日も、どれも素晴らしい日々なんだと思った。

まだまだまとめ切れていないが、取り急ぎ、今日思ったことだった。
キャストもとにかく最高で、どのシーンをとっても素晴らしかった。

平山の最後のシーンも、また振り返りたい。

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