81歳 幼少期の大冒険 11
「夜10時発の夜行列車」
夜10時に東京駅を出て朝7時に京都駅に着く列車に乗りました。いつも通りの夕食をし、常磐線の北千住から上野まで行き、上野から山手線で東京駅へ出ました。列車の事は京都、大阪まで全ての駅名を覚えていました。うるさい父親は母親より先にOKでした。1番困ったのは荷物を入れるカバンのない事です。ランドセルを持って居る人は数名で私も風呂敷へ本を包んで通学していました。父親が私が小学校へ入る前に市川国府台病院へ発疹チフスで入院する時、購入したボストンがありましたのでそのボストンを使えと父親が言ったので何度も出し入れして、最終的には下着(パンツとシャツ)3組、着替えの半袖シャツ2枚、長袖1枚、靴下1組、てぬぐい3枚、風呂敷2枚、チリ紙(トイレ用)京都も大阪もデパートのトイレを利用しました、ちり紙は有りましたので、ロールペーパーは存在しませんでした。歯ブラシと缶入り歯磨き粉、石鹸(セルロイド容器入り)、正露丸と赤玉、赤チンキ、絆創膏、缶切り、ナイフ、アルマイトの皿2枚、アルマイトの水筒、麻紐、洗濯バサミ、本屋のおじさんから頂いた時刻表、乾パン、ドロップ、スルメの足、竹の皮に入ったごま塩握り(10個)、1番大切な4冊のノート、これでボストンは満タンでした。北千住駅までの15分間、重くて何度もボストンを道に置き休みました。
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