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「自分の時間」と「音楽の豊かさ」
日本の聴衆が世界的レベルになれるか?
アコースティックギターデュオ、ゴンチチさんのツイートが目に止まりました。
世界的レベルの音楽家を目指して、と言われます。もしそれを望むなら聴衆がまず世界的レベルにならないと無理です。世界的レベルの聴衆が世界的レベルの音楽家を探し出すのです。もっともレベルの違いは高低ではなく種類の違いと僕は捉えます。音楽を愛してさえいればレベルは問題ではないです。<ザ>
— 𝔾𝕆ℕ𝕋𝕀𝕋𝕀 𝕙𝕠𝕦𝕤𝕖𝕜𝕖𝕖𝕡𝕖𝕣 (@gontiti_house) July 20, 2023
ゴンチチさんの仰る「聴衆がまず世界的レベルにならないと無理です」は正しいと思います。
「レベルの違いは高低ではなく種類の違い」にも同感しました。
でも難しいかな、とも思います。
コード進行やピッチやリズムの微妙な機微などを言語化したり知識体系化できる聴衆がメジャーにならないといけません。でも、そういうスキルを持てるのは生まれが恵まれた人だけなのです。
現状、歌詞とメロディしか認識できない聴衆がほとんどで、そのため「売れる」音楽の進化は、YOASOBIの「アイドル」みたいなものにしかならないと思っています。
SNSによって「自分の時間」がなくなった
それでも昔は様々なジャンルの音楽が愛されていました。インストルメンタルも普通に流通していたのです。
でも、現代では一部の音楽しか愛されなく(「商品」にならなく)なりました。
理由はいくつかあります。
1)SNSが子供から「自分の時間を奪った」
2)日本が貧乏になった
3)音楽が行き着いて「新しい」がなくなった
この辺りが理由の主軸かな、と思います。
2)日本が貧乏になった について、日本人はお金がない時代でもジャズなど新しい音楽に飛びついていたので正しいとも言えないのですが、お金の余裕がなく、大人が音楽を楽しむ機会が減ったことは間違いはないと感じています。
3)音楽が行き着いて「新しい」がなくなった について、音楽の「新しい」がなくなったのは間違いないです。 いやあるのですが、一般リスナーには関係なくなったという意味で。
例えば、エレキギターやシンセサイザーといった「その時の子供が飛びつくアイテム」はここ数十年出てきていません。 ただボーカロイドがそれらに該当すると思います。
一方で、例えばフュージョンやジャズというのはテクニックに依存する音楽だと思います。
しかしテクニックも行き着いた感じがします。「すごい」は限界突破してしまったのです。
でも1番の理由は、先ほど書いた、1)SNSが子供から「自分の時間を奪った」 だと思います。
人は自分が思っているほど「自分ではない」と考えています。環境に反応しているのがほとんどを占めていると考えます
故に今の子供達は、SNSで常時価値観を友人たちと共有することで、ほぼ量産型の価値観になっているのだと思います。
自分は子供の頃、毎晩ベッドの中で、小さなラジオを抱えていました。
音なんて本当に悪くて、でも、それでも満足でした。
良いなという曲が流れたらその時間をメモして、翌日ラジオ局に問い合わせるのです。 そして翌日、百円玉を握りしめて貸しレコード屋さんへ行きました。
友人なんてどうでもよかった。なぜなら共有する方法なんて、カセットテープの貸し借りくらいしか方法がないのですから。
なので誰もわかってくれなくてもよかったのです。
ただひたすらに自分の「好き」と向き合っていました。
今はサブスクやYouTubeでいくらでも、しかもどこでもワイヤレスで便利に聞けて、SNSで友達と共有できます。
友達から「イマイチじゃね」と言われたら自分の中でもそうなってしまうのもわかります。逆に友達から良い曲とおすすめされたら自分の中でもそれが良い曲になるでしょう。
そして自己顕示欲の強い人が「インフルエンサー」になる。
それでは確かに音楽の種類の幅は狭まるよね、と思うのです。
昔は良かったなんて思いたくもないけれど
昔は良かったなんて思いたくもないけれど、音楽に関しては、ゴンチチが普通に売れて、深夜枠とは言え、関東圏(お二人は関西の方です)で看板テレビ番組も持っていた時代は、確かに今より豊かだったとは思います。
今、アコギでインストやっても「すごい」しか評価されないじゃないですか。
それって貧しいと私は思います。
なんか良い感じのおじさん二人が鼻歌で歌えるようなメロディを「寝てても良いんですよ」とか言って弾いてくれるのが良かったのです。(さらに時々ハイテクニックを披露するのがカッコよかった)
そんな時代はもう来ないとわかっていつつ、思わず振り返ってしまったのでした。
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