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神秘的で美しい、人生で1番好きなMV_BTS『Blood Sweat & Tears』

 今や世界を代表するアーティスト・BTSの曲といえば、多くの人が『Dynamite』を思い浮かべるであろう。
 曲単体はもちろん、80年代アメリカの世界観で構成される明るいMVが私も大好きだ。

 一方で、私はBTSのMVの中で特に好きなものがある。もっと言うと今まで見てきたどのアーティストMVの中で一番好きと言っても過言ではない。

 それが『Blood Sweat & Tears』である。
 今回はこのMVの魅力をただただ主観で書き連ねる、一人のミーハーの叫びである。

『피 땀 눈물』
英語:Blood Sweat & Tears
日本語:血、汗、涙
発売年:2016〜2017年(日本版は2017年)
アルバム:WINGS
日本公式サイトより

非常に困難なこと、血の滲むような努力

 『血、汗、涙(日本語訳)』という曲名を初めて聞いた人は、あまり聞き慣れないかと思うだろう。
 私もそうだった。正直に言うと、何か変な曲名だなというのが第一印象だ。

 MVに魅了され、調べるうちに『血、汗、涙』は英語に直すと『Blood Sweat & Tears』、意味は「非常に困難なこと、血の滲むような努力」であることが分かった。(参照
(これは元イギリス首相のウィンストン・チャーチルの演説から生まれたらしいが、詳細は記載されていなかったのでご了承いただきたい。)

 変な曲名かと思っていたら、とても強い意志のある言葉だったことに驚愕した。これだから言葉は面白い。

 ともあれ、曲名の意味を調べ、次は歌詞だ。
 私は韓国語は話せないため、日本語版から歌詞を読み解いた。
 日本語の歌詞はこちらに記載されているため、ぜひ読んで欲しい。曲も聞いて欲しい。

(日本語版のMV↓ このMVも好きだ。)

「理性と本能の葛藤」

 この歌詞を読み、考えたことだ。
 自分の全てを捧げたい存在に出会うが、それは決して触れてはいけない禁断の存在。
 その存在に誘惑され、本能から思わず禁忌を犯しそうになるが、わずかばかりの理性が本能を堰き止めている・・・。そんな葛藤を描いているように感じた。

西洋美術のような美しく神秘的な世界観

 続いて、本題のMVの魅力についてだ。
 結論を言うと、私はこのMVの西洋的で美しく神秘的な世界観に引き込まれた。

 俗世の人間を寄せ付けず、神や選ばれた人類じゃないと足を踏み入れることができない世界。非常に魅力的で美しい。

 その中でも個人的にMVの世界観を感じるポイントは3つある。
 ーー
 ①要所にある美術作品
 ②妖艶な曲
 ③BTSメンバーの表現力

 ーー

①要所にある美術作品
 このMVは冒頭にメンバーのJINが絵画に目を奪われるシーンから始まり、セットの要所に美術作品や美術作品のオマージュが見受けられる。
 彫刻や、聖書や神話を主題とした絵画を配置することで、世界観が一気に神秘的になる。さらに、作品は抽象画ではないため、リアリティもある。

 美術についてはまだ不勉強のため、全てを理解する事はできなかったが、一番印象に残っている作品は「ピエタ(ミケランジェロ)」である。

https://www.musey.net/8934

 私は画家の中でとりわけミケランジェロが好きなので、「ピエタ」が登場した瞬間興奮した。まさかKPOPアーティストのMVで会えるとは思わなかった。

 この「ピエタ」とは磔刑で亡くなったキリストを母・マリアが抱くシーンを描いた作品である。
(ミケランジェロの「ピエタ」のマリアは美しすぎると制作時は批判されたらしいがその話は長くなるため割愛する。)(参照

 この作品をMVに使用した背景として、曲のテーマである「理性と本能の葛藤」に関係しているのではないかと考えた。
 主体が葛藤し、苦しむ中、それを優しく慈愛の心で見つめる存在である。
 この慈愛の存在によって、主体は極限の状態で理性を繋ぎ止めているのではなかろうか。

 ただ、この「ピエタ」は曲の最後に割れてしまう。
 すなわち、慈愛を否定し、本能に従うまま愛する存在へ堕ちていく、そう解釈した。

 単に、何となく雰囲気の良い作品を配置するのではなく、きちんとその絵画の主題が曲と関連づいていることにMVの細やかさを感じた。

②妖艶な曲
 ここで書いた「曲」とはMVの冒頭に教会に流れる合唱曲や、ラストサビの前にメンバーSUGAが弾くパイプオルガンの演奏である。
 これはMVの中でしか味わうことのできない魅力の一つだ。

 この合唱とパイプオルガンの高音と低音が混ざった響きがどこか妖艶さを感じさせる。(音楽用語にはてんで疎く、あくまで個人の感想なのでご容赦いただきたい。)
 まるで主体が求めている禁断の存在が、その主体を誘惑しているようだ。

 妖しくも、どこか美しいこの曲が、MVに神秘的な要素を与えているかのように思う。

③BTSメンバーの表現力
 これはもう・・・言わずもがなである。
 ①②で記した世界観を壊さず、彼らの歌とダンスで神秘的な要素を高めている。
 歌とダンスだけではなく、表情の作り方、衣装、立ち振る舞い、全てが美しい。
 このMVにおいてメンバーそれぞれに魅力があり、特にJINが彫刻にキスをするシーンは発狂ものだが、キリがないため泣く泣くカットだ。

 映像・曲・ダンス等全てが絡み合い、この美しい世界観が生まれており、
曲に合わせて魅せ方を変化させるBTSの血の滲むような努力はまさしく「Blood Sweat & Tears」だ。

余談
 BTSが出演するバラエティ番組「走れ!BTS(日本語訳)」は彼らの普段のかっこよさとは違う一面が垣間見える。
 番組を全力で楽しみ、アーティスト保護(モザイク)をも厭わない彼らの姿も是非見ていただきたい。

(最新話はこちら↓)

BTSをもっと知りたい方へ
公式:https://ibighit.com/bts

最後まで読んでいただき、感謝の念に耐えない。








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