81歳 幼少期の大冒険 13
夜行列車で京都へ
東京駅を夜10時出発で夜行の急行で9時間の旅です。客は1両に3人でした。千葉から来たおばさんがあちこちウロウロしておりましたが、最終的に私に話しかけて、空いていて寂しいから一緒に座っていいですかと話したので私はうなずきました。ガラガラの列車で四席を占領しました。勿論SLです。車内は薄暗く暑いので窓は開けっ放しです。熱海の先の丹那トンネルへ入る時、石炭を燃やす煙が窓から入って、顔はススだらけになるので直ぐに窓を閉めます。
私の前に座ったおばさんは、何歳なのか、なぜ1人で夜行列車に乗っているのか、家出ではないのか、家族は、親戚はとマシンガンのように聞いてくるので、今が私の4冊のノートを出すタイミングと関西旅行準備書、京都、大阪、三重研究書をおもむろに油紙に巻いたゴムを外し(パンツのゴムを輪ゴムのように縫いつけ、幾つか自分で作っていました)研究旅行ですと言いながらおばさんに4冊を手渡し、しばらく目を通していたおばさんは、坊や偉いんだねと言い、大きな風呂敷包みからコッペパンと、かりんとう、ゆでたまご、大きなおにぎりを出し、がまぐちから10円札を5枚出しましたが、引っ込め30円をくれました。私は本当は欲しいのですが、今会って10分もたっていない人からお金は貰えないと言う態度で拒否しましたが、ノートの間にはさんでくれました。尚、現在のような輪ゴムは日本では存在しませんでした。おばさんは途中の大垣で下車しました。
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