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82歳の父の免許返納と同居までの記録:01

ノートはじめました

2021年12月28日。2年半ぶり(コロナ禍のため)に埼玉の実家に帰りました。

仙台を10時過ぎに出発して埼玉の実家に到着した夕方5時にはすでにほろ酔いの82歳の父の足や腕は細くなっていて体も顔も弱々しく耳も随分遠くなっているようでした。

5歳だった甥っ子が小学1年生になったこの2年半はとても早かったけれど、父のこの2年半はとても長く遅く流れた時間だったのだと思いました。

ゆっくりゆっくり動く父の全身を私たちはそれぞれがこっそりと見ていました。

父は運動好きでスポーツジムに長年通っていました。今でも週に数回は行っていると電話では話していました。そう思っていました。本当に通っていたのでしょうか。ジムに聞いてみようと妹が言いましたが、そうしようとは思いませんでした。

部屋やトイレが掃除されていたのですこしほっとしました。

ゆっくり静かではありましたが、純さん(私の夫)と孫のポコタロー(父の孫=妹の子=私の甥っ子)に会えて父はうれしそうでした。

義理の息子が持参した東北のお酒を無口に飲み続けて泥酔し、眠るまでに3度転んで2度失禁しました。

数年前から仙台で暮らそうと話をしていますが、なかなか決断してもらえません。今年こそ父に運転免許証を返納していただきたい。車がなければ生活は困難なので免許の返納と仙台での同居はセットで考えています。

長女の私は、仙台で夫婦2人暮らしです。コロナ禍直前に離婚した妹は1人息子(当時5歳、今7歳)を連れて埼玉から姉の私が住む仙台へ移住して来ました。私の家から歩いて10分ほどのアパートは職場へも自転車で通えてとても暮らしやすいと言っています。

“おかげで“と言って良いのかわかりませんが、可愛い甥っ子の子守りをさせてもらっています。子供好きな私の夫にもとても懐いてまるで親子のようです。これはとてもとてもありがたいことです。

​2度の流産とその後の不妊で子なしの私にとって甥っ子はまるで空から落ちて来た星の王子様です。可愛くてたまりません。

妹は夜勤や早・遅番がある介護の仕事をしているので、幼稚園の送り迎えから1年生になった今でも学校から直接こちらに帰ってきて一緒に宿題をしおやつを出して、習い事の送り迎えまでも叔母の私がさせてもらっています。子供が欲しかった私には憧れていた子育てのメニューです。

かけがえの無い楽しい甥っ子との日々です。

反面、父が可愛い盛りの孫と離れてしまったことを不憫に思ってします。

今回の帰省は年末の2日間で、もし父が良ければ年越しから数日の間だけでも仙台に連れて帰るつもりでした。仙台の娘の家で“便利で楽な暮らし“を体験してもらいたかったのです。

父はそれは全くありえない、たとえば船でブラジルなんか行かないよというくらいの拒絶の表情でした。

父が乗っている古い車の車検が切れるたびに免許証の返納と同居を打診して来ましたがその度にこの“船でブラジル“の顔で断られています。

次の車検は今年2022年3月末です。今年こそ実現させたい。ちょうど昨年12月24日に父の車が自宅でエンジンがかからなくなり修理に出しています。私たちは今回の帰省中に父に内緒で車屋さん出向き事情を話して、納車の時期をすこし延ばしもらうことと、その間は代車を貸さないようにと再度お願いをしました。担当の方はとても親切でした。

できれば今回の車の故障を機に、と思っています。

車がないと生活できないという父はタクシーに乗ることを敬遠しているので、近くのタクシー会社独自の前売りチケットを2万円分購入して父に渡しました。生協の宅配を契約して毎週カタログを届けてもらうようにしました。注文ができないようなら私が仙台からアプリを使って実家に届くように注文ができます。

車がなくても生活ができるということを体験してほしいのですが、食欲がないということも心配で仙台に戻ってきてからも毎日電話をしていますが、やはり車の修理のことが気になっているようで、運転をやめる様子は全くありません。

どうしたら良いのかわかりません。

第三者に自主返納を促してもらえるようなことはできないのでしょうか。

警察にも行きました。年の瀬にもかかわらず親身になって話を聞いてくれた若い警察官が一度離れて戻って来て手渡してくれたチラシには、楽しそうに自転車に乗るお爺さんのイラストが描かれていました。

え、警察では免許証を返納した高齢者に自転車に乗ることを薦めているのか・・・。

とても驚きました。今の父が自転車に乗っている姿が全く想像ができませんし、自動車を運転するよりも危険なことのように感じました。


今回の2日間の実家への里帰りはここまでとなりました。

東京で雪や凍結で転ぶ人と追突する車のニュース。心配されている方はとても多いのではないでしょうか。皆さんどうされているのでしょう。

天国の母に父の枕元に出て来てもらって「もう運転はやめなさい、うらめしや」とやってもらうしかないのでしょうか。

つづく

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