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VRヘッドセットを買い替えまくった話

今回は、前回も触れたVRのお話。

PC向けゲーム用VRは比較的早いうちから興味があって、2018年夏にHTC VIVEを中古で買って以来、無音の部屋でゴツいゴーグルを付けて、変な形のコントローラーを虚空に向かって振り回してきた。
あんまり肉親に見られたくない。

VRと言っても色々あって、自分の動きを検出するトラッキングの方式、価格帯、有線/無線とか、いろんなメーカーが出しててどこも一長一短ピンからキリまである。
みんな違ってみんないい…

けど、丸3年ほどVRに触れてきて実感した、個人的に一番許せない“短”がフレネルレンズ。親の仇。

フレネルレンズが何かというと、↓こういう構造のレンズのこと。

wikipediaより引用

全体的な厚さを抑えられるし、樹脂で製造もしやすいのか知らんけど、現状のほとんどのメーカーがVR用レンズとしてフレネルレンズを採用してる。
当然、ギザギザした構造ゆえ光の乱反射も起きやすくて、暗い背景に明るい色が“にじむ”、いわゆるゴッドレイが起きやすくなる。

Open MRより引用

こーれがもう個人的に大ッッッッッ嫌い。

通常の曲面をもつ、いわゆる凸レンズはこうした乱反射が起きにくい。
その昔、Samsungと旧Oculusが共同開発して、対応機種をGalaxy限定にしたことで大ゴケしたスマホ向けVRの“Gear VR”ってのがあって、それがこの綺麗な曲面レンズを持つVRゴーグルだったのね。

スマホ向けVRってのは簡単に言うとレンズ付きの箱。
専用のアプリを起動した状態でスマホを差し込んで、覗き込むとワァーVRダァ!…ってだけ。
Galaxy購入者に特典みたいな感じで付けたのかな?
当時…というか今もスマホVRでできることなんて残念ながらほとんどないし、当然フリマサイトには新品未開封のGear VRがゴロゴロ転がってる。

前回紹介したVIVE用レンズアダプターってのは、各所で投げ売りされているこのGear VRを安く手に入れて、無駄に綺麗なレンズを取り外して、HTC VIVEのザラッザラの視野を改善しようぜ!…という主旨のもの。
実はこれ、大昔に海外通販で買って、初代HTC VIVEに装着して使ってました。
おかげで、Valve Indexに乗り換える直前まで、旧世代とはいえHTC VIVEを快適に使い続けることができたのね。

簡単に自分のVR環境遍歴を書いておくと、

HTC VIVE

Value Index

HTC VIVE

HTC VIVE Cosmos Elite

って感じ。
右往左往してる。

最初のHTC VIVEの後に乗り換えたValve Indexは全体的な満足度は高かった。
高かったけど、憎きフレネルレンズであった。
オマケに、フレネルレンズを片目2枚ずつ使うという変態特殊なレンズ構造だったから、HTC VIVEみたいにレンズ1枚だけポンと変えるような改造ができなかった。
とはいえ、Valve Indexのレンズにじみ問題も開発段階でだいぶ試行錯誤されたのか、HTC VIVEよりはだいぶマシになってたし、この程度なら…と我慢して使ってたのよ。

それにも我慢できなくなった頃、Indexを手放して、またレンズを改造して使おうと中古のVIVEを買いなおした…けど、これが大失敗。
Valve Indexの高解像度に目が慣れちゃって、レンズを改造したとはいえ旧世代のHTC VIVEの視界はまるでドット絵のよう。

Valve Indexでは、VRChatでちょっと離れた所にいるフレンドが誰か分かったのに、HTC VIVEだともう自動モザイク。
こりゃ無理だ。
しかしValve IndexとIndex用のベースステーションは売ってしまった。
やっちまった…どうすれば…

と途方に暮れてたら、ベースステーション1.0で動作する、Index並みの解像度のHMDを発見。
まぁ衝動買いしちゃうよね。

VIVEのような有線で、ベースステーション1.0を使用する

HTC VIVE Cosmos Elite(名前が長いので以下Cosmos Eliteと表記)

