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楽しみながら一つひとつを形にしてきた森ノオト。その地域の言葉で書かれた記事がくさびとなってつないでくれる|小川穣さん(取材先・NPO法人会員)

森ノオトにかかわる人たちの声を聞きながら、ローカルメディアのあるまちの現在を描いていくインタビュー企画。14回目は、神奈川県大和市を拠点にハーブの栽培と加工をし、森ノオトのウェブいいかも市にも心安らぐ季節のハーブティーを届けてくださっているAGRU・小川穣さんです。森ノオトがNPOとして産声をあげた頃から森ノオトと活動を共にし、NPO法人会員でもある穣さんから見た森ノオトとは?
 
 
——穣さんが森ノオトの記事に初めて出るのは2013年の記事ですね。それから10年、穣さんはイベントやコラボ協力、NPO法人会員……さまざまな形で森ノオトの横に立って見守ってきてくださいました。森ノオトとの関わりはどのように始まったのでしょうか?
 
森ノオトとは、青葉台のウィズの森で開催されていたオーガニックマルシェ「ウィズの森マルシェ」に出店した頃に知り合いました。私は当時、ハーブの加工品を売り出したばかりで、拠点の大和以外にもさまざまなエリアに顔を出していたんです。コマデリの小池一美さんにウィズの森のマルシェ出店に声をかけてもらって、さまざまな人の声を聞きながら、ハーブティーの販売に力を入れるようになっていきました。
 
あの頃から森ノオトは、一つひとつステップアップしていますよね。北原まどかさん(現・森ノオト理事長)がメディアを立ち上げたことから始まって、鴨志田に一軒家を借りて事務所にして、そこの建物や庭で工夫してワークショップを開いて、めぐる布市は象の鼻へ拡大し、今年はフジロックにも参加して!
時代の流れでさまざまな転換はあるんでしょうけど、軸はブレないなと見ています。継続させていることがすごいし、地域に根付いてビジョンを持って活動すると、一つ役に立つ形ができる。そんなことを森ノオトを見ていると感じます。

穣さんを最初に取材した2013年の記事。こちらの記事にも出てくる大和市の畑にてお話を伺いました

森ノオトに関わる人たちは、森ノオトを入口にして自分のやりたいことを見つけていく人が多いですよね。メンバーたちがそれぞれやりたいことを実現させていく。たとえばおもちゃ箱って、そのままだと散らかっちゃうじゃないですか。でも森ノオトの場合、徐々に整理整頓されて、中身もかわいくなっていったって感じ。自分たちの楽しいを形にしていますよね。
 

——それから、森ノオトライターの小池一美さんと「labo2」というユニットでマルシェに参加されたり、AppliQuéとのコラボでハーブのワークショップを開いてくださったり。今は森ノオトが開催している「ウェブいいかも市」に、季節のハーブティーを卸してくださっていますね。
 
いいかも市では、希望者には自宅への配達をしていると聞いて驚きました。メディアが配達、そこまでするの!?って(笑)。でも、そこが“THE森ノオト”だとも思いました。地域の魅力を届けたいっていう、気持ちがあるからこそだと。
 

——AGRUさんのハーブティーに入っているコラム、私はいつも楽しみにしています。
 
あれは確か、森ノオトスタッフの梅原昭子さんの提案を受けて始めたかと思います。ここではこういう風に発信すればいいのか、という発見がありました。自分の商品をきちんと届けてもらえるから、お客さんにどういう反応なのかも知れる。森ノオトは、(お客さんや地域への)くさびのようなものですね。
横浜にも、大和にも、青葉区にも、そこに住む人々が持つそれぞれの言葉があって、森ノオトはその地域の言葉で取材先を紹介してくれますよね。森ノオトの記事は、起こったことを伝えるようなニュースだけではなくて、「この人はこういう人だよ」と伝えてくれるから、理解してもらえる心地よさがあります。

いいかも市で買うAGRUさんのハーブティーを買うと、季節のハーブのコラムも楽しめます。とある月はかわいいあずま袋に入っていました。あずま袋は森ノオトの「めぐる布市」とのコラボでご用意していただきました

——森ノオトがあることで、穣さんの中で何か変わったことはありましたか?
 
森ノオトのセンス、よく見ています。ローカルメディアっていうと私の中ではもう少し泥くさいイメージがあったけど、森ノオトは地域のこととか、自然のこととか、おしゃれに発信しているから、森ノオトの“見せ方”は気になります。
あと、森ノオトはローカルメディアでもあり、コミュニティでもあるじゃないですか。私も大和のハーブ畑でコミュニティづくりもしていて、どういうふうにしたらいいかなと思った時に参考にするのは森ノオトです。コミュニティづくりに取り組む上でこういう大変なことがあって、どう乗り越えたか……。クラウドファンディングやSyncable(寄付のプラットホームサービス)など、新しいことも臆せずやるところもすごいと思います。
新しいことをやれば色んな価値観が入ってくるし、それぞれのやりたいことをまとめるのは大変だろうと思います。でもその場その場できちんとチョイスして、どんどんちゃんとした法人になっていくのを、時系列で見てきました。そのパワーに「怖っ……」と畏敬の念もありますが(笑)、これからもコラボなどでご一緒したいですね!


AGRUさんのハーブ畑の一角で。取材時は秋の装い。穣さんに案内してもらうと、そこここにさまざまな種類のミントをはじめとしたハーブ類を発見でき、まるで宝探しをしているようでした


(おわりに)
横浜市青葉区を拠点に活動する森ノオト。話を聞いていると、穣さんと森ノオトの、エリアを超えた出会いは必然的なものだったのだなあと思いました。ハーブやコミュニティづくり……自分の活動について生き生きと語る穣さんの姿は、私が森ノオトのメンバーたちに感じているものと重なりました。
 
そこで起きたことを伝えるだけではなく、そこにどんな人がいて、どんな考えを持っているかを記事に残す。このエリアをこうしていきたいという思いを乗せた発信は、エリアを超えて思いの近い仲間を集め、いいかも市などの森ノオトがつくる場につながっている。それが森ノオトというローカルメディアの形なんだと、穣さんの言葉に気付かされました。
 
(文・佐藤沙織)

この連載は森ノオトのNPO法人設立10周年の今年、「ローカルメディアのあるまちづくり」を、森ノオトにかかわる人たちの言葉を通じて描いていく企画です。
ウェブメディア「森ノオト」は、横浜市青葉区を拠点に、市民が書き手となって地域の暮らしが豊かになる記事を発信しています。森ノオトの記事に共感してくださる方の寄付での運営を目指しています。2023年はこれからの10年に向けて寄付キャンペーンを実施中です。応援どうぞよろしくお願いします!
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