COME ON A MY HOUSE !
絵本、絵画、音楽、オブジェなど多彩な表現活動をされている渡邊知樹さんのファッションブランド『Pe_』の展示「COME ON A MY HOUSE」がTOPOLOGYで始まっています。
去年の展示「Don‘t be shy」同様、ユーモアあふれる絵の刺繍が施された作品はEDANEの空気感にびったり。初日から2日間は「算命学」のスワンさん、ドリンクバー「アグネス・パーラー」のアグネスあやのさんによるイベントもあり、とても楽しいオープニングとなりました。
知樹さんが書いた「COME ON A MY HOUSE」のキャプションのような詩について聞いてみました!
なんで「COME ON A MY HOUSE」なの?
T(知樹):基本的に展覧会のタイトルを付ける時は、その展覧会で並ぶ作品のイメージよりも、そこのオーナーや空間そのものの雰囲気などからイメージすることが多いです。更にPe_の展覧会の場合は絵の時とは違って、出来るだけ言葉を軽くしたい、意味を持たせないようなタイトルを心がけています。
今回の「COME ON A MY HOUSE」のHOUSEは家というより「わたし」のイメージです。無防備な、裸のわたしに会いにおいでよ、というと意味が全然変わってきますが(笑)、分かりやすく言うとそんな感じです。(実際に今回の展覧会ではタイトルイメージによって裸の女性をモチーフにしたものが多い)
人と人との距離感みたいなものが、コロナ禍で随分と変わってしまった。以前のような世界に戻したい、という訳ではもちろん無いけど、どうやって社会的な人と人との距離を近づけるか、近づけるための装置を作るか、ということをPe_ではやりたいと思っていて、ぼくにとってはかなりアクチュアルな作品媒体です。なので家で使うものよりも外に身に付けるものを意図的に多く作ったりしています。
現実的に人を家に呼んでワチャワチャすることもとても大切だと思っているので、そのままの「COME ON A MY HOUSE」の意味でもあります。(メール、LINE、動画チャット、手紙、直接会う…などの伝達方法がここまで別物なのかと思い知らされた2年間でした。)
ネット販売ではなくPe_が展覧会という「場」を作ることそのものを大切にしているのも同じことです。カモナアワーエダン。
あとは「come on a my house」という曲もありますね。「カモナマイハウス」というカタカナ表記になるのも、ポップで気に入ってます。鼻歌まじりに展示を楽しんでもらえたら嬉しいです。
目に見えない感謝される人って誰のこと?
T:タイトルの補足のような、詩のような言葉を宣伝用に入れていますが、あくまで詩的なものなので一行を説明出来るものではないのですが、漠然と
「目に見えない人にばかり感謝して/目に見える人には怯えて」というのは想像力のあり方について書いています。
遠くの方ばかり応援したり、感謝したり、例えばクラウドファウンディングとか流行った時なんかが良い例ですけど、逆に目の前にいるホームレスの人にお金をあげようなんて発想は無かったりする。1度あげて顔を覚えられたら面倒かもしれない、とか考えたりする訳です。分かりやすく言うとそういうことです。
いずれにせよここに書いてある、目に見えない人でも、目に見える人でもなく、そのように分断している主体について想像してもらった方が豊かなイメージがわくかもしれません。
不安な人間はなぜ愚か?
T:「不安な人間は愚か」とは書いていませんが、(ちなみにDMだと改行位置がデザイン上ずれてしまっていますが、実際にははじめの三行が四行目の「人間は愚か」にかかるような文体になっています。)
先ほども書いた想像力のことと同じで、想像力はそれを使って現実的にどのように行動していくか、という事に大きな価値があると考えますが、同時に自分を守るためにも想像力は使われます。
日々不安になることは多々ありますが、その不安に間違った想像力をもって更なる不安に陥っていくことを愚か、という意味合いで解釈してもらえたら良いかもしれません。
あらゆる弱者を守るには?
T:これまた一行だと分かりづらいので前の一行を足すと
「自由でいることに臆病になって/あらゆる弱者を守ってあげられない」
となるのですが、つまり自由とはわたしであって、わたし(らしく生きようとすること)であることに臆病になると個は守れない、と言い換えられるかもしれません。
弱者というのは単なる被害者的なものではなくて、孤独といった方が近いかもしれません。
『変な服着てるから笑ってほしい』とは?
T:そこまでの言葉は「変な服着てるから笑ってほしい」という言葉のための前振りだと思ってもらえたら良いと思います。特に「人間は愚かだ」という鋭角な言葉を使ったのは最後のアホっぽさを際立たせたいからです。
家で裸になって、腹割って話し合おうぜ!という男臭いのではなくて、やっぱりそこにもユーモアが必要で、冗談を言いながら、でもやっぱり「家の扉は開けてある」のだから、本音でちゃんと話し合おう。みたいなニュアンスですかね。
あ、変な服っていうのは単純にPe_の作品そのもののことでもあります。
と、ここまでタイトルとその付随した言葉を聞かれるがままに簡単に説明しましたが、実際これらの言葉は意味よりも音楽やイメージの要素が強くて、印象として読んでもらえたらと思いますし、「前菜の抽象画」のようなものだと思ってもらえたらいいと思います。笑
COME ON A MY HOUSE
カモナマイハウス
Pe_
2022.6.11(土)〜19(日)
13(月)16(木)お休み
Open 12時〜17時
<Event>
6.11(土)12(日)
スワンの算命学
アグネスパーラー
今回も、吉祥寺のシロ.さんTシャツ、v.mm sewingさんのエプロンやクッションカバー、トートバッグなどに刺繍を施した作品が並んでいます。
ぜひ、遊びにいらしてください。Come on!(カモーン)
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