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W124バブルの方向性と今後 そして"おしゃれ"カスタムの是非

 私ヒジョーにクルマが好きで。だから自動車雑誌の編集部に就職したんですけどね。ちょっと言わせてよってことが非常に多くあるのでクルマについても少しずつ書いていこうかなと思います(個人のnoteなので"フーン"で見てください)。

 私の愛車はメルセデスベンツEクラス(W124)。すでに25年前のネオクラシック(メルセデス流にはヤングクラシック)。部品こそ豊富にあれどまあまあ壊れますよね。

 けれどなぜW124なのか。今回はちょっぴりそれを語りたいと思います。

■速くもなく燃費もよくない。けれど機械を感じるクルマ

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 W124の魅力はずばり言えば「機械っぽさ」だと思う。現代のクルマは非常に多くのセンサーを備え、常に燃料の濃さを調整し燃費を稼ぎ、コーナリングG(カーブでの荷重)を計測しブレーキの配分を自動で割り振る。

 もちろんそれが悪いなんてことはなく、ましてや個人的には3ペダル原理主義でもない。安全で楽しいクルマは現行車にも非常に多いですから。けれど、操っている感覚はやはり1990年代頃までのクルマのほうが強い。

 これは機械式時計とデジタル時計の比較に似ているところ。どっちがいいとか悪いではなく。

 じゃあそんな'90年代までのクルマのなかでなぜW124がいいのか、ってお話を。数々の名車がありますが、正直ここまで作りこまれたクルマは少ないと思う。

 車両剛性、鋼板の精度なども含めてまあ凄いんです。特に剛性については固めたではなく入力を"いなす"能力が高い。固いところは固く、柔らかいところは柔らかく。

 シャシーは直4、直6、そして500E/E500のV8まで飲み込む。もちろん同じシャシーであり、たとえ500Eでも構造を変えるような大きな補強がされているわけではない。それでもしっかりと曲がり、しっかりと止まる。それこそW124の真骨頂。

■後期型がダメ、なんて言ってられない

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 ネットに転がる謎の「前期神話」。その人たちがいうには後期型はシャシーやボディに大幅なコストダウンがあり、本来のW124を味わうには絶対に前期型というもの。

 たしかに後期型の配線類は環境対応で新素材が使われており、非常に耐熱性が低いことが知られている。もちろんそれを直すのに部品代を入れれば30-40万円かかることも。それは不利だ。

 しかしどの文献を見てもシャシーの素材や製法を変更したとの記載もなく、ましてやボディ鋼板の素材を薄くしたなんてハナシは載ってない(あればぜひ資料を教えていただきたいです)。

 そもそも同じ車種の製造後期になってボディやシャシーに手を加えるというのはコストダウンどころかコスト増になると考えるのが普通ではないだろうか。

 前期型のデザインが好き、SOHCのアジが好きというのならわかる(後期型乗りとしてもそれはすごくわかります)。しかし後期型のメカニズムは前期型より劣っていて、W124は前期までがホンモノというのはやや穿った見方だろう。

 もちろん好きで前期型に乗るというのは尊重すべしだし誰もが否定する権利はない。でも「後期乗りはモノゴトがわかっていないんだ」ってのはちょっと理解できない思想。こうやって車種ごとの原理主義者は増えていくんじゃないだろうか。

 なにはともあれ中古車で狙うなら無理に前期型を買わずにあえて微妙な人気のE280あたりを狙うのも手。私自身も最初はE320を探していたが途中からE280にスイッチ。94年式を格安で入手しました。

 500E(E500)も同じでとにかく買うなら今だと思う。前期型がどうしても欲しいということなら意地でも前期だが、そうでないならE500も超絶いいと思います。

■新規参入ユーザーの存在はありがたいのよ

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 昨今W124(特にワゴンのS124)の人気がうなぎ登りだ。オシャレ層にクラシカルな124がウケている。これはアウトドア雑誌にオシャレキャンパーたちが乗っていたなどがことの発端。

 アースカラーの124にあえての鉄ちんホイール、そして武骨なキャリア。そんなコンプリートカーを出すショップも多い(金額も500万円近いが)。

 上の写真はニュルブルク24時間レースでキャンプをするW124。私が撮影した写真だが、本国ではセダンでもガツガツ使う。となるとアースカラーのS124たちは日本発ともいえるムーブメントだ。個人的にはそれはそれですばらしいことだと思う。

 なんせ124ユーザーが増えれば部品需要は増え、部品供給はしばらく続くことになるのだから。アフターパーツの供給も増えるかもしれない。しかしこのようなイマドキ系ユーザーを毛嫌いする人たちも多いようだ。

 なんせ「ホンモノ」を自負しているユーザー層にとって、ややもすればライトに見えるアースカラーの124たちはダメみたい。まあこれは老害としか言いようがないのだけど……。

 前述の前期型至上主義(500EはポルシェラインでE500はポルシェ製造ではないという誤認識も)を含めて、実は自分で自分の首を締めあげていることもある。124ユーザーがどんどん増えること。それがきっと大きな力になってくる。

 124に限らず特定車種のコミュニティは、「来るものは拒まず」の精神でどんどんユーザーの輪を広げていくのがいいのかもしれない。そう願ってやまないのです……。

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