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7つの「少ない」が教育格差を生む⁉︎静岡の中学高校受験リアル

今年も受験シーズンがやって来た。
2月1日は静岡県の受験生にとって大切な日。
私立高校受験の日だ。

静岡県の受験事情をひと言で表すと「少ない」だ。

静岡に限らず地方は同じような状況かもしれない。
私は公立中学(横浜市)から私立高校(東京都)に進んだので、
静岡県の受験の仕組みを知ってただただ驚いている。

何が少ないか。7つの「少ない」を挙げる。

1 学校の数


 中学も高校も受験できる学校自体が少ない。特に私立の選択肢が少ない。
自分が受験校を首都圏で探したときは、電話帳ほど分厚い「受験案内」を買い、
1校ずつ1ページずつ丁寧に読んで胸を膨らませたものだ。何校も見学した。
でも、静岡県にそんな分厚い本は存在しない。


2 受験日が少ない


 冒頭にも書いたが、2月1日は私立高校が一斉に入試を実施する。
中学受験も同様に毎年1月初旬の同一日に、地域の国公立・私立中学が一斉に入試を実施する。

そうなるとどういうことが起きるか。
「1校しか受けられない」
という事態に陥るのだ。

後日、2次試験や3次試験を実施する私立校もあるが、
「1次試験」として受けられる学校は1校のみ。

高校は私立1校、公立1校
中学にいたっては国公立・私立1校

という塩梅である。
特筆すべきは中学受験である。合否は1発勝負。
「受験校に行くか、地元中学に行くか」の2択になる子どもが多い。
これはまだまだ子どもの6年生にとって、過酷な選択だ。

3 塾の数


塾の数も少ない。受験校の数が少ないのでやむを得ないことなのだが、
だいたい大手2社が台頭し、ほとんどの児童生徒がそこへ通うという構造。
塾に集まるので誰がどこを受験するかは明白というバレバレ構造。
首都圏ではアンビリーバボーな世界だ。

4 受験科目の数(中学受験)


首都圏の中学受験は算数国語理科社会の4科目がスタンダードである。
近年は1科目受験が増えてきているとはいえ、4科目対策をしている塾がほとんどだ。

ところが静岡は2科目がスタンダード。
単純に「受験科目が少なくて助かる」のだが、理科社会が得意な子はもったいない。そして教育格差が生まれやしないか。


5 受験生の数(中学受験)


静岡県内の公立小から中学を受験する6年生はクラスにちらほら、または学年で数人といったところだ。ゼロのところもある。
私が6年生だった約30年前、通っていた横浜市の小学校からはクラスの半分が受験した。いまはもっと多い比率だろう。

これだけ少ないと、第一志望に合格したか否かが学年中に伝わってしまう。
1月中旬にもなると、小学校はざわつく。
その現状に耐えなくてはならないのが、受験勉強を頑張ってきた子どもたちなのだ。


6 受験に関わる情報


受験校に関する情報がとにかく少ない。各校「学校案内」はあるのだが、客観的に書かれた「受験案内」なるものはなく、ネットの口コミ情報もちょろちょろあるかないか程度。情報がなく、結局「その学校に通っている子のお母さん」を頼って実情を聞くか、塾を頼るかしかない。首都圏から発信されている受験情報は全くあてにならない。

7 当日のチャンスが少ない(高校受験)


静岡県は公立高校の人気が根強い。そして内申点の配分が非常に大きい。過去の合格者の最低内申点と不合格者の最高内申点が分かっており、それを基準にほぼ志望校が確定してしまう。内申が合格圏内にあれば、当日の試験でそれなりに実力を発揮すれば合格する。

逆に考えると、受験当日までに猛勉強して追い上げても、内申が低いと選べる学校がわずか、ということになる。これではやる気もしぼんでしまいそうだ。「内申が○以上ないと○○高校受けるのはむりだって」という話題は何度か耳にした。


コロナやインフルエンザの感染の危機にさらされている2023年冬。
すべての受験生がベストを尽くせることを祈っている。

(実体験を頼りに書いているので、情報に誤りがあったらすみません)
ライター:大楽眞衣子

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