VIVE Cosmos(無印)は、インサイドアウト方式のトラッキングを採用した、HTCに言わせると”HTC VIVEの後継機”だったんだけど、あまりにもひどいトラッキング精度と発売当時のひどい価格設定(9万円)で大不評だった機種。
Cosmos Eliteは、Cosmos(無印)をベースに、HTC VIVEと同じトラッキング方式(ベースステーション方式)にした改良版。
改良版と言いつつ、CosmosとCosmos EliteのHMD(ゴーグル部分)の違いは、HMD正面のフェイスプレートと呼ばれている部品くらいしか違わない。
レンズ、固定用ヘッドバンド、クッションに至るまでほぼ同じ製品。Cosmosに取り付けることでCosmos Elite化できるフェイスプレート単品まで売ってる。
逆に言うと、そこ以外は同じ。

Cosmosのトラッキング方式変更による改良(Elite化)後も価格設定は狂ったままで、HTC VIVEのフルセットからHMDだけをCosmos Eliteに変えただけのようなセットが10万円する。
Cosmos Elite買うために10万あったら、もう少し貯めて大好評のValve Indexを買うだろうし、インサイドアウト方式(ベースステーション使わないトラッキング方式)が欲しかったら3万円台のQuest 2を買うでしょうよ。
そりゃ売れないよ。

2021年11月現在、SteamVRでのCosmos Eliteの使用率は脅威の0.01%で底を舐めている。

Cosmos Elite発売から一年ほど過ぎて、中古相場も見事に冷え切ってる。
おかげで、今回は中古のHMD単品がメルカリで3万円で買えた。

VIVE CosmosとVIVE Cosmos Eliteはどっちも親の仇フレネルレンズを採用してはいるけど、レンズのサイズはHTC VIVEと全く同じ。
そう、VIVEと全く同じようにレンズアダプタをポン付けできるって寸法じゃ。

HTC VIVEでは解像度の粗さを際立たせるだけだったレンズ改造、比較的新しい機種ならどうなる…?
早速Cosmos Eliteのレンズを交換してみたら、予想以上の結果が目に飛び込んできた。

Tyriel Wood - VR Techの検証動画より引用
“MOD”がレンズ交換をしたもの

純正の樹脂レンズからGear VRのガラスレンズになったおかげか、色までクッキリしてる。
レンズを交換したせいで視界が樽のように歪む“バレルディストーション”もHTC VIVEと違ってなぜかほぼ無いし、面倒なコンフィグ弄りもいらなかった。
こりゃ棚からぼた餅。

難点を上げるなら2つ、
・HMDを強く顔に押し付けないとレンズと目の間が最適な距離にならない
・マイクの音質がHTC VIVE同様最悪
くらい。

ただこれも簡単に克服できた…けど長くなりそうなので、問題点解決のための改造やらDIYの話やらはまた次回。


まとめ

最終的な設備は
・HTC VIVE Cosmos Elite HMD
・Indexコントローラx2
・VIVEトラッカーx3
・ベースステーション1.0 x2
に落ち着いた。
Indexコントローラーがベースステーション1.0、2.0両方に対応してくれてて本当に良かった。
おかげで、VRChatで変わらず中指を立てられる。

紆余曲折あったけど、最終的にはレンズの滲みに悩まされることのない、Index HMDより鮮やかな視界、indexと同等に自由な手元でVRできる環境が手に入った。
我ながらほぼ理想的なVR環境が構築できて満足。
(あとは部屋の広さと防音とツンドラトラッカーとブツブツ…)

Cosmosシリーズは、発売当時でこそQuest 2の下位互換だのIndexの下位互換だのやめとけだの言われてたし、新品で買うのは今も全くオススメしない。
ただ、Cosmos EliteのHMDだけなら手に入れやすい値段で、今までHTC VIVEだった人にとってはタムパラドクスが起きる。
というかレンズ交換の破壊力がすごすぎる。

・今現在ベースステーション1.0環境
・Index買うほどのお金がない
・けど最新レベルの解像度は欲しい
とかに当てはまる諸兄、少しだけ工夫が必要ではあるけど、HMD単品でCosmos Eliteを買うことを強くオススメする。マジで。
Cosmos Eliteを…買うのです……

HTCの手先のような事を語ってしまったところで、今回はここまで。
次回は、さっき触れた通り、DIYでCosmos Eliteを”完成”させるお話。


いつもスキありがとうございます。
またこんど✋

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