見出し画像

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない感想1章〜6章

これも心療内科で勧められた本です。うさんくさい宗教本みたいなタイトルの本ですが、真面目な本なのでご安心を。マインドフルネスの概念を取り入れた心理療法、アクセプタンス&コミットメントセラピー、以下ACTの本です。全部の章の感想を書くと力尽きたり、途中でだれるから、こまめにnoteの記事にしようかと…。1冊の本で何記事にもする汚いテクニック。

幸福の罠

思考のコントロールは幻想である。

幸福という言葉の罠について本書では解説されている。その中で感情のコントロール戦略(闘争や逃避)についてふれられていた。ネガティブな考えが浮かんだ時に「そのことを考えないようにしようとする、またはポジティブに考えようとする」といった戦略である。短期的には効果があるが、長期的には効果が薄かったり、生活の質を損なうため悪循環になると本書では書かれている。人間はネガティブに考えるようにできているため、無理やりポジティブに考えたり、考えないようにしていてもすぐにネガティブな考えが湧き上がってしまう。お酒に逃げるがわかりやすい例えではないだろうか?飲んでいる間はネガティブな考えは消えるだろうが(私が休職に入る直前は飲んでも消しきれなかったが…)、長期的に続けていては病院一直線である。

私自身もここの部分は読んでいてとても納得できるものであった。ネガティブな考えというものは日々大量に湧き上がってくるものであり、消そうとしても消し切れるものではない。うつ病になる前からそうであった。

ACTの6つの基本行動原則

幸福の罠から抜け出すための対処法としてACTが出てくる。ACTは以下の6つの基本行動原則から成り立っている。これらが協力し合うことにより人生を変えるものの見方を育てると書かれている。

  1. 脱フュージョン
    不快な思考に飲み込まれないようになるためのテクニックなど。ゴテンクスがゴテンとトランクスに分裂することではない。

  2. 拡張(アクセプタンス=受容)
    不快な感情や思考を消したりするのではなく受け入れる。

  3. 接続(つながる)
    イマココに集中する。マインドフルネス。

  4. 観察する自己

  5. 価値の確認
    自分の価値観。

  6. 目標に向かっての行動
    自分の価値観に向かって行動できているか否か…? なるほどわからん。

1~4までがマインドフルネスからきた考えで、5,6がACTとして付加された考え方である。また本書の中には本は読むだけでなく実行しなければならないと書かれている。意識高い本好きで結構読んでるけど実行できていない私のことですね。耳が痛いです。

脱フュージョンに至る道

前提としてACTでは思考とイメージと感覚を区別する。

  • 思考=頭の中の言葉(物語)

  • イメージ=頭の中の絵

  • 感覚=体の中に起こる感じ

 フュージョンとは
トランクスとゴテンが合体すること。ACTにおけるフュージョンは思考とそれが指し示すもの(頭の中の物語と実際の出来事)が混じり合い一つになった状態を示す。自分が役立たずだという考えが浮かんだ時に心の底からそう信じ込みそう振る舞うことなどがあげられる。

脱フュージョンとは
思考を取り除くことではなく、思考を単なる言葉の羅列としてあるがままに見ること。幸福の罠でも述べられていたように、思考を取り除くことは無理なため、受け入れることを前提に本書は進んでいく。

悪い思考が浮かぶこと自体は問題ではなく、その思考がフュージョンした時が問題となる。本書では悪い思考がフュージョンした時に使えるテクニックがいくつか紹介されている。

「私は…だ」という考えを持っている
悪い考えが浮かんだときに、
「私は…だ」という考えを持っている
となるように考えることにより客観的になり悪い考えから距離を取らせてくれる。 

ラベル化
思考の物語に名前をつけるテクニックもあげられている。私はマインドフルネス中にこのテクニックを使うことはあまりないが、マインドフルネスの本でもラベル化と呼ばれてたびたび登場するテクニックである。

思考に関して大事なことは、思考の真実性ではなく、その考えをもつことが自分の人生とって役に立つか否かである。役に立つ場合は注目し、役に立たないものとフュージョンしてしまっている場合は脱フュージョンを目指す。また脱フュージョンのテクニックは気に入ったものだけを行えばいいとなっている。本書だと5個くらいテクニックが書かれているが、気に入ったものだけ使えばいいということだ。

思考がプラスに働くなら注目すべき。またネガティブな思考が行動するための原動力なら使うのも手ではあるが、自己批判の考えはフュージョンしたときに、ストレスや罪悪感やうつなどの感情を起こすためあまり推奨されていない。

特に私が面白く感じた部分が信念も物語に過ぎないという部分である。信念を信じれば信じるほど自分から柔軟性が失われていく。信念も時間と共に変化しているという部分である。自分の中の軸としての信念に首を絞められてうつになった部分は否定しきれないので気をつけたい。(当時逃げ出せれたかといえば怪しいのだが…)。

極めて重大な問題を矮小化するように感じるときはそのテクニックは使うべきではないなども書かれていた。テクニックの中には思考を小馬鹿にしたように感じさせて脱フュージョンを行うものもあるため、状況に合わない場合は、無理して使うのはやめようということである。

脱フュージョンの目的

脱フュージョンの目的は不快な思考を取り除くことではなく、言葉の羅列と気づくこと。脱フュージョンのテクニックは気分を良くするためのものではなく、役に立たない思考プロセスからの解放である。脱フュージョンはコントロール戦略ではないと書かれている。
アクセプタンス(受容)は不快な思考や感情を好きになることではなく、戦うことをやめるだけ(容認、受容)である。変化や逃避に無駄なエネルギーをつかうより、もっと有効なことにエネルギーを使うことが目的となる。

きりのない思考の逃避をつぶれるまで続けるのではなく、解決策を模索したり、物理的に逃げ出すことにリソースを注げるようになりなさいということですね。当時の私がこのテクニックを知って実践できたかと言われると難しいですが大事な考えだと思います。

また思考の良し悪しの判断は、自分の人生の役に立つか否かで判断するべきである。役に立つか否かに関して、思考が真実であるか否かは関係ない。それだけでなくポジティブかネガティブかも関係がない。本書の中では例え話で麻薬中毒者や飲酒運転ドライバーの話が出てくる。(運転がうまいから少しくらいお酒を飲んでも大丈夫というのはポジティブな考え方だが自分の役にたつ考え方ではない)。ネガティブでも悪くないこともあると解釈するよりもポジティブでも悪いことがあると解釈してしまうのは メンがヘラっているからか…。

最後に

この本300ページ近くあるんですけど、ブログに書いたのは80ページくらいまでの内容です。

私は鬱になった時にずっと追い詰められる感覚に襲われていたため、悪い考えとのフュージョンがどれだけ心のリソースを奪っていくのかよくわかるのですが、みなさんどうですかね?脱フュージョンのテクニックはコントロール戦略として使う物ではない。ここの実践がなかなかに難しそうだなと感じます。あとは(思考の)変化や逃避に無駄なエネルギーを使うよりも、もっと有効なことにエネルギーを注ごうというだけで、物理的に逃げるなという考え方ではないから気をつけてください。悪い考えを消そうとしても次から次へと湧き上がってきてキリがないから他のことにエネルギーを注ごうという考え方であって、悪い環境にいつまでも居続けようという教えではないです。自分に言い聞かせる感じの文章になってきましたね。続きもそのうち記事にしたいなと思います。ここまで読んでくれてありがとうございます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?