私の昔話18
「魚屋の友達」
叔父さんの知り合いでユニークな人は、毎日、店に子分2、3人を連れて来て、私に毎日10円のお小遣いをくれるヤクザの親分です。また上野警察の署長も友達で署長室でよく話していました。時々店の奥の部屋で密談する、多分ヤクザと思える人達もいました。いつも黒塗りのクルマで来て革の鞄を子分らしき人に持たせていました。そんな中で店から1分のところにアメ横で一軒しかない魚屋がありました。入り口に大きな樽があって、まな板があって、包丁が何本か散らばっており、その下の樽に水が流れていました。奥に大き関取の写真があり、年配の夫婦が働いていましたが、外にいつも居たのが着物を着て前掛けをした大関、清水川でした。しかし多分引退していたと思います。叔父さんと仲が良く、肩や胸を叩きあっていました。店の前を通ると、まず私を抱き上げ、肩車します。高くて怖いのです。叔父さんとの話が長く私は清水川関の胸を履いている下駄で叩くとやっと下ろしてくれます。奥に呼ばれて座って待っていると、ガラスケースからゆでタコを出して、足を切って手渡してくれます。店を出るとおじさんは小さいけれど強い大関だよと言い、清水川の親戚と知り合いだと言ったのを覚えています。
